第10話 これから、ヒロインを助けます
言い争いが聞こえてきた路地裏に入って行くと、路地裏の奥の方で三人の男たちと二人の少女たちが言い争いをしていた。
三人の男たちは、ガラが悪そうでまるでチンピラみたいなヤツらであり、二人の少女たちは可愛らしい容姿をしており、ここが日本なら確実に芸能人事務所にスカウトされてもおかしくないくらいだった。
そんな、三人の男たちは二人の少女たちに何かを言いながら逃げられないようにするためか二人の少女たちを囲み壁際まで追い込んで行った。
そして、三人の男たちに囲まれ退路を無くされ壁際まで追い込まれてしまった二人の少女たちの一人赤髪のショートカットの少女はもう一人の青髪のロングヘアの少女を守るために前に出て三人の男たちを牽制していた。
「ちょっと、アンタたちは離しなさいよ!!」
しばらく、三人の男たちと二人の少女たちの言い争いを傍観していると、男たちを牽制していた赤髪の少女が男の一人に腕を掴まれてしまっていた。
男に腕を掴まれてしまった赤髪の少女は声を荒らげ、何とか男の手を振り払おうとしていた。
だが、赤髪の少女の力よりも手を掴んでいる男の力の方が数段と強く男の手を振り払うことが出来なかった。
そして、赤髪の少女の腕を掴んでいる男の方は赤髪の少女の腕を離す素振りを一切見せず、ただただニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべるだけだった。
「そんなことを言わないでくれよお嬢ちゃん、俺たちと一緒に遊ぼうぜ〜」
「そうそう、俺たちと楽しくっていいことをしようぜ〜」
「俺たちなら、絶対に楽しくさせてやるからさぁ〜」
「い・・・嫌よ!!アンタたちみたいなクズ野郎ども遊ぶぐらいなら、魔物と遊ぶ方がマシよ!!それに、そんなに溜まっているなら私たちじゃなくって娼婦に頼めばいいんじゃない!!」
三人の男たちは、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべながら、更に二人の少女たちとの距離を詰めながらそう言った。
そして、未だに男の一人に腕を掴まれて身動きが取れない赤髪の少女はなんとか自分の後ろで震えている青髪の少女を守りながら、段々と迫ってくる三人の男たちに向かってそう声を荒らげた。
俺は、そんな赤髪の少女の行動を見て、とても逞しい女性なんだなと思っていたが、よく赤髪の少女のことを見てみると掴まれていない腕が少しだけプルプルと震えていた。
どうやら、赤髪の少女も男たちに対して恐怖心を抱いていたようだが、後ろに居る青髪の少女を守るためにその恐怖心を心の奥底に封じ込めているようだった。
「へぇ〜、それはしょうが無いな・・・。なら、力ずくで『俺たちと遊びたいです』って言わせてやるよ!!」
「今更、謝ってももう遅いからな」
「覚悟しとけよ、俺らはこう見えて強えんだから」
赤髪の少女が完全に三人の男たちとの関係を拒むと、今までニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべながら、何処か楽しそうに二人の少女に話しかけていた三人の男たちの表情や言い方が一瞬にして変わり、男たちが浮かべていた気味の悪い笑みは無くなった。
そして、三人の男たちはそれぞれ腰に指している武器を抜き取り、赤髪の少女に向かって構えた。
「そ・・・そう、力ずくで来るつもりなのね。いいわ、受けて立ってあげる!!」
「おいおい、そんな刃こぼれしまくっている剣で俺たちとやろうって言うのか?」
「そんな、笑えない冗談はやめてくれよ」
「そうそう、そんな刃こぼれしまくっている剣で俺たちと対等に戦えるわけねぇんだから、大人しくした方が身のためだぜ?」
「う・・・うるさいわね!!そんなの、戦ってみないと分からないじゃない!!」
「ふん、気の強い女だな」
赤髪の少女は自分の手を掴んでいる男が腰に指している武器を抜くために一瞬腕を掴んでいる力を抜いたのを見逃さず勢い良く男の手を振り払った。
そして、そのまま男たちと距離を取ると、自分も男たちと同じように腰に指している二本の剣を抜き、男たちに向かって構えた。
しかし、赤髪の少女の二本の剣は年季が入っているためか所々刃こぼれしており、対等に男たちと戦えるわけが無かった。
