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第四十一章  ---新京都シティ(古都)---

2221年04月13日(金)PM18:00


他の州のユニタリカ人は新京都シティと呼び、

元々ジパング州の出身者は古都(こと)と呼ぶ。


古都の中心部は中京区(なかぎょうく)と呼ばれ、戦後、例の

都市計画によって、15階建ての新京都シティ

の本庁舎があり、北側に距離をおいて京都御所(ごしょ)

西側には距離をおいて、警察や消防、

ジパング自衛軍などの10階建ての本部ビルが

3棟、それぞれに建っていた。


この古都の地上部分には、建替えや大規模修繕

された社寺仏閣(しゃじぶっかく)をはじめ、公官庁、小中高大学、

大学病院、様々な研究施設、ユニタリカ本国(ほんごく)

から許認可のとれたホテル、旅館、商店などが

存在した。


京都御所(ごしょ)の東側は、鴨川まで建物等は存在せず、

御所の南東エリア、本庁ビルの東側に距離を

おいて、中京区(なかぎょうく)唯一(ゆいいつ)、ユニタリカから許認可

を得た20階建ての六つ星ホテルが存在した。


(名は、ホテル-ペタルズユニオン)


白いリムジンが、ホテル正面エントランスに

音も無く入っていく。


ホテル正面入口の外には通常、ドアマンや警備員

が数名 居るだけだ。


この時は背広組が10数名の他、ホテルの職員で、

見るからに役職クラスの者が5名(ほど)、その他、

通常の警備員では無く、アサルトを持つ特殊

部隊員が敷地内に何人も見て取れる。


ホテルの入口をほぼ塞ぐ形で、そこそこの年齢の

スーツ姿の男女が、春風もあるが、少し肌寒い

夕刻で、辺りはすでに大分暗くなっている中で、

手を()みながら足踏みして誰かをじっと

待っていた。


多くの関係者の待つ正面に、リムジンが音も無く

停車した。


観音開きにリムジンの扉が開き、一人の黒髪を

アップにした綺麗な浴衣を着た女性が、(りん)

姿を現した。


(すそ)に行くほど桜色に染まる浴衣(ゆかた)は、鳥の羽根や

尾羽が繊細に虹色や金色に表現され、風に舞う

桜の花びらと一緒に、踊っているように

見えた。


帯は、淡いピンクや緑の色合いで、鳥の羽根や

桜の花のモチーフが織り込まれている。


帯揚げには小さな鳥の刺繍やビーズをあしらって

全体のバランスが整えられていた。


「・・・お嬢様!」「お嬢様!!」


「お嬢様ぁ!あ、あぁ・・・」


「お、お嬢様!」「あ、あぁお嬢様ぁ!」


全員が口々に、お嬢様と言い、感極まって、

ただ(ひざ)を付き涙を流すおじ様まで現れた。


マリアは全員を見回して、


「・・・みんな元気だった?あんまり頑張り

 過ぎないようにね!」


「・・・ありがたき、お言葉!お、おぉ・・」


多くの者が(むせ)び泣きに変わった。


マリアは見渡して


「・・・ノア、居る?ノア・マデリン!」


肩下までのシルバーアッシュの髪は整えられ、

愛嬌(あいきょう)のある丸い目は水色を(たた)え、鼻筋の通った

美人の鼻が真っ赤になっている。


「はい!マリアカラス様、お帰りなさいませ!」


すると、全員が声を(そろ)えて、


「お帰りなさいませ!!」


エントランスに響き渡った。


「・・・ノア、用意をお願い!」


マリアはそう言うと、人を割ってホテルの

入口に向かい、カランコロンと桐下駄(きりげた)

