第7話 これから、ギリスさんの屋敷に行きます
「レイジ君。君はこれからどうするつもりだい?」
「あっ・・・。そう言えば、街に入ってからのことは何も考えて無かったです・・・。すみませんでした・・・」
「いや、謝らなくっても大丈夫だよレイジ君。もし、これからのことについて何も決まっていないのなら、おすすめの宿屋があるからレイジ君に紹介したいと思っているんだけど・・・、どうかな?」
「そ・・・その、とてもありがたいことなんですけど・・・。実は、俺ここに来る道中にお金などが全部入っている荷物を盗賊に盗まれてしまい、宿屋などの宿泊施設に泊まることが出来ないんですよ・・・」
年輩の兵士から街に入る許可を貰い、俺たちが乗っている馬車は年季の入っている石畳の上をガタガタ揺れながら真っ直ぐに進んでいた。
俺は、馬車の荷台乗り揺れながら、荷台から少しだけ顔を出し街の景色を眺めていた。
俺が、街の景色を眺めていると馭者台に座っているギリスさんからそう声をかけられた。
俺は、ウグランタ街に入るまでのことしか考えていなかったため、街に入ってからのことは一切考えていなかった。
俺は、そのことを正直にギリスさんに話した。
ギリスさんは、そんな俺に呆れること無く、優しい口調で自分のおすすめの宿屋を紹介してくれると言ってくれた。
確かに、宿屋を紹介してくれのは、とても嬉しかったのだが、生憎俺にはこの世界で使えるお金が無いため断るしかなかった。
だが、流石に「この世界で使えるお金が無いです」とは言えなかったため、お金などが入っている物を盗賊に盗まれてしまったと言い誤魔化すしかなった。
「なるほど、お金をね・・・。それじゃ、今晩は私の家に泊まらないか?」
「・・・・・・えっ!?」
「私の家に泊まるのは嫌かい?」
「い・・・嫌じゃないですけど、馬車にまで乗せてもらってまでして、更にお家に泊まらせてもらう何って、ギリスさんに申し訳ないですよ」
「全然申し訳なくは無いよレイジ君。私はただレイジ君なら、家に泊まらせても大丈夫だと思って君を誘っただけなんだから」
「あ・・・ありがとうございます。確かに、ギリスさんのお家に泊まらせてくれることは嬉しいことなんですが、リリスは大丈夫なんですか?」
ギリスさんは俺にお金が無いことを知ると、自分の家に泊まらないかと言ってきた。
俺は流石に無償で馬車に乗せてもらって、更に家に泊まらせてもらうのは申し訳ないと思い、一度は断ろうとした。
だが、ギリスさんは笑顔で「大丈夫」と言ってくれた。
俺は、そのギリスさんの笑顔を見て考えを改めようとしたが、ギリスさんはともかくリリスは自分の家に俺を泊めることに承諾しているのか?と思い、さっきから一切口を開いていないリリスの方向を見た。
「私は、別に大丈夫ですよ。三時間ぐらいだけしか話しては無いけど、レイジ君は面白くっていい人みたいだし」
「だそうだ。それで、レイジ君は今夜家に泊まりに来るかい?」
「・・・・・・はい、お願いしますギリスさん」
今まで一切口を開いていなかったリリスが遂に口を開き、俺のことを自分の家に泊めても大丈夫だと言ってくれた。
ギリスさんはリリスの答えを聞くと、再び俺を見てそう聞いてきた。
俺は、少し長めの間を空けたあと、ギリスさんの家に泊まることにしギリスさんに頭を下げ「お願いします」と言った。
ギリスさんはそんな俺見て、笑顔で「ああ」と答えた。
「よしっ、それじゃレイジ君を連れて家に帰るとしようか」
「そうだね、お父さん!!」
俺の答えを聞いたギリスさんは俺たちに向かって笑顔でそう言い、馬に鞭を入れ更に馬の速度を上げ、自分の家に向かって行った。
そして、リリスもギリスさんに笑顔でそう答えていた。
俺はどんどん速度を上げている馬車の荷台から再び顔を出し変わっていく景色をながめていた。
第7話 これから、ギリスさんの家に行きます
ギリスさんが操作している馬車は、グングンとスピードを上げて行き、年季の入った古い石畳の上を駆け抜けて行った。
やがて、馬車は屋台などの出店が多く並び、たくさんの人たちで賑わっている大通りに入って行き、そのまま大通りの中央を駆け抜けて行った。
そのまま大通りを駆け抜けて行くと、高級住宅が多く立ち並んでいる住宅街に入って行った。
