4)その呪文を唱える功徳とは
爾時世尊告月愛菩薩及諸大衆…
そこで世尊は、月愛菩薩とほかのみんなにこう告げた。
「この陀羅尼はめったに教えられるものじゃない。見てみなさい、過去未来の、1倶胝(コーティ、億)人の如来がみんな宣べ教えるものだ。私、釈迦牟尼も今、キミたちのためにこれを公開して宣べ教えた。
「善男子、もし天のみんなや人のみんながこの法のごとく受持するなら……もし鬼神たちや飢えと渇きに逼迫して横死してしまつたひとたちのために、すなわち、名前を知らなくても素晴らしい大悲のために陀羅尼を誦えるものなんだ。
「だから、この陀羅尼は、あらゆる願いを満たすことのできるマニ宝珠の王に譬えられる。また、優曇鉢花(優曇華)を明るい月が開花させるのにも似てるヨ。
「善男子、もし菩薩が、自分の楽にこだわらず、他のひとたちの苦悩を救って、大悲の修行を学んで、すべてを利益して安泰にしたいなら、この法の如く行うんだ。
「これを行う人は、マジモンの大悲の菩薩で、観音の行をおこなった人だョ。その頭をすべてのブッダたちが撫でてくれ、苦しい時にはおおくの菩薩たちが愛し護ってくれる。すべての賢聖は自分の子のように見てくれるし、天神たちや龍神たちも付き従ってそばで護ってくれる。
「月愛くん、この人の功徳は弥勒菩薩あたりと等しい。なぜかっていうとね、この善男子が、もしよく発奮して元気に日々に修行をして、1日だけ食べ物を施したなら、ひとつの宇宙ぜんぶの餓鬼さんたち全員が食事できて、何日も食べ物を施せば十方世界(あらゆる異世界)の六趣、一切の餓鬼さんたちが完全に満腹し尽くすんだ。
「このようにして菩薩の得られる福聚(集めた福徳)は不可思議なんで、計量も難しいし、直観でもわからないし調べてもわからない。そして自動的に阿耨多羅三藐三菩提をゲットってしまうョ。」
「善男子、この陀羅尼をもし讃え、誦なえ、書き写したら、それだけで、この人は60億劫(28,920,000,000,000,000年以上)の間、細かい生死にとらわれた世界を超越して、いかなる状況だろうとも間断することなく修行することができる。
「善男子、私は今、ハッキリ言おう。将来に弥勒菩薩が悟りを開くより前にこの呪文を受持する人は、阿耨多羅三藐三菩提の授記決定(必ず悟りを開くという間違いない予言)を得ていなくても、この賢劫のうちに悟りを開いてブッダになれちゃって、誑かし欺きに堕とされてる衆生を一人残らず、経を説明して成道させちゃう、と。」
賢劫とは、いまの宇宙が生まれた後、壊滅が始まるまでの安定した1劫(48,200,000,000,000/4=12,050,000,000,000年)のことです。この間に1000人のブッダが現れるとされています。
……つまりこの呪文を唱える人はそのうちの一人になるということ!?
「…ってわけだから、月愛くん、憶えといてネ。末世の後にもこの呪文を聞いた人は心に深く理解して信じる。この人は生まれ変わると転輪王(大陸を統べる統一王)の位を得る。その神聖な福徳は百千万劫(48,200,000,000,000,000,000,000年)の間、つねに続いてる。その福徳はブッダが現れて測り知れない供養をしたことに匹敵するし、梵行(聖人になるための清らかな行い)をしてすべて神通の境地にまでおこなってしまうことに匹敵する。とても堅固な身体に生まれ、那羅延天のように長大な寿命で、体は金色、三十二相という素晴らしい外見的特徴で荘厳され、聖音の声を得て、一切の世間にその威徳は自在だ。
「善男子、智者がこんな利のあることを知って受持しないなんてことがあったら、この人はもう大利益を失ったと知るべきだ。」
時に月愛菩薩は、ブッダがそう説いたことを聞いて、たとえようもないほど喜んだ。そして重ねてブッダに言う。
月愛「善哉、世尊! どうぞ聞いてください。私、この大悲を隠し持つ陀羅尼についてさらに質問があります。どういう方法で、どう受持するのですか? どうか教えてください!」
その時、世尊はみんなを見回して、ニパッ、と笑顔になり、月愛を讃めた。
「善哉、大士、よくぞそれを質問してくれた! よく聞いて理解してくれ、キミのために説明しようじゃないの!」
ブッダは月愛に言った……
- つづく!