音をさせて、入って行った。


◇◇◇


20階に1室だけ存在するペントハウス。


その他、このフロアには、クラシックジャズ

の生演奏の聴けるスカイラウンジが存在した。


2TH(トゥース)と呼ばれるそのスイートは、マリア

専用に用意された部屋だ。


「ノア、オリビアは元気してる?」


マリアは、ノアが生まれた時から知っており

友達の様に接している。


「はい。祖母も義体になってからは、身体も

 若い頃 以上に動くし、私は叱られてばか

 りですが、お嬢様の事もよく引き合いに出すん

 ですよ。大概(たいがい)の事は能力を使わないって。」


「そう。・・・ハハハ。」


マリアは笑うしかなかった。


2TH(トゥース)のセキュリティが解除され、自動ドア

が開くと、奥のリビングからピアノ曲が

(かす)かに聞こえてきた。


(ラ・カンパネラだ・・・)後ろでノアが

小声で(つぶや)く。


マリアが先にゆっくりと入り、


「お姉さま、遅くなって御免なさい・・・」


真っ白なリビングに置かれたナチュラルウッド

のスタインウェイのクラシックグランドピアノ

を優雅に演奏するアリスの姿があった。


演奏を途中で止め、マリアを(にら)む。


「マリア、あなた!この星から・・・・!」


後ろにノアの姿を確認し、アリスは口ごもった。


「アリスダリア様・・・恐れ入ります・・・

 ゼネラルマネージャーのノア・マデリン

 です。・・ご挨拶が遅れ、申し訳ありません。

 ・・・直ぐにお食事の用意をさせます。」


「パレス・オリビアは元気にされてるの?」


マリアと同じ質問をされる。


「はい。お陰様で元気にしております。

 ・・・では、失礼をいたします。」


ノアは、そそくさと、部屋から出て行った。


彼女はアリスの事を、ユニタリカ軍直属の特殊

部隊員だと思っていたのだ。


40帖以上あるリビングに静寂が訪れる。


気まずい雰囲気のマリアから、


「お姉さま、本当にごめんなさい!」


「マリア、私の心配も判ってもらえる?

 この星を出たらダメでしょ!

 今回のキメラは、強敵だったとしても、

 火星まで行った反応で、もしビーストや

 Gに気付かれたらどうするの!」


「・・・・反省。」


「この前、叔母様が狙われた件、下位ビースト

 が関わってたようなのよ。

 アステロイドヘリオスフィアに隠された、

 この太陽系内まで来ているのよ!」


マリアもアリスも涙ぐんでいる。


その時、(ヒュゥ――――――・・・ドォン!)


鴨川を望む西側の30メートルの長さの窓から

お腹に響く爆音に合わせ、虹色の光が差し

込んできた。


「お姉さまぁ~、ソファに座りましょう。」


「・・・もう、ホントにぃ、この子は」


まんまと又、上手く逃げられた。甘え上手

なんだからとアリスも呆れている。


◇◇◇


ルームサービスでホテルに入っている、

【将軍】という高級中華料理店から、アラカルト

でいろいろな料理を運び込ませ、生ビールと

併せてお腹いっぱいになるまで食べた。


挿絵(By みてみん)


花火を見ながら飲むビールは美味しかった。


アリスは黒いドレスを着ており、浴衣姿(ゆかたすがた)

マリアも二人とも、衣服にギョーザのタレや

エビチリのケチャップ、マーボ豆腐のラー油

などが飛び散り、驚く程 汚れていた。


「・・・こら、落ち着いて食べなさい!」


最初は、マリアに注意してただけに、

黒いドレスに点々と付くその紋様は、

シミュラクラ現象により、面白い程

多くの変顔に見えた。


そして、お互いを指さして笑いあった。


急に我に返ったマリアが、忘れる前に

報告をする。


「ところでお姉さま、黒ちゃんからなん

 ですが、出会ったキメラにはソウルが

 あったようなんです。可憐(かれん)な女性らしい

 ですが・・・黒ちゃん昔気質(むかしかたぎ)だから、

 女、子供は・・とか平気で言っちゃう

 タイプでしょう・・・

 倒さずに、逃がしたらしいんです。」

 

アリスは笑顔で少し考えて、


「・・・枝は付けてるんでしょう?

 それって、叔母様(おばさま)の調査依頼と結びつく

 のかもしれないわね。」


マリアがバツが悪そうに、


「もし、追いかけるなら黒ちゃんが、(それがし)

 (それがし)が、言うんで、お姉さま 黒ちゃんで

 いい?」


「ん?・・黒ちゃん・・・もしかしてだけど、

 その女の子の事、気に入っちゃったの?

 まぁ・・・黒ちゃんでいいんじゃない。」


二人とも含み笑いで、少し悪い顔になっていた。


◇◇◇



有難うございました。

続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。

関心を持って下さった皆様。

【★★★★★】をお願い致します。

とても励みになります。

ブックマークも出来る方は、

どうぞ宜しくお願い致します。(りん)

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