そして、ギリスさんはそんな住宅街でも一際目立つ立派な建物前で馬車を停めた。
どうやら、この立派な建物がギリスさんの家らしい。
俺は、ギリスさんの家の大きさに衝撃を受けていた。
「「あっ、ギリスさんお帰りなさい」」
「あぁ、ただいま。それと、二人とも門兵の仕事お疲れ様」
「「あ・・・ありがとうございます!!」」
そして、そんなギリスさんの家の門の前には、腰に鞘付きの剣を指している門兵らしき男二人組が立っていた。
男たちは最初自分たちの目の前に馬車が止まると、いつでも腰に指していた剣を鞘から抜けるように戦闘態勢をとっていた。
だが、そんな馬車の馭者台に座っていたのがギリスさんだと分かると剣から手を離し戦闘態勢を解除した。
ギリスさんはそんなことを言いながら馭者台から降りた。
「よしっ、リリスにレイジ君。もう着いたから降りて来て大丈夫だよ」
「分かったよ、お父さん」
「分かりました、ギリスさん」
ギリスさんは馭者台から降り、今まで馬車を引いていた二体の馬を撫でながら俺たちにそう声をかけてきた。
俺とリリスは、それぞれそう返事をした後に馬車の荷台から降りて行った。
リリスと一緒に荷台から降りて来た俺を見た二人の門兵は驚きながらも、再び腰に指している剣に手を置き、戦闘態勢をとった。
「ギリスさん、リリスお嬢ちゃんと一緒にいるこの男は一体?」
「ギリスさん。この男は一体何者ですか?」
門兵の二人は今にも腰に指している剣を抜き、俺に斬りかかろうとしながら、俺のことをギリスさんに聞いた。
俺は、何とか自分が無がいの存在だと言うことを門兵の二人に知らせるために横にいるリリスにアイコンタクトを送っていたが当のリリスは俺のアイコンタクトには気付かず今まで馬車を引いていた二体の馬に水や餌をやったりしていた。
「す・・・すいません、俺──「二人とも、そう警戒しないでくれ。この子はレイジ君って言って、街の外で出会った子だ。どうやら、ここに来るまでの間にお金を含めた全ての荷物が入っている物を盗賊に盗まれてしまい、宿屋にも泊まることが出来ないということだったから、今夜は家に泊めることにしたんだ」
「な・・・なるほど、そうだったんですね。事情を聞かずに警戒してしまい、申し訳無かった」
「俺も、事情を聞かずに剣を抜きそうになっていた、本当に申し訳無かった」
「い・・・いや、大丈夫ですよ。こんな知らない奴が一緒に降りて来たら普通誰だって警戒したり剣を抜きそうになりますよ」
「そう言ってもらえるとありがたいよ・・・」
「本当にそうですね・・・」
俺は仕方なく自分で名前を名乗り二人の誤解を解こうとした時、今までリリスと一緒に馬の世話していたギリスさんが俺に被す形で二人に俺の名前と俺がお金を無くしこの家に泊まることになった経緯を全て話してくれた。
二人は、ギリスさんの話を聞き、理解したのか腰に指している剣から手を離し警戒を解いた。
そして、二人は事情も聞かずに警戒したことと剣を抜きそうになっていたことについて頭を下げ謝って来た。
俺は、正直言って知らない人が一緒に馬車から降りて来たら普通に警戒するのは当然のはずだと思っているから、この二人の行動を特に悪いことだとは思っていなかった。
「・・・・・・一応、自己紹介しときますね。旅人をしているレイジって言います、今夜はよろしくお願いします」
「あぁ、よろしくレイジ君。俺は、この家の門兵を担当しているリンヤだ、よろしく」
「同じく門兵を担当しているヤンリだ、よろしくな」
「はい、よろしくお願いしますリンヤさんにヤンリさん」
俺は、一応自己紹介をしといた方がいいと思い簡単に二人に自己紹介をした。
すると、二人もそれぞれ俺に自己紹介をしてくれた。
「それじゃ、二人ともこの馬車のことを頼んでも大丈夫かな?」
「あっ、はい大丈夫ですよギリスさん」
「馬車ぐらいなら俺たちに任せてください」
お互いの自己紹介が終わったことを確認したギリスさんは、リンヤさんとヤンリさんに今まで自分たちが乗っていた馬車のことを頼んだ。
ギリスさんから馬車のことを頼まれたリンヤさんとヤンリさんの二人はそれぞれ場所の方に向かって行き、そのまま馬車をどっかに持って行ってしまった。
「さてと、そろそろ家の中に入ろうか」
「は・・・はい、分かりました」
