入り舞
突然のラスト宣告!
レイとレイシャさんのお話はここまでのようですよ♪
ラスト回。
*巨人のミーミルさん視点
この小娘の思考はどうなっているんだ。
良く知らない大自然の脅威の力を、ためらいも無く取り込むとは。
普通の人間なら、副作用とか弊害とかを気にし、ますは情報を手に入れようとするだろう。
「・・・。」
もしかして、バカなのか?
************
奇声を上げ、小娘は倒れこんだ。ガクリと力の抜けきった姿勢。気を失っているのだろう。
アレクとかいう怪鳥が心配そうに背中をつついている。
しかし、この小娘。
巨人族でもかなり強面である、この我を見て恐れをなすどころか、立ち向かってみせた。
何という胆力だ・・・。
我が息子、ヘクトルと結婚させるべきか。
いや、させちゃおう♪
勝手に寝込みを襲い、衣服をウエディングドレスへとイメチェンさせようとする。
「おい、鳥!邪魔するな!」
「ク~!?」
「お前のご主人様のウエディングドレス姿見たくないのか?」
「クック~♪(見たいで草)」
何も邪魔は入らずに犯行は行われようとしていた。
************
Wherever I go. Far away and anyhere ~~~~~~~~~
おれの意識不在の状況下で、結婚式のソングが流れ、おれは指輪を嵌められた。
~新郎ヘクトル、あなたはレイを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?~
「誓います。」
~新婦、あなたはヘクトルを夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?~
「・・・。」
「え~。まあ。新婦が具合が悪くて、こんな事もたまにあるので、めんどくさいんで次行きます。」
となり村のダルゥイ神父が言う。
もちろん、自分の足では立てないおれは、アレクのくちばしから垂れ下がりながら、コクリと頷く。
「最後に誓いのキスを。」
「ちょっと待った~!」
会場にレイシャさんの声が高らかに響いたのだった。
***********
行方不明になった日から探し始め、やっと見つけたらと思ったら。
結婚式をしており、どんなにニヤケ面をしているのかと思いきや、怪鳥にくわえられ、落ちているではないか。
あまりの事態にどこから突っ込めばよいか分からず、あたふたしていた。
無理やりキスをさせられそうになる直前に、やっと声を絞り出すことが出来たのだった。
***********
レイシャさんの可愛い声が聞こえた気がする。
いや。可愛くはないな。おれの声だし。いや。でもなんていうか。まあそういうことだ。
うん? なぜか結婚式ソングが流れているんだが?
薄目を開けてみると、見知らぬ男のキス顔が迫ってくるではあ~りませんか。(ギョギョギョ!!)
おれは無言で奴の顔に顔面ストレートを叩き込んでやった。
「ちょ、アレク離して!?」
「なぜにおれはウエディングドレス姿なんだ?」
確か、意識を失って・・・。
ヤバイ。身に覚えがなさすぎます。ネフェルさんが涙目でこっちを見ている。
そんな理由を説明してって顔をされましても。たぶん、おれよりあなたの方が知っていると思うのですよ!
異世界って怖い! おれの息子よ早く帰ってきておくれ! さすれば、レイシャさんに電光石火で結婚申し込みますので!
断られたら、生きていけない気がしますが。何ならやけになってハーレム目指すかもしれない。
もはや彼らの脳内は現状打破の一手を思いつかない所までいっていたのだった。
***********
事態を急転させたのは、一匹のスズメバチだった。
一度、スズメバチに刺されたおれが大のハチ嫌いと知っている、アレクが、突如会場でハチを抹殺するため暴れ出した。
彼の古龍を仕留めたという一撃で巨人のウエディングケーキは、霧散し、会場は霧に包まれた。
アレクはもしかして、狙っていたのかもしれない。
おれとレイシャさんをかっさらい、戦地を後にした。
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「レイシャさん、大丈夫でしたか?」
「私の心配か? そちらこそ災難だったな。」
お互いに見つめあい、頬を赤らめ見つめ合う2人と一匹。
当然そうなる流れになると思われたが、事態はまだまだ動き出す。
「レイ、手を出してくれ。」
「ん? 分かった。」
レイシャさんに手を握られて、指輪を引き抜かれる。
「いくぞ。3・2・1。」
あら不思議。おれとレイシャさんの身体は元に戻ったのだった。
「え? ちょっと? マジか。」
「待たせてすまなかった。」
なんてイケメンなんでしょう。おれはすっかりレイシャさんに惚れてしまっている事を実感する。
「さあ、帰ろうか。」
「ってうわあ。また戻っちまった!」
「すまん。まだこの力は制御出来ていなくてだな・・・。」
今更だけど、レイシャさんこそがこの世界のチートキャラに違いない。そう思った。
まだまだおれたちの苦悩は続いていくのだろう。この人生をかけて。
それでもおれは君に伝えたい。「君の全部が好きなんだ」と。
また面白い主人公像思いつきましたら、創作の方も進めていけたらなと。笑
ご縁がありましたら、またよろしくお願いします。ではでは。↓
*気付いた人はラッキー♪ 「16」って数字調べたらまた面白いかも♪
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