第四十五章 ---神聖科学--- (1)
2221年04月15日(日)AM10:00
「・・・マリアいい事、まず大気組成と
外気温度、そしてグラヴィトンを把握
しなさい、最初はあなたの母星に合わ
せて、酸素や窒素を合成しなさい!」
アリスは、幼い5歳位のマリアに対し、
薄茶色いデコボコの台地で精神感応で
話しかける。
幼いマリアは、大地に四つん這いになって
耐えている。
(これで火星での訓練は何度目か・・・)
この星は数十億年のその昔、大地から
大気と水を失い、現在は薄い二酸化炭素
が殆どの大気成分となっていた。
「マリア!CO2分子を意識して!
地底のH2O分子を持ってくるの!」
四つん這いのマリアが、ガクッと
崩れ落ちる。
その瞬間、マリアの周りにドーム型の
バリアが生成される。
(・・・叔母様、惨過ぎます・・・)
アリスは伊勢ダーシィ円花から涙ながらの、
スパルタともとれるお願いを思い出す。
(叔母様、本当にいいのでしょうか・・・)
見上げると、薄暗い火星の空に、ジアースの
月の、三分の一ほどの大きさに見える月が
出ていた。
◇◇◇
ドン、ドン、ドン、ドン
「お姉様ぁ!いつまで寝てるんですか~
ご朝食の準備ができましたよぉ~!」
お姉さまに限って、日曜日だからと遅くなる
ことは無い。
バーン!
マリアは返事も聞かず、扉を勝手に開けた。
部屋の向かって左の壁の真ん中に置かれた
キングサイズの天蓋付きのベットに、
今、上半身を起こしたばかりのアリスが居た。
「お姉さま、お身体が優れませんか?」
「・・・マリア、お早う、何か夢を見てた
気がしたの。心配ないわ。」
アリスの顔を見ると両目の瞼が腫れている。
泣き腫らしたような瞼だ。
昨日、何かあったのだろうか、マリアは
何も訊かずに、
「・・・先に降りて食べてますからね。」
アリスの部屋から、直ぐに出て行った。
◇◇◇
古都の西山連峰、逢坂ゴルフ倶楽部の
建物内から数体のキメラの死体が、昨日
DHS(国土安全保障省)によって分析の
為、回収された。
その第三特務部隊長である、ヨーコ・
レイティス・ミナミは、わざわざ休みを
取って、行動した事で嫌疑がかかり、
ワシントンDCのDHS本部に呼び出され
ていた。
本来ヘキサゴンで開かれる国家安全保障会議
がDHS(国土安全保障省)で開かれるのは
初めての事だ。
DHSビルの地下の会議室には20人程が
座れる椅子と、ドーナツ型の真ん中が
くりぬかれ、C円形のデスクには人数分の
ディスプレイが椅子の前の空中に映し出される。
日曜日の為か、会議の参加者全員が
オンラインによる3D映像での出席だった。
議長席にはウィリアム・マーシャル国防長官
が、昨日EU連合から戻ったところで参加
されていた。
副大統領は欠席のようだ。
あと、陸 海 空の長官か副長官、
各情報機関の長官か副長官、その他、
それぞれの参謀チームが参加していた。
その場所に、DHS本部長を差し置いて、
ミナミセクションチーフマネージャーが
呼ばれていた。
円形デスクの末席に直立するミナミSCは
マーシャル国防長官のやや左正面に位置した。
マーシャル国防長官から
「南君、休みを使ってまでご苦労だったね。」
ミナミは神妙に伏目がちに話す。
「勿体ないお言葉、感謝致します。」
マーシャル国防長官が続ける
「即席の部隊で、あれだけのキメラを倒して
くれた。南君が居なかったらと思うと、
・・・ゾっとするよ。有難う。
君には感謝状と軍年金のアップ、収入も
手当てを付けてもらうよう指示した。」
少し罰せられる予想もしていただけに、
ミナミはホッとしするも、顔には出さず、
「恐れ多いことでございます。」
マーシャルは静かめに強く話した
「これは論功行賞だ。本人も含め誰からの
異議も認めんぞ!この話は終わりだ!」
ミナミは礼だけして、ことに甘んじた。
そこに4~5日ぶりに会う、ジョージ・
クーパー主任研究員がいて、言葉を発した。
「では、本題に入ります。例のキメラを
回収した建物の地下二階に、転送装置
と思われる装置を発見しました。
詳しく調べますと2度の爆発が起きており
詳細はまだ再現できておりませんが、
未知の科学原理、技術が使われている
のは間違いありません。」
国防長官直轄チームの女性から
「国防長官直轄チームのアケミ・ワトソン
と申します。ミナミチーフマネージャーは
建物の地下は、ご覧になりましたか。」
ミナミは思い出す様に深く考える素振りをして
「最後に地下で爆発が起きた為、科学
捜査班、爆発処理班やDMAT等が
来てからの問題になりました。
本来、地下もクリアする予定でしたが
出来ませんでした。他の事情もあって
昨日の現場検証には、行けておりません
でした。」
アケミ・ワトソンは続ける
「そう。昨日の現場検証で、地下から未知の
装置や研究施設が見つかったの・・・
それで、すぐ貴女を呼んで来て頂いた
訳です。何か気付きがあれば、何でも
結構ですので、教えてもらえますか。」
ミナミは神妙に
「私の件で、お調べ頂いてると思いますが、
フォートサムの事故調査で、キメラと遭遇
しました。
そのキメラは、今回の古都とは、また違う
種類のキメラで古都のヤツより強かった
です。
どこの組織がそのキメラを作っているのか、
同じ組織によるものなのか等、調べられて
おりませんし予想もつきません・・・」
アケミ・ワトソンは続ける
「貴方は、何故、そのゴルフクラブに部隊を
造ってまで行ったの?」
ミナミはさらに神妙に
「はい、近くであった狙撃事件を調べている
時に、知り合いから、狙撃地点の南方で
震度1の地震があって、地震電磁波とは
異なるマイクロ波が観測されたとの話が
あって、しかしDHSの組織を使う程の
話では無いと考えまして、一応、即席で
古都の知人たちと一緒にハイキングの
つもりで行きましたもので・・・」
アケミ・ワトソンは被せて話す。
「貴女、何か知ってるんでしょう!何でも
いいから話してもらえますか。」
ミナミは
「いえ、こんな大事になろうとは、夢にも
思いませんでした・・・」
アケミ・ワトソン
「貴女ねぇ!・・・」
オットハイマー空軍司令長官に付き従う
宇宙軍次官、クリス・ワーナーが割って
入る。
「ミナミ殿、この転送装置は古くは数千年
前の遺跡からも発掘されているもので、
実は世界中で発見されているのだ・・・
これまでは、これが転送装置だと理解、
される事はなく、通常の遺跡と判断され
てきた背景もある。
そこで、別の調査でたまたま、量子コン
ピュータを繋いだ結果、座標らしき数値
が顕われたのだ。
座標解析の結果、銀河内の他の星系を
指し示していることが解った・・・」
ミナミ
「・・・・・・・・宇宙人ですか!」
有難うございました。
続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。
関心を持って下さった皆様。
【★★★★★】をお願い致します。
とても励みになります。
ブックマークも出来る方は、
どうぞ宜しくお願い致します。(りん)




