予期せぬ再会
願望回。誰もが一度は望むこと。それが今!
扇状に拡がる多数の目。スラリとした艶やか青い首筋に,澄きとおった、茶色の目。
その生き物はおれを優し気に見下ろしていた。
「もしかして、アレクなのか?」
クックル~。他の個体に比べて少し低音で返事をしてくれた気がした。
目頭が熱くなる。そこには7年前に死別した、相棒がいた。
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ほとんどの人は、わんこや猫ちゃんのもふもふが人生のパートナーということが多いのではないでしょうか!
実はおれ、孔雀を飼っていたのです。
こっちはこっちで、ふわふわで良いもんですよ!羽の触り心地がふわふわで、もう手の平が幸せ・・・。
ああ、変わらずふわふわなこの感覚。羽がおひさまの匂いがします~。
「なんかさ、アレクでかくなってない?」
おれの愛鳥ことアレクさんがなんとティラノサウルスの大きさになっていたのだ。
何でだよ!
「何食べたら、こんなに大きくなれるんだ?」
そんな事よりも。身体が入れ替わっても、アレクはおれの事を分かってくれていて、嬉しい。
うう。目から汗が・・・。
「おれ、お前が天国いってからも、何度も思い出してたよ。命日とか。おれの誕生日には、おれの事天国から見守っていてなんて、良い歳なっても言い続けていたよ。」
「まさか、また会えるなんて・・・。思ってもいなかった!」
大きな頭をおろし、おれに撫でさせてくれる。
ひとしきり、再会を喜びあったのだった。
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イヴァリアントさんが、おれのほっぺをつねるまで、おれのもふもふタイムは止まらなかった。
「おい。そろそろ行くぞ!」
まってくれ! いや、やめ時は分からないけど! 何ならもう天に召されつつあるが!
「エルフの美女を一目見たいと言っていたな!」
「はい!」
「とびっきりの美女を紹介してやるぜ!」
5分後、おれの前に現れた美女は、イヴァリアントさんの奥様だった・・・。
「・・・。」ナニカガチガウ
「どうだ。世界一の美女だ!」
「そうっすね! めちゃお似合いです!」
「いい加減にして下さい。2人とも!」
2人仲良く頭をはたかれたのだった。
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今人生初の試みをやってみたぜ!
「実は私、エルフの秘宝を手に入れに来たのです!」
今さら感のある、美女オーラちょっと出してみた。
「お、おう。そうなのか。頑張ってな。」
ごめんやっぱ無理だったわ。
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どうしよう。お2人と別れてから、おれは宿無し、飯なしを嘆いていた。
お2人のラブタイムを邪魔するほど、おれも野暮じゃないんだよ。
「お金がねえ~。」
これは、あれか。やさぐれた、ヤンキー美女の振りでもしてたら、神待ちワンチャンあるか。
空から、突然、金貨の袋が降ってきた。
アレクがおれを見下ろし、得意げな顔をしているではないか。
神っ頂きました! ありがたく頂戴したのだった。
*後で知ったのだが、アレクは警備隊をずいぶん前に起業し、かなり稼いでいるとの事だった。
名犬ラッシーの俳優犬(?)の飼い主ってどんな気持ちなのかなって思い、筆を進めてみました。




