適性テスト1日目(1/2)
「では、出席をとる
男子! グランジュさん サニーさん ブレイさん 女子! ソリエさん ベルさん」
各々返事をする。
田舎の学校なので今年の1年生は5人だ。
入学早々喋りかけ損ねちゃったし、友達出来たらいいなぁ~♪
「よーし 見ればわかるが、全員揃ってるな!」
「先生はいつも出席なんてとらないだろぉ?」
「先生だってテスト初日だから張り切っているんだよ 気づいてあげてよ」
クラスメイトのサニーが少しからかうと、グランジュもとばっちりで、頭にコブができてしまった。
テストの説明がはじまった。
「今日から4日間は皆が待ちに待った、適正テストだ!
どうだ 入学しょっぱなは座学ばかりで勉強にも飽きてきた事だろう?
このテストが終わり、装備が揃えば体術や魔術の授業が増える 今から皆にプリントを配布する」
そう言うと、皆に一枚づつプリントを渡してくれた。
内容を確認すると、
1日目は、武器の適正テスト
2日目は、スキル判定・魔法属性測定・魔力量測定
3日目と4日目は、各々にあった戦闘スタイルを実際の熟練冒険者の方にみて貰う。
1日目の適正テストの結果により、3日目には学校から各々にあった戦闘用体操着が支給される。
武器は各々の家庭で出来れば明日までに用意して貰う事。
と書いてあった。
「先生!スキル判定って何ですか?」
昨日ネットで調べたばかりなのに、特に霊魂操作なんてバレたらリア充どころか研究所行きかも~…
「ベルさん?授業で何度も説明したはずですが?」
先生はにっこり顔がひきつっている。
「ごめんなさぃ…」
「仕方ない 補足も加えてもう一度簡単に説明しよう
以前スキルには一般スキルと固有スキルの2種類があると説明したが、ここで行うスキル判定とは一般スキルの判定だ
これは固有スキルとは違い、誰でもいくつかは所有している だが、一般スキルを侮るな?」
そういうと先生はいきなり10m以上空高く飛んで見せた。
「このように、非常に便利なスキルは沢山ある」
「先生やるじゃん!」
サニーの頭のコブは2個になった。
「固有スキルは検査が難しく、貴族でもない限り判定する機会はあまりないだろう
一般スキルは適正があれば訓練によって伸ばしていくが、固有スキルは予兆が見られることが多いので、何か特殊な能力に気付いた時は研究機関に行けば詳しく調べて貰える事があるぞ!」
良かったぁ~それならバレない♪
それに、魔力量と属性は家で調べなくても、明日ここで検査してもらえるのかぁ…
「さぁ話はズレたが、今日は皆にあった武器の適正を見る!
ここにある武器は性能こそ控えめだが、一般的な物は大体揃っている 全員一通りの武器を試してみて貰う」
ザっと目を通すと、
杖、剣、双剣、弓、大刀、ハンマー、斧、銃、クナイ、チェーン、扇、他にも沢山ある。
確かレオ兄は大刀を使っていたなぁ~。
「よーし!サニー様の出番だ!」
と、早々に大きなハンマーを掴もうとするサニーを先生は易々と縛り上げ、皆に満面の笑顔で
「くれぐれも勝手な行動は慎むように」と言い放った。
実に瞬殺だった。
「いくら性能が控えめとは言え、念の為このグラウンドに防御魔法をかける」
そう言うと、先生はいつも連れ歩いているベトベトモンスターと、ワシのような鳥型モンスターも出した。
「はい 二人とも、防御魔法手伝って」
ベトベトモンスターはドーム状にグラウンドを囲い、鳥型モンスターは地面を含め何かキラキラと魔法をかけているようだ。
「すんげぇー!」
「くれぐれも、人に向かって使うなよ?
