第二十七章 ---早起きの午後--- ヨーコ・L・ミナミ(1)
(ヨーコ・L・ミナミ -現在-)
2021年04月09日 PM2:30
午後になり、DHSは南セクションチーフ
マネージャー(SC)を中心とした
20名程のサイエンスコマンドが、
西方の山脈の中の大枝山の登山道を封鎖して、
魔力残度を測定していた。
全員が山岳使用の迷彩柄の防護服を着ており、
背中のバックパックに酸素ボンベは勿論のこと
ガイガーカウンターなどの放射線測定機能が
内臓されていた。
この部隊の研究主任である、ジョージ・クーパー
から無線で連絡が入る。
「南SC、聞こえますか。八合目の登山道から、
脇に50~100メートルの範囲で魔素が検出
されております。
想定より高い魔素濃度のため、魔力耐性の
低い者は下がらせております。」
クーパー主任研究員の被る、防護ヘルメットの
ゴーグル部分には、ライフルスコープの様な
円に十字のレティクルと、その横には幾つか
の数字と文字列が、常に変更されながら
映し出されていた。
「解かったわ。皆を下がらせて。今、行くから。」
大枝山五合目にある、霊園のガレージに設置された
テントで、指揮を執っていた南SCは、立ち上がり
防護服に着替えて、同じ防護服を着て、アサルト
ライフルを携帯した兵士2名を従えて、
現場へと向かった。
◇◇◇
(ミナミ)
「南SC、ご覧ください!あの大きな木を中心に
半径30メートル位に大きな魔法陣が描かれて
いたようです。」
「クーパーCR、
魔法師個人でこのような強力な法力を持つ者が
こんな所に現れるかな。」
「・・・正直、こんな規模の魔法陣は観た事が、
ありません。五芒陣を張るように、一人を
中心に五~六人で行ったと判断します。」
クーパーの目は真剣だ。
「CSIからの報告では、犯人のものと思われる
足跡は一つも無かったと、報告を受けているわ。
そんな人数がいて、全員の痕跡を消せるかしら。」
「南SCの見解をお聞かせ願えますか・・・。」
「・・・私の推論なんて・・・話すだけ無駄よ、
クーパーCR、客観的な事実だけをまとめて、
報告書を上げてちょうだい。
・・・帰るわよ!」
クーパーは少し涙ぐんでいた。
(・・・南SCは周りから常に妬まれている。
同期からは勿論の事、仕事の出来ない現場を
知らない上司たちから特に。
・・・今回は吹田シティの現場に行く事すら、
許されなかった。輸送機での移動途中に急に、
古都の暗殺事件を調査するCSIの指揮を執れ、
との作戦変更があったからだ・・・
彼女はこんな現場の左遷的な指示に対しても、
嫌な顔一つ見せず、真面目に黙々と仕事を
こなしている・・・しかし、
DHS第三特務部隊の事を、サードユニット
レッツゴゥサウスとか、南セクションチーフ
(SC)をサウススペシャルコース等と、
揶揄する者もいるのだった。
実際、自分も含め、皆全員、南SCの為なら命すら
差し出す事を惜しまない、スペシャルユニット
だから、陸軍のタスクフォースにさえ、絶対に負けない
自信があった。
だからこそ、他部署に舐められてほしくない・・・)
南自身も部下らを、自分の所為で特に危険な
業務に廻されている事は理解していた。
また通常の陸、海、空軍部に属さない、
文官の集まりであるDHC内の、独立部隊という事も、
現実に組織内において、疎外感が半端無い
状況だったのだ。
◇◇◇
ヨーコ・レイティス・ミナミ。
right-hand(ライト-ハンド)の二つ名を持つ。
彼女は、睫毛が長く、大きな目は青く、
ポニーテールの髪の色は黄色めの金髪だ。
身長は172㎝、透き通る様な白い肌は、
アリスに似た系統だが、顔付は東洋系では
無く、父親譲りの北欧の血を、多く受け
継いでいるようだ。
その父親は元ジュネブル大使でスウェード人、
もう他界していた。
母親はジパング州出身の民間のパイロットで、
現在は現役の管制官だ。来年、定年退職予定。
自分にも子供にも厳しい母だった為、
大学生のころ迄は嫌いだった。
腕を無くしてから、母の本当の優しさを知り、
心が壊れなかったのは、母のお陰だったのだ。
彼女は、トーバード大学メディカル
スクールを飛び級4年で、主席卒業した。
周りからは、大学院で研究を続けるか、
心臓外科医や脳外科医になるかと思われていた。
また、学生剣道全国大会も魔法剣と魔法無しの
刀剣の部門でも、4連覇していた。
3回生の時に既に、多くの病院を含む大企業や、
CIAを含む国家機関等から、多額の契約金の
提示で引き合いがあった。
文武両道で美人、ミスユニバースへの推薦も
あったが、辞退していた。
そして、卒業後すぐ大きな事故に会い、
右手を失ったのだ。
何の事故だったかは、公表されていない。
1年程のリハビリを経て、結局、予てより、
引き合いの有った、DHSに入省した。
国のため、民のために働くと決めたのだった。
契約金の話は無くなっていた。
入省してすぐ、グリーフィングも殆ど無く、
FEMAへの配属が決まった。
(ヨーコ・L・ミナミ -DHS入省時)
ユニタリカ連邦緊急事態管理庁
(Federal Emergency Management
Agency)
略称:FEMAとは、
洪水、ハリケーン、地震、原子力災害、
バイオハザード含む、その他の災害に際して、
連邦機関、州政府、その他の地元機関の
業務を調整し、民間の住居や工場の再建、
企業活動、行政活動の復旧を資金面から
も支援する機関だった。
入庁後、3年ほどが過ぎた頃、彼女は
FEMA内の組織、DMAT(災害医療チーム)にいた。
彼女の右腕は再生医療により、彼女のIPS体細胞
を培養して、本物の腕に近いものを作成し、
外科手術により付ける事も出来た。
しかし彼女は、陸軍におけるサイボーグ研究の
治験者となり、機械と通常細胞を量子レベルで
繋ぐプロジェクトに参加していた。
既にその右手を使い、脳手術、心臓バイパス
手術など、特に高度で緻密な技術を要する
施術を、幾つか成功させていた。
そんな時、DMATへの出動要請が下った・・・
◇◇◇☆彡
有難うございました。
続きが読みたい。いい感じ。興味ある。仕方ないな。
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