俺は、そうギリスさんに声をかけられギリスさんとリリスとともに屋敷の中に入って行った。
屋敷に入ってみると、玄関にはテレビなどで見たことがあるメイドさんや執事さんたちが玄関に横一列に綺麗に並びギリスさんとリリスの姿を確認すると一斉に頭を下げた。
どうやら、ギリスさんは俺が思ってた数倍以上のお金持ちだったらしい・・・。
まず、ギリスさんは自分たちを出迎えてくれたメイドさんや執事さんたちに俺のことを紹介してくれた。
ギリスさんが俺のことを紹介し終わると、この屋敷のメイド長と執事長をそれぞれ務めているマリナさんとセバスさんが代表として自己紹介をしてくれた。
メイドさんたちや執事さんたちとの自己紹介が終わると、中央に設置されている螺旋状になっている階段から二つの足音が聞こえて来た。
「あなたお帰りなさい、それにリリスも」
「お父さんにお姉ちゃんお帰りなさい!!」
螺旋状の階段から降りて来たのは三十代前半ぐらいに見える金髪の女性と五、六歳に見える少女の二人だった。
女性は階段から降りて来ると、ゆっくりとギリスさんとリリスの元に近付いて行き、少女はその逆で階段から降りると勢い良く二人のもとに走って行った。
「あぁ、ただいまリンナ。それにリス」
「ただいまお母様、リス」
「それで、あなたこちらにいる子は一体誰なのかしら?」
「誰、このお兄さん?」
「あぁ、この子はレイジ君って言ってこの街に入る前に知り合った子なんだ。実は、レイジ君はここに来るまでの間に全ての荷物を盗賊に盗まれてしまったらしく、宿屋にも泊まることが出来ないって言うもんだから今夜は家に泊めることにしたんだ」
「・・・・・・それは、大変だったわね。今夜は家でゆっくりと過ごして行ってねレイジ君」
「よろしくね、レイジお兄さん!!」
「は・・・はい、よろしくお願いしますリンナさん。それにリスもよろしくね」
女性-リンナさんと少女-リスはギリスさんの横にいる俺の存在に気が付き、俺のことをギリスさんに聞いた。
ギリスさんはリンナさんとリスに俺のことを紹介し、俺が荷物を盗賊に盗まれギリスさんの家に今夜泊まることになったことを話した。
リンナさんはしばらく間をあけた後に、優しい笑顔を浮かべながら俺に寄り添いそんな言葉をかけてくれた。
そしてリスも俺のことを特に嫌がること無く笑顔で「レイジお兄さん」と呼んでくれた。
俺は、思わず優しい言葉をかけられ泣きそうになったが、何とか堪えてリンナさんとリスにそう言った。
「それじゃ、レイジ君に今夜泊まる部屋を案内しないとね。ママリアお願いできるかしら?」
「はい、分かりました奥様。では、レイジ様私に着いてきてください」
「は・・・はい、分かりました」
リンナさんはそう言い、メイドの一人であるママリアさんというメイドにそう声をかけた。
ママリアさんはそう言い俺を先導するように俺が今夜泊まることなる部屋に向かって行った。
そして、俺もママリアさんの後に続き俺が今夜泊まる部屋に向かって行った。
「ここが、今夜レイジ様がお泊まりになるお部屋です」
「わざわざ、案内してくれてありがとうございますママリアさん」
「いえ、これが私の仕事なので。夕食の時間までまだありますのでこのお部屋でゆっくりとお休み下さい、夕食のが出来ましたらまた私がお呼びに来ますので」
「はい、ありがとうございますママリアさん!!」
「いえ、それでは失礼致します」
ママリアさんに案内された入った部屋はとても広く、元々置かれているベットやタンスや机などといった家具は全て高級品のものばかりだった。
俺はそんなことに驚きながらも、取り敢えずベットに腰掛けた。
するとママリアさんは俺に「夕食が出来たら呼びに来る」とだけ言うと、まだ仕事が残っているのか足早に部屋を後にしてしまった。
「あー、なんか疲れたな・・・。やっぱり、慣れない場所にいきなり行って、慣れない乗り物に乗って移動してから何か疲れちゃったのか・・・。まぁ、夕食までまだ時間はあるって言ってたからママリアさんが呼びに来るまで少し寝ようかな・・・」
俺はそんなことを思いながら、夕食が出来上がりママリアさんが俺のことを呼びに来るまで寝ることにし、ベットに寝っ転がり静かに目を閉じた。
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