酒場の友
竹林の友って言うじゃないですか!
大人だとこんな感じかな?
友情回です。すみません。サブタイトルが次回のものでした。ごめんねソーリー!
「小娘、先ほどは世話になったな。」
え。誰。おれこの人知り合いじゃないよね。
「おお、自己紹介がまだだったな。私の名は、イヴァリアントと申す。」
先ほどの蝶だ。
なんて?
「先ほどの蝶に宿っていた、悪魔とはこのおれ様のことだ!」
「あ、そうなんですね!」
のりを合わせて言ったものの、全く意味が伝わっておらず。
詳しく伺ってみた。
イヴァリアントさんのプロフィール
種族名:悪魔
職業:キリスト教の神父
目的:2週間の有給休暇の消費
手段:蝶に乗り移ってぶらりエンジョイタイム
あ、そうなんですね。おれは突っ込まない。
「もちろん、不法滞在ではないぞ。ほれ、この世界線の滞在許可証。」
あ、ソウナンダ・・・。
新しい情報が多すぎて、語彙力赤ちゃんでスミマセン・・・。
神父なのに、俺様口調って。
負けてたまるか!ポジサイコ・えんじんをかけてみる。
「蝶に乗って異世界ぶらり旅とは粋な事を!」
「よせやい。照れるぜ・・・。」
「ところで、異世界旅行っておれでも行けます?」
「まず無理だな。管理者権限持ちの一部のヤツしか無理だからな。」
チッ。実家帰るのは無理そうだ。いや、待てよ・・・。この体のまま帰ってもな。
日本語しか喋れない、ロシア美女・・・。国籍無し=人身売買されるかも=息子なし
あれ。良いことないな。いったん元の世界に戻ることを目指すのは考えないようにしよう。
ハーレムまだしてないし。一瞬でも良いから、してみたいよな。
それから帰っても遅くない!
”けえれねえ”という文字は我が辞書にはない!
「おれ様が、羽を休めて魔力回廊ををなじませていたらよお。何とも痛いお嬢さんが真顔で謎の天使ポーズを作って俺を踏みに来るのよ。んで、足でも消し飛ばそうと思っていたら・・・。」
おれはこいつを聖職者って絶対に認めねえからな!
「まあ。お前が良いヤツってだけは分かったよ。自身を危険にさらしてでも、小さな命を助けるって。なかなか出来るもんじゃあねえ。」
「1つだけ聞いて良いか? 誰だその、痛いけど良いやつは?」
「お前だよ!」
「ハッ。おれか!確かに大したこと有るやつだが。そんな・・・。照れる・・・。」
「痛いってとこも大事な所なんだが?」
「まあ、良い。おれがお前を気に入ったってとこは事実だからな。」
「まさか、おれの身体を狙っているのか?」
「は?」
「見損なったぞイヴァちゃん!」
「一発殴っていいか?」
「調子乗ってすみませんでした。借り物なので、勘弁して下さい。」
「?」
ポジサイコ・えんじんをオフにする。お仕事モードってやつだ。
ほれ。ほれ。ほれっと。
あら、不思議。パラグライダーはすっかり元通りになった。
「イヴァリアントさん、これはいったい?」
「時間復刻魔法だ。珍しかったか?」
「おれ、初めて見ました!すっご!」
「まあ。基本だがな。創造の前に破壊有りって言うだろ?」
あ、これは。色んな意味で次元が違う人だ。
イヴァリアント様が手を掲げると、転移陣が出現する。
「おい。先ほどのイリスとかいったか? お花畑な小娘を呼んで来い!」
「はい!かしこまりました!」
「イ~リスちゃん。こっち来て来て♪」
無理やり押してくる。
「連れて参りました!イヴァリアント様!」*ポジサイコなう
「ずいぶん乗りが良いな!お前は!」
「ところで、どちらに向かわれるので!?」
「もちろん、その小娘のお見合いに決まっているのではないか!」
「そ、そんな無理です~。」
あわれな犠牲者の声が聞こえた気がした。
「何を言う!どうせ町まで50kmあるから、今日中には何も行動しないつもりなのだろう!?」
「こんな良い天気の日に!デートにでも早速誘ってみるのだ!」
おれはどっちでも良いので、2人に任せた。
「小娘、イリスとか言ったか!いつも優柔不断と言われるのだろう!確かに、物事をサッと決めて、行動に移れる人は皆優秀だというだろう。だが、なかなか行動に移せないって言うのも実は長所だ。自分の考えを持とうと意識しているのだからな。そこはお前の長所って言っても良い。それにだ・・・。」
「人間は成長できる生き物だ。お前もきっと変われる。おれはお前の中に力を感じる。」
「それで、お前はどうする?」
あの頭ぽわぽわしたイリスちゃんが感激している。
おれも、隣で心を打たれていた・・・。
がんばれ!がんばれ!イリスちゃん!
感激が冷めない内に、転移陣にポイっと放り込み、俺たちは移動したのだった。
えっと住所はっと。お見合い写真の裏を確認する。
「じゃあ。おれが呼んできます!」
「ああ。」
「やりますう!やってやりますとも!フンス!」
**********
「よお。起きろよ!ゴッティ!」
「なんだよ。休日くらい、ゆっくりさせろ!さあ帰った帰った!」
顔をペチペチしてやった。
「おいおい。ゴッティさんや。今日この一日を寝潰すので!?」
「それよりな、耳よりの話があるのだが。」
「おい。悪い顔してるんじゃねえか。レイ! お前がその顔をするのは決まって何か思いついた時の顔だからな。」
起こすことには成功。第一関門突破!
「実はな耳よりな話を持ってきたのさ。」
実はゴッティの事が好きな女の子が、ゴッティさんの仕事中の素敵な姿をみたいのだと。
それも今日近くに来ているみたいだったということ。
「そ、そうなのか!? いや。聞いた事もないんだが?」
「そりゃあ。聞いた事ないだろうよ。だっておれも今日、友人のイヴェリアントに聞いたんだからな。」
嘘も方便である。
「で、どうするよ。」
「うん。本当だったら行きたいんだが。」
「それが、その子さ。かなりのボンキュッボンなんだってさ。しかも美女なんだって。」
「そ、そんなにすごいのか!」
「すごいらしいぜ。あれはもはや、ボボンキュッボンだな。」
「そんなにか。」
「そんなにだ。」
ガシッ。俺たちの意思はまとまった。
デート用に身なりを整えている途中で、入れ知恵をする。
「聞いた話によると、どうやら、かなりのロマンチストらしい。ツーショット写真くらいとってやれよ。」ものは言いようだ・・・。
「なんだ性格も可愛いんか!?」
「お前にべたぼれだってよ。」
「マジか。」
「マジだ。頑張れよ!」
「ああ!」
ドアを閉める時にそっとお見合い写真をゴミ箱に放り込んだのだった。
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2人を見送った後、俺たちはもう一度、先ほどの湖に戻り、イリスちゃんの居場所をニンフさんたちに共有した。半ば強引に連れ出したからな。
目的地が一緒だったイヴァリアント様とおれは、キレイスキー森のエルフの集落へと向かった。関所は
難なくイヴァリアント様の顔パスでクリアする。
流石っすねイヴァリアント様!
2つの路地を抜けた頃だろうか。
突然、視線を感じ見上げると、巨大な山のような物体が動き出した。
「も、もしかしてお前は?」
やっぱり相棒の存在って偉大ですよね!多少わがままな性格も、愛嬌のうち!
おや、明日は休日ですか? 楽しい休日を!




