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第三十七章  ---キメラ17号---  (3)

2221年04月13日(金)PM13:30


斎藤(さいとう)(もと)中佐が、傭兵(ようへい)ガーダとアイコンタクトを

交わすと同時に内扉を蹴破(けやぶ)った。


飛び込み前転で、ロビーに侵入すると同時に、

内扉の横で内壁に貼り付いているボーイ姿で

ナイフを構えた男に銃口を向ける。


一瞬の出来事に男は固まったままだ。


正面右(しょうめんみぎ)前方(ぜんぽう)のロビーカウンターから、

頭とピストルだけ出して、斎藤元中佐を

狙う男がいた。


続けてロビーに飛び込んできたガーダが、

ロビーカウンターに隠れて敵対する男に

向けて、M50A1カービンから、火薬式の

メタル弾で威嚇(いかく)射撃をカウンターに3射、

入り口近くの柱に1射した。


「パス パス パス・・パス・・・」


消音器(サプレッサー)により、乾いた小さな発射音がしたと

同時に、正確な射撃によりカウンターに置かれた

ウイスキーの瓶やグラスがはじけ飛ぶ。


ゴルフ倶楽部の入り口近くの柱に隠れている

もう一人の男にむけ、斎藤は


「柱のヤツ!怪我(けが)をしたく無ければ出てこい!」


通常であれば、これで一階フロアの制圧完了だ。


(南チーフ、1階には観ての通り3人だけだ。

 制圧威嚇射撃をした。ピストルで俺らは倒せない。

 問題ないと思うが、あんたらは、正面入口に

 戻って、入ってきてくれ)


斎藤元中佐は電子通信を使って南に連絡した。


(斎藤さん、気を付けて、そいつら化成体(キメラ)よ!)


南は自分の最新のサーマルゴーグルで(とら)えた

画像から、斎藤元少佐に危険を伝えた。


化成体(キメラ)を赤外線モニターで見た場合、身体(からだ)

中の何処(どこ)かの部分が黄色に輝く。


それは通常の人体(じんたい)に比べ、温度が非常に高い

部位が存在する事を意味する。


建物の外で待機している、南チーフは瞬時に

状況を理解し、電子通信で全員に指示を出す。


化成体(キメラ)が居る事が判った・・・

 今から2隊に分ける。私と森師範代(もりしはんだい)は、

 先駆けの二人の入った、あの割れ目から追尾する。

 残りは、殿(しんがり)のデインさんが指揮を執って、

 表の入口に戻って臨機応変に対応して。)


南自身、メラメラと心の底に沸き立つものを

押さえながら、冷静にならねばと言い聞かせる。


殿(しんがり)だったデインが隊長となり先頭で、さっと

入口側に5人が、音も無く戻って行く。


南も気を引き締め直して、建物の裏の割れ目

から音も無く侵入した。


同じく、音も無く森師範代(もりしはんだい)も続く。


南の付ける軍用最新のサーマルゴーグル

には、内壁を貫通して内部の様子が

白黒画面の様に映し出されている。


温度の有る物体からは、その温度の波長により

映し出される色がある。


斎藤とガーダは顔だけ薄赤く映され、彼ら以外の

3体の色が赤から黄色に変化していく。


(斎藤さん、ガーダ、後ろに着いたわ。

 化成体(キメラ)が変身するわ、気を付けて。

 温度の高いところから打ち抜いて!)


同時に2人のカービンが火を噴いた。


斎藤()の放つ弾丸は、初速900mで

5.56mm口径のメタル弾が1秒間に

12発がオートモードで発射される。


その弾丸が内壁に立つボーイ姿の男の腹に

全弾が命中した。


ガーダの撃った弾丸はカウンター越しに

頭が出ている男の顔面を捕え、後ろの壁に

血肉を撒き散らし、倒れた・・・


斎藤は室内の温度が上がるのを感じた・・・


壁際に立つボーイ姿の男の胴体が4倍5倍と

膨らみ始めた。


(バラバラバラバラパラ・・・)


腹に撃ち込んだメタル弾が全て床に落ちる。


(斎藤さん、裏の戸に向かって右に避けて!)


瞬間、斎藤は入口を背にして右に転がる。


刹那、ボーイの立つ後ろの内壁を貫通して、

真っ白な閃光が、腹の膨らんだボーイの

頭から縦に股下に走り、身体が真ん中から

二つに割れて左右に崩れる様に倒れた。


ボーイを真っ二つにした真っ白な閃光は、

カウンターに隠れて様子を伺う、もう一体

の身体も真っ二つにしていた。


(ガーダ、カウンターのヤツもまだ生きてた

 わよ。入口の柱の影からヤツが動く・・・

 気を抜かないで!)


ガーダは味わった事の無い恐怖で、

パニックになっていた。


カービンのマガジンを差し替え差し替え、

ロビーの入り口近くの柱に向け、打ち

続けていた。


(・・・シューーーーザシュ!)

変な音がした・・・


そしてガーダの持つ銃口の赤くなった

カービンが急に鳴りを(ひそ)めた。


黒っぽい太い棒で、ガーダは胸部から

背中へ貫かれていた。


その棒は、入口側のロビーの柱の上の方

からガーダまで伸びていた。


「ガーダ!!」


斎藤か叫ぶ。


◇◇◇


2221年04月13日(金)PM13:30


国立図書館に潜入したゴンザから、

女の捕縛(ほばく)を命じられたダリンは、

舌打ちしながら、殺せば良いだろうと

考えていた。


(めんどくせえ・・・・)


ゴンザとダリンは核分子化成体で、

キメラ10号、11号と呼ばれていた。


ブル博士の最高傑作の一つと言われ、

彼のお気に入りでもあった。


自分の意志で、1センチほどの細胞に

身体をバラバラに出来て、更に色々な

分子と結び付き、身体を強化したり

武器化や病原化する事が可能であった。


また、クォンタムスーパーポジションと

呼ばれる魔法が使え、完全実体を見られる

までは、量子の重ね合わせにより、

存在を完全に消す事が出来たからだ。


実際、彼らが普通に歩いていても、

誰にもその存在を悟られる事は、

無かったのだ。


図書館の壁沿いに東屋の建物を挟んで、

ダリンとプロテ―ノールの距離は

100m位になった。


(あの建物辺りで捕まえるか・・・

 めんどくせぇ・・・・)


ダリンは、後ろにいる部下の化成体(キメラ)

指示を飛ばす。


「お前、殺さずに捕まえてこい。」


「・・・・・・・・・」


応答がない。


「・・・お前!」


ダリンは部下の応答が無いので、振り返り

じっと確かめた。


誰も居ない・・・


分子感応を張り巡らせるも、東屋の向こう

を壁沿いにこちらに歩く女の気配以外

何もない。


(・・・くそぉ、サボりやがって・・・)


前に向き直ると、着物と呼ばれる

ジパング特有の衣装を着た黒髪の女性が、

そう距離を置かずに立っている。


「私の用事が有る時に限って、パリピー

 外出するんだから・・・」


ダリンは一瞬、驚いたが我に返り、

いつもの通り、遊びをしようと思った。


それはダリンを認識できない女性を、

霧のようになった自分自身の身体を

通過させて、女性に対して悪辣な

小細工(いたずら)をしたりするものだった。


前から歩いてくるのは、色とりどりな

小鳥の舞う、厳密には浴衣(ゆかた)

呼ばれる衣装を着た黒髪の美少女だった。


ダリンは目を閉じて匂いを嗅いだ。

花の香りである事は判った。


目を閉じたまま、彼女が自分を通過する

のを待った。


(もう通過してないとおかしい・・・)


ゆっくり目を開けると、目の前に彼女が

立って、燃えるような目で自分を睨んで

いた。


「・・・ステラ・ファーネス!」


ダリンには彼女の澄み切った声が聞こえた。

自然と口角が上がる。


瞬間、ダリンは意思の無い炭素分子になって

風に舞っていった。


◇◇◇


有難うございました。

続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。

関心を持って下さった皆様。

【★★★★★】をお願い致します。

とても励みになります。

ブックマークも出来る方は、

どうぞ宜しくお願い致します。(りん)

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