縁者の加護
ぽわぽわ回。続編です。しばらく続くみたい。
午後のほっこりしたいティータイムにでもどうぞ。片手はアールグレイがおすすめです。
私はホット派。(笑)
突如現れたニンフたち。その中でも年長者と思われるニンフが話しかけてきた。
「うちの愚妹が失礼をした。そのう。あいつはかなりの人見知りでな。変な事を口走ってはいなかったか。」
「まあ、それなりには・・・。やらかしてました。」
あえて肯定をした。
正直このままでは、彼女はヤバいのだから。
「私たちが甘やかしてきすぎたのが悪かったのか。つくづく男運のないヤツでな。」
「そうなんですね。」
おっとこれは話が長くなる予感。
「身体目当ての優男とか美丈夫とか、うん。数え出したら切りがないな。」
「かなりもてるんですね~。」(血涙)
「そりゃあそうだ。あの母性を感じさせるふくよかな胸。丸っこい顔に端正のとれたたれ目。」
確かに、ばいんばいんだった。しゅごい。ダイビングしたくなってきたことは内緒だ。
「あいつ、スタイルと声だけはいいのさ。あ、あと性格もかなりぶっ飛んでいるが、けっして悪くはない。」
パンクファッション風のお姉さん候補Aが語る。
「ただ、その、頭が・・・。」
誰かが呟いた。おれではないとだけいっておく。