とにかく手に馴染むもの、使いやすいと感じたものは全て先生の所へ持ってこい よし、皆はじめていいぞ!」
「ベル!全部試してやろうぜ」
「うん 楽しみ~」
ブレイは待ってましたと言わんばかりに、目を輝かせている。
私は魔道具鑑定を使う為、全ての武器に一通り触れてみた。
「何してるんだ?」
「先生が手に馴染むモノがいいって言ってたでしょ?」
「ちょっと触ったくらいでわかるかよ~」
先生は性能は大した事ないと言っていたけど、何か魔法属性が付与されている武器もある。
それに、属性と関係なく、適正がないと上手く使えない武器が多いんだぁ。
あれ?
そういえば、サニーとグランジュはいつも仲良く見えるけど、ソリエはいつも大人しく、今日は一人でおどおどしている。
「ねぇブレイ、ソリエも誘ってみてもいい?」
ブレイは小さな声で
「まぁ女だしいいけど…」とつぶやいた。
「何か言った?」
「いいよって言った!」
「ありがとう」
「ソリエちゃん?良かったら私達と一緒に武器使ってまわらない?」
「い...いいの?」
「もちもん!」
「あ...ありが..とう」
「先生~そろそろほどいて貰えませんか?」
サニーはまだ縛られたままだった。
「あー 忘れていた!」
解放されたサニーは、私達の様子を見ていたのか近づいてきた。
「俺、サニーってんだ あっちは相棒のグランジュ同じクラスだし仲良くしようぜぇ~!」
「相棒って言うか、いつも巻き込まれてるんだけどね よろしく」
「私は、ベル! こっちは幼馴染のブレイ
あと、さっきお友達になったソリエちゃん よろしくね♪」
「お...お友達//// 私の事は..ソリエと呼んで下さい」
「よろしくな」
何故かブレイはぶっきらぼうにサニーとグランジュを睨みつけている。
「ブレイ、クラスメイトなんだからもっと普通にしなよ
いつもは優しいんだけど、なんだか人見知りしてるみたいでごめんなさい」
「なんだ、ブレイは人見知りなのか! すぐ慣れるさ」
サニーはブレイの肩に手をまわし、陽気に笑っている。
「ごめんね、サニーはちょっと馴れ馴れしすぎる所があって」
「そこ! クラスメイトで仲良くなるのは良い事だが、このままだとあっと言う間に時間が過ぎてしまうぞ?」
「まずいっ 早くはじめよーぜ!」
他のクラスメイトは各々武器を手に取り振り回しはじめた。
私は自分に適正がある武器を魔道具鑑定で既にいくつかピックアップしていた。
多分この中だと、銃と、刀と、チェーン、それに杖も私の適正にピッタリだなぁ…とりあえず、謎のチェーンから使ってみよう。
ベルがチェーンを持つとさっき少し触れた時より詳しい使い方が頭に浮かんでくる。
なるほどぉ、魔力の込め方で伸縮自在だし、刃物みたいに扱う事も出来るんだ~。
「先生!そこにある木製人形は自由に攻撃してもいいんですか?」
「ああ、言い忘れてたが自由に使うといい」
「お?やるのか?」
クラスメイト達はこちらを興味津々で見ている」
あそこまで10mくらいだから、届くくらいの長さになって人形が切れますまようにっと、集中して…
「えいっ!」
その瞬間スパッと空気を切るような音をたて、一瞬のうちに木の人形は真っ二つになり転がり落ちた。
…と、そこまでは、良かったものの
チェーンは勢いを留めることなく丁度人形の左側にいた先生の方へ向かっていった。
「ベルさん、魔力を抑えなさい!」
「は、はい」
先生は一応防御の体制に入っていたが、間一髪チェーンはベルの元へかえってきた。
「先生ごめんなさい」
「いや、今回は想定が及ばなかった先生の責任だ どうやらベルさんはチェーンの適正がずば抜けているようだ」
「よし、俺達も負けてらんないぞ!」
「わ..わたしも頑張ります」
他の生徒はベルを見て呆気にとられていたが、俄然やる気が出てきたようだ。
何も言葉を発さないブレイは目が燃えていた。
「ベルさんはちょっとこっちに来なさい」
「はい…」
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ベルは先生にグラウンドの奥の方へ招かれていった。