だが、赤髪の少女は未だに自分の後ろで震えている青髪の少女を守るために刃こぼれをしている二本の剣で男たちを迎え撃つことを決めた。
「あ〜、すいません。少しいいでしょうか?」
俺は、流石にこれ以上傍観している訳には行かないと思い、男たちの後ろから声をかけてみることにした。
突然男たちに後ろから声をかけてみると、俺に声をかけられた男たちは驚きながら後ろを振り返った。
そして、男たちと対峙している赤髪の少女も少し驚いた表情をしていた。
「あん、なんだよ兄ちゃん?」
「ひょっとして、兄ちゃんも混ざりてぇのか?」
「もし、そうだったらもう定員がいっぱいだから他を当たってくれよ」
「あっ、別に俺が用事があるのはアナタ方では無く、そちらの奥にいる人たちなので定員がいっぱいだとしても大丈夫なので気にしないでください」
「えっ・・・私たち?」
後ろを振り返った男たちが俺にそんなことを言ってきた。
だが、俺は男たちのことを完全に無視して、男たちの前で二本の剣を構えている赤髪の少女に声をかけた。
突然、見ず知らずの男に話しかけられた赤髪の少女は二本の剣を構えながらも若干動揺をしていた。
「うん。ずっと、後ろで見てたら何か困っているみたいだし、手伝って上げようか?俺、こう見えても結構強い方だし、そこそこの戦力にはなると思うよ」
「・・・・・・確かに、わたし一人でコイツらと戦うよりは、アンタの力を借りた方が良さそうね」
「とうゆう事は、俺の力を借りるってことでいいのかな?」
「えぇ、是非お願いするわ」
「了解。・・・ってことで、ここからは俺も参戦するからよろしく頼むよ」
「ふ・・・・・・ふざけんじゃねぇよ!!ボウズが!!」
俺のそんな提案に赤髪の少女は、少し考えていたようだったが、直ぐに考えを頭の中でまとめ俺の力を借りることにした。
俺は、赤髪の少女からその言葉を聞くと、ボクシングでいうファイティングポーズを取り、赤髪の少女を囲んでいる男たちにそう言った。
すると、男の一人が頭に血が上ってしまったのか標的を赤髪の少女から俺に変えてナタのようなものを振り下ろして来た。
普通の俺ならそのまま男の攻撃を受けてしまい、殺られてしまうのだろうが念の為に「身体強化スキル」を使っていたため男の攻撃を避け、男の腕に打撃を与え、武器であるナタを地面に落とさせ、そのまま男の右腕を掴み勢いそのままで背負い投げをした。
俺に、背負い投げをされた男は受身を取ることができずそのまま背中から地面に叩きつけられてしまった。
「グ・・・グハッ!!」
俺の背負い投げを喰らい、背中からコンクリート状の地面に落ちた男は蛙のような短い悲鳴を上げ、そのまま意識を失った。
「(さてと、あの子は大丈夫かな・・・?)」
俺は、後ろで他の二人の男たちと戦っている赤髪の少女の方に視線を移した。
俺が、後ろを振り返ると俺があの男を背負い投げをし倒している間に一人の男を既に倒していたようで一人の男が赤髪の少女の足元に倒れており、今立っているのはリーダー格の男だけだった。
俺と赤髪の少女にそれぞれ仲間を倒されてしまったリーダー格の男は「ク・・・クソが!!」と叫びながら剣を振り回しながら赤髪の少女に向かって突っ込んで行った。
だが、赤髪の少女は冷静に刃こぼれしている二本の剣で男の攻撃を防いで行き、男の攻撃が一瞬雑になった瞬間を見逃さず男の剣を弾き落とし剣の持ち手部分で男の腹部を突いた。
男は、「グフッ」と言う苦しそうな悲鳴を上げ、腹部を押さえながら地面に倒れ込んだ。
「二人とも大丈夫だった?」
「助けてくれてありがとうね。あたしはエリスって言うのよろしくね」
「わ・・・私は、シリリアって言います。今回は、私たちを助けて下さり本当にありがとうございました」
俺は、三人の男たちが倒れたことを確認すると、二人の少女に近付いて怪我などはしていないか声をかけた。
赤髪の少女-エリスと青髪の少女-シリリアは、俺に名前を名乗った後にお礼を言いながら頭を下げて来た。
「頭を上げてくれて二人とも、俺はただ当然のことをしたまでだから」
「・・・・・・へぇー、結構男らしいこと言うのね。それで、アンタは名前何って言うの?」
「俺はレイジ、三日前まで旅人をしていた」
俺はエリスにそう名前を聞かれ、エリスとシリリアの二人に「レイジ」と名乗った。




