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阿翁の思い

父の日回です。

どうぞご覧あれ。


レイシャさんのお母様が主人公です。

私の夫のレンドンの人柄を述べるには、彼の普段の行動を伝えるのが一番である。


食事をしている時、時々私と娘を気にかけるように見やる視線、先に寝室で休んでいる時に、私の髪をふわりと撫でてくる柔らかな手。

彼のこの優しさこそが、彼の強さだと私は思う。



思えば、昔、私はかなりめんどくさい女だった。


我がヴァレンタイン家は、爵位こそ子爵家であるものの、王家から多大な支援を受ける、代々、王家直属の軍部御用達の貴族である。それだけを聞けばよい家のご令嬢だと思うものもいるだろう。


そんな我が家には、ある呪いのような力が宿ることが稀にある。かく言う私は運が悪くもその呪いを背負ってこの世に生を受けた。


通常なら、運命に逆らわず現状に甘んじ、恩恵を受けるのが賢い生き方だと、我ながら思う。

だが、私は運命に抗いたかった。人として生きたかったのだ。


ほとんどの令嬢が、婚約が決まっているであろう、14歳の時。私は婚約者がまだいなかった。


それもそのはず。私は結婚するうえで、ある条件を出していた。


”私と共に運命に立ち向かうこと”結構な地雷臭がするだろう。

自分でもそう思う。


王家からの指令に従わない貴族。もちろん、国からの援助金は全てカットされ、いくら国の経済の一角を担う、我が子爵家でも、財産差し押さえに近いことをされたら、到底立ち行かないだろう。


そんな愚かな私の元には誰もお婿に来たがらなかった。


そんな中、あの男が現れた。


「こんばんは。お嬢さん。今夜は月が綺麗ですね。」

「それ、どなたにも言っているんでしょう?」


軟派な男は興味ないので、軽くあしらってみる。



「わ、分かった。ごめん。正直に話す!」

「ほうほう。それで御用とは?」


「私はヴィクトリアル侯爵家の三男、レンドンと申します。」

「君のパートナーになれる男がもしいたら、何と戦えば良いのか詳しく教えて欲しい。」


彼は照れくさそうに笑うのだった。



*************



彼に惹かれるのにはそう時間はかからなかったように思う。


いつしか、私たちはお互いになくてはならない存在になっていき、婚約をした。


王家の意向に背く行動を取る私たちの家には、もはや支援金などはとうに打ち切られ、家計はいつも火の車だった。


もともと私の夫は、特段優秀というわけではない。だが、彼の必死の努力と人望が、領地の経営を何とか軌道にのせる事に成功させ、彼はいつの日か名子爵と国中にその名を轟かせたのだった。


もちろん、私もできる限りの援助を尽くしたが、ほとんどは彼の力によるものだ。


そして私たちは念願の一族の呪いを解除することに成功する。


私たちの待ち望んでいた、子宝に恵まれたのはその年の冬のことだった。

娘の名前はレイシャと名付けた。


**************


確かな証拠がないので事は荒げなかったものの、私は彼との結婚後に暗殺されかかった事が何度かある。


化粧品に毒を盛られたり、衣服に疫病の魔法をかけられたりだ。一命を取り留めたものの、私に残された時間は多くはないと実感する。


ある日私が、本来かかるはずのない病にかかり生死を三日三晩さまよった際に、彼は全ての仕事を休み自らの手で必死に看病をしてくれた。


その時、私は彼に思いを伝えないまま死ぬのはあまりにも彼に対して不誠実すぎると思った。


回復後、私の思いつきで始めた、日誌が、今でも私たちの習慣となっている。


日誌の内容は、今気にかけている事、大事に思っている思い、もの、などなど。

これを伝えずには死ねないといったものだ。


左ページが私の分で右側が彼の分。毎日欠かす事はなかった。


今日も今日とて、彼の言葉は私と娘に関するものばかりだ。


いつもありがとう。これからもよろしく。


愛を込めて。

           


シャネラより



















にやにやしちゃっても良いのですよ♪


さあて、今後どっかのタイミングで、呪いについても深堀していきます。


*最後に

全国のお父様がた。1年間お疲れ様です。これからも良き父であって下さい。

がんばれ♪がんばれ♪ ではでは。

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