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第三十二章  --- 繋がり ---  (2)

「パリピー!・・・貴女(あなた)ねえ、

()がらせてもいいんだけどぉ?

 このファイル、どうするつもり

 なの?」


「・・・・やらせて・・下さい・・・」


少し小さな声で答える。


「・・・・聞こえない!嫌なら言って、

 無理強(むりじ)いするつもりは無いんだから!

 ただ、復活させたなら、視る前に連絡

 を寄こしなさい。私たちと一緒に視る

 なら視ていいわよ。」


マリアは相変わらず、ずけずけ言う。


「・・・パピリオ様、答えたくなければ

 ・・だけど、ビアノルクラメル様宛て

 のメールをご覧になってから、ご様子

 が・・・」


アリスが(ひか)えめに(たず)ねる。


「実は・・・私の・・・知り合いで・・・」


プロテノールの目に、薄暗い室内でも判る

光るものが見える。


「じゃあ尚更(なおさら)、パリピーが復活なさいな!

フニクリフニクラ宛て?

 動物なの?犬博士宛て?何でもいいけど、

 学長が添付(てんぷ)したヤツ!

 急がないけど急いで!」


アリスがマリアをじっと睨む。


「・・・じゃあ、朝までには、お願い

 しますね・・・

 パリピ様・・・連絡して下さいね。」


マリアは急に大人しくプロテノールに頼む。


刹那(せつな)!アリスとマリアにしか判らないが、

何者かが下の階に転移して来た。


二人はアイコンタクトを交わす。


「・・・じゃあね!」


何事も無かったように、二人は足早に

会議室の出口に向かう。


マリアが出た次に、アリスが振り返り

プロテノールに礼をして会議室を出た。


会議室の扉を出てすぐの廊下で、


(お姉さま、2階に急に現れましたヨ。

 転移魔法です・・・人型1体・・・)


テレパスでアリスに報告する。


(お姉さま・・・ここは、私に任せて先に

 お帰り下さいませ。)


(・・・そう。じゃあお言葉に甘えるわね。

 実は、見たい歴史ドラマがあったの。

 マリア・・・やり過ぎない様にね。)


そう言うとアリスは、バラの香を残して、

霧のように消えた。


続いてマリアも転移した。


◇◇◇


図書館2階フロアは、床のタイルは黒く

鏡面仕様で、ほぼワンフロア一律に、

グレイの長机がいくつも並び、一人づつ

の幅で、透明なアクリルの仕切り盤が

立てられていた。


2階フロアの奥の三分の一のスペースは

ファーストクラスをモチーフにした

仕様(しよう)になっていた。


各個々に広めにスペースをとっていて、

黄色の可動する一人かけソファーと、

ダークウッドの内壁(うちかべ)、天井は無いが立派(りっぱ)

個室といえる程の空間が取ってあって

最初からパソコンの付いたラグジュアリー

な個人用ブースが並んでいた。


通常照明は消えていて、壁の天井近くと、

足元を照らす少しの間接照明と、8か所の

非常灯しか光源が無い為、黒いタイルに

所々の、間接照明が()えて、静かで

ロマンティックな雰囲気(ふんいき)(かも)し出していた。


2階の少し広めのスペースに転移して来た

人型(ひとがた)の者は、一体のみ。


全身黒尽(くろづ)くめで、顔にも黒頭巾(くろずきん)(かぶ)っていて、

目の所だけグラスタイプのゴーグルで、

対蒸気(たいじょうき)、対化学薬品、防塵機能(ぼうじんきのう)だけでなく

サーマル機能も備わった軍事用を付けていた。


体形はがっちりしており、男性かと思われた。


黒尽くめの男が、中腰(ちゅうごし)で辺りを(うかが)っていると、

その後ろにすぐ、マリアが現れた。


マリアは制服姿。灰色にオレンジのラインを

あしらったワンピースでスカート部分は、

シースルーに覆われた二重構造になっている。


「・・・・・キィ!」


男は高めの変な声を出した。


男は直ぐに気付き、4m程飛んで、空中で

半ひねりをして、こちら向きに対面した。


「・・・あなた、一体 何者・・・あっ」


黒尽くめの男は 一気(いっき)に距離を詰め、マリアの

首筋に手刀を叩き込んだ。


マリアはギリギリで余裕(よゆう)を持って避けて、

少ししゃがんで男の後ろに回り込む。


男は前に態勢を崩しながらも、後方に蹴りを

飛ばす。


マリアはその場でクルリと回って、蹴りを

()なす。


瞬間、男は前に4メートル程飛んで そして、

また空中半ひねりをして再び対峙(たいじ)する。


男は(おもむろ)に、サバイバルナイフを取り出す。


刃の部分が赤く光っており、ブンという

音が聞こえた。


「・・・キキキ、高周波ナイフだ・・・・

 鋼鉄も紙のように切れる・・・・キィ!

