第四十四章 ---バックグラウンド--- (3)
倭の国は戦争での経済破綻から、
2150年ユニタリカ合衆国、55番目の州となり、
ジパングと名付けられた。
その後、ユニタリカ特別独立行政区となり、
独立採算性がとられた。
都道府県制度は廃止され、6つの州に分かれ
自治が施行されている。
ジパング内、二番目の経済圏である関西州の
大阪都の西部エリアを関西湾岸シティーと言った。
大阪湾を、新しく埋め立てて出来た新咲洲地区は、
約2000ヘクタールを誇り、
通称「プリズンアイランド」と呼ばれていた。
完成してからは「プリズムアイランド」と呼ばれ、
太陽光を屈折させて七色に反射させる
プリズムビルが存在し、マスコミにも大きく
取り上げられた。
旧咲洲から片側6車線の橋が架かって
いるのだが、手前に大きな関所があって、
企業関係者以外、勝手に渡れないので、
いつからか皮肉を込めて、プリズン島と
呼ばれるようになったのである。
新咲洲の埋立地は、土地建物 全て
十三壱重グループのPPSが所有していた。
社名に付いたプリズムとは、ユニタリカ情報部
(QCIA)が昔、NSAとCIAという組織に分かれて
いた頃、そのNSA内部にはネット大規模監視
プログラムが存在し、それを彼らは
コードネーム「プリズム」と呼んでいた。
その名残であるという通説が陰謀論者の
多くを占めていた。
現在、PPSでは国内も含め 他国からの
サイバー攻撃の反撃を含めた戦闘や、
裏では民間軍事組織を従え、
国内外へ派遣している。
自衛隊のサイバー部隊、警視庁のサイバー部署、
公安調査庁とも連携して、ジパング州の
内閣官房への適時報告も並んで行っていた。
現在PPSの会長は伊勢ダーシィ円花(年齢非公開)
CEOは九条時成(57歳)。
この九条時成はセブンビルダーの九条時貞の
孫にあたる。時貞のような特殊能力は無い。
PPSの生抜きではあるが、コネでなく叩き上げで
CEOにまで上り詰めた為、派閥もほぼ皆無、
その為、社内における一般社員からの
人気や信用度も高い。
会長である伊勢ダーシィ円花は会社に顔を出す
ことはもちろん通信会議にもほぼ出ない。
ネット内でも外見も含め、情報が伏せられて
いる為、誰も名前以外 彼女の実態を
知る者は少ない。
PPSの本社ビルは、関西州大阪湾に面した
一辺300メートルの正三角形の42階建ての
三角柱のビルで、別名プリズムビルと
呼ばれていた。
5階から40階までは吹き抜けで、
2辺はガラス張り、残り1辺の内壁には
鏡が貼られており、500メートル先の
ビルの壁に七色の光の帯を映し出した。
これは旧咲洲からも綺麗に見え、
ビルの壁に七色の光が映し出される
夕方近くには、多くの若者たちが
旧咲洲の湾岸に集まった。
PPSの本社プリズムビルの1階入口は
5基の回転扉が並ぶ。
回転扉なので、1人ずつ入るように
ビルの外の看板に指示されている。
この回転扉以外、三角形の建物の
5階までの高さの約25mまで窓は存在しない。
5階までの外壁は、厚さが相当ある、
強化コンクリートに覆われ、とても頑丈な
建物基礎の様相を呈していた。
軍隊を持つと噂されるPPSは、警備会社で
あるものの、世間からはあまり良いように
思わない者もいる。
ただ本社ビル41階には、展望レストランや
ショットバーがあって、週に2度、
民間にも開放される。
プリズムビルからの景色やショットバーなど
若者からは人気を博していた。
毎年PPSの企業就職試験が行われ、
またPPSは新卒ではなく、警察官、自衛官、
消防官、官僚など公務員を基本多く
中途採用するせいで、上級、中級などの
公務員試験までもが人気となっている。
このPPSのビルの地下には、文字通りの
要塞が存在していた。
ビル入り口は1ヶ所のみ。
1階のビル入口回転扉には、通るもの全てに、
X線検査、赤外線検査が自動で行われる。
不審物を所持していた場合など
引っかかった場合、回転扉が即停止して
閉じ込められる事になる。
回転扉のガラスは現在 宇宙船の窓等に
使われている15㎝を超える厚さの
強化耐熱アクリルで、TNT換算で10000キロの
爆発に耐える構造だ。
回転扉の反対出口側は、幅2.5メートルしかないので
サッと出るしかない。
出ると幅18m高さ4mの四角形のトンネルが
待っている。トンネル内部は少し薄暗い。
このトンネル内では、精密ガイガーカウンター
による放射能検査、精密MRI及びX線検査が
行われる。
これによって血液内のナノ粒子検査、
細胞内のミトコンドリア検査などが、
自動的に行われ、身体における機械化の有無、
電脳化の割合、異常化学物質の分泌状況などが
チェックされ、問題があれば自動的に
このトンネルに閉じ込められる。
このトンネルは50mほど続き、突き当りは
奥の見えない両開きのスライド自動ドア
になっていた。
その高さが3mはあろう自動ドアを抜けると、
1ha(100m×100m)ほどの広さのホールに出る。
正面の真ん中に、楕円形のドーナツの形をした
幅15m程の受付カウンターが有り、
中に身長180㎝程の紺色の制服を着た
笑顔の女性型ヒューマノイドが3体並んで居る。
このヒューマドイドは軍事用である事は
言うまでもない。
また三角柱のビルの外部も、一切の凹凸も
隙間も無く、地下以外は屋上にのみ排気口が
存在する。
地下部分も含め、建物を覆うように、
レーザー接触感知、重量感知、電磁波感知、
熱感知、音感知、振動感知、霊子感知など
様々なセンサーが張り巡らされており、
その他 数百台に及ぶモニター監視と
衛星からの監視も、24時間絶え間なく
行われていた。
このプリズムビルの三角形の屋上には、
直径75mの輝くヘリポートの円が
丁度3つビルの三角に収まり、
赤と緑に埋め込まれたLEDライトが輝く。
そのサークルの中心には、同じく赤や緑で
文字が描かれており、Ⓗが二つ、Ⓡが一つ
浮いて見える。
勿論あらゆる文字や記号に変化することも
可能なのだろう。
夜間は何色で描かれるのであろうか。
そのうちの2ヶ所の円が赤く光っており、
その中心に現在 赤と黒、2機の
クアッドローターのリムジンヘリが
スタンバイしていた。
残りの空車の円は緑色で中に赤でⓇと書かれていた。
リムジンヘリは回転翼に違いはあるが、
形は軍事用の無人ドローンと酷似しており、
4基のロータリーウイングで制御され、
音速を超える最高600ノットで飛行する事が出来る。
ペタルズ重工業と国際自動車メーカーレギサスの
共同事業で完成した個人用機ではあるが、
エンジンには量子超電導コアが使われ、
世界最先端の量子力エネルギーで稼働している。
ボディには対加重ハニカム構造のカーボン繊維が
使用され、金属に比べ剛性軟性に優れ、
ステルス性能に加え防弾性能、対レーザー、
メーザーさらにレーダーにはイージスシステムを
搭載しており、対空だけでなく対艦、対潜、等
への索敵能力にも優れている。
中でも〔お伊勢様専用機〕の赤い忍者と
呼ばれる機体があった。
機体下部には、収納式対空400mm小型ミサイル24基、
対地400mm小型ミサイル24基、
機体前方に量子フォノンメーザーを2門を
装備しており、軍用ヘリをも超える性能を持つ。
先日この機体に対し、成層圏外からの極めて強い
電磁波攻撃があったのだ。
◇◇◇
PPSプリズムビルの横には、同じく警備の
整った5階建てのビルがあった
そこは「プリズムビルメンテナンス」と
書かれた普通企業の建物に見える。
実は新咲洲の埋立フロートを突き抜けて
更に地下、海を垂直に海底の岩盤を抜け
パイプエレベーターで、降りられる様に
なっていた。
大阪湾の海底から、隣のPPSビルの
基礎部分の太い鉄骨に合わせて、
岩盤を深く掘り、約1000mの所に、
ギャラクシーコントロールセンターと
呼ばれる、約4haを越える広いエリアが
何階層か存在した。
各層は天井まで それぞれ10m程あって、
最下層の床には液体窒素を薄い黒曜石に
閉じ込めたタイルが敷かれ、そこには隅々まで
量子ビット次元コンピュータが並んでいる。
その演算能力は、現銀河系内の恒星や惑星の
動きを1億年先まで予測できる能力をもつ。
大きな室内の中心には銀河系と思われる、
30メートル程のミニチュアが浮かんでいる。
その正面の空間に向けて彼女は何か入力を
繰り返している。
革で出来た、赤いライダースーツの様な
前にジッパーの付いたツナギを着た彼女は、
動きやすいからといった単純な理由からの
出で立ちだった。
現在は一人作業だが、周りに何人いようが、
どれだけ好奇な目で見られようが、
彼女は気にすることなどまず無い。
ペタルズに彼女をそのような目で見る
者など存在しないし、彼女と直接
会うことの出来る者は、非常に少ないのだ。
(デイティ様・・・もうここを離れられた
のですね・・・)
伊勢ダーシィ円花の赤い目に涙が浮かぶ・・・
(近くのビーストは私に任せて、
姫君とお話なさればいいのに・・・)
◇◇◇
有難うございました。
続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。
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