 お前には、特別に使ってやろう・・・」


黒板を爪で引っ搔く様な音が、声に混じって

いる様な話し方だ。


なるべくなら、聞きたくないと思わせる声だ。


「あなたのその動き、黄雅大国(おうがたいこく)功夫(カンフー)ね。

 魔法も、よく練り込まれているわね。」


マリアは思った事をそのまま口に出した。


「多少、武の心得がある様だな・・・キィ。」


男は余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)に話す。


「あなたの構えだけど、ナイフは右手でいいの?

 逆手で持たなくて大丈夫?1本しか無いの?」


マリアは次々に思った事を口にする。


・・・・次の瞬間!


男は内功(ネェイゴン)を使って、0.1秒程で4mの間合いを

右手を突き出したまま、マリアに突っ込んだ。


それでもマリアは余裕を持ってギリギリで

(かわ)した。


マリアには常に魔法による幾つかのバフが

発動していた。


バフ・・・個人の能力値を上げる効果の事


その中の一つタイムストレッチという魔法は、

1秒間を最長600倍に伸ばす事が出来る。


ナイフを突き出したまま、飛んで来ている

男を(かわ)し、横から手刀を首筋に当て、

床に叩き落とした。


男は痙攣(けいれん)をして、動かなくなった。


(お姉さまからは、殺すなって言われてるし、

 覗くだけにして、帰してあげよう。)


マリアは黒尽くめの男の後頭部に手を(かざ)した。


1週間前位からの視覚データだ。


ジュニアスクールから行列で帰る子供たち・・・

段々と行列が少なくなり、最後の一人になった。


10歳前後の女の子だ、小型タブレットを

視ながらゆっくりと歩く、5m位後ろから同じ

速度でゆっくりと歩く。


小径に入った。多分近道なのだろう。


次の瞬間、一足飛びに近づき、女の子の首筋に

注射をうった。


マリアはVRゲームをやっている気分に

なっている自分に気付き、一旦 現実に戻った。


(こいつは、ヤバい奴だ。もう見たくないわ。

 どうしよう・・・)


次の瞬間、また自動的に男のメモリーデータが

マリアに流れ込んでくる。


どこかの廃屋、ナイフも使い凌辱(りょうじょく)する光景が

目の前の視点で起っていた。


(いやぁーーーーーーーー!)


また次の瞬間、場面が切り替わり、男は仰向け

に寝た状態。


病院のような天井が見える。突然、少ない頭髪

は白髪で、白髭(しらひげ)(あご)に生やした、60代位の

お爺さんが、覗き込む様に視界に入ってきた。


そして話始めた。


「脳から記憶を吸われたり、書き換えられたり

 した場合、自爆装置が作動するぞい。

 よく覚えておくのじゃ・・・・」


現実に無理に引き戻し、タイムストレッチを最長に

延ばす。


「アウト・メタ・トレース!」


マリアは、今見た研究施設に男を転移させた。


薄暗い静かな図書館2階の空間が戻り、

マリアも自宅に向け逃げる様に転移した。


次の瞬間、3階から音も無く階段を降りて

来たのは、プロテノールだった。


「・・・・・・何?」



◇◇◇


狙撃事件のあった大枝山(おおえやま)の山道から更に

南に2キロ程、行った山中に、会員制の

逢坂ゴルフクラブはあった。


そのクラブハウスは、表向きは地上3階建て

赤茶色のタイル張りで温泉施設も備えていた。


実は地下2階まであり、その地下2階に

ブル博士率いる研究チームの施設が存在した。


ジパング各州にも研究施設があって、

人造人間やキメラの研究を行っている。


地下2階の実験手術用のベットの上に、

突如、黒尽くめの男が転移して現われ、

次の瞬間、強烈な爆発が起きた。


研究施設のほとんどの外壁がコンクリート

で補強されていたので、地上の建物への

被害は最小限に留まった。


爆発はTNT火薬換算(かやくかんさん)1トン程の威力があり、

地下の1階半分と地下2階の研究施設全てが、

瓦礫(がれき)と化した。


たまたま研究施設に人は居らず、温泉施設や

受付にいた10名程に怪我は無く、また全員が

組織の人間だった為、外にこれが漏れる事は

無かった。


ただ新京都西部で震度1の地震が報告された。


◇◇◇











有難うございました。

続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。

関心を持って下さった皆様。

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とても励みになります。

ブックマークも出来る方は、

どうぞ宜しくお願い致します。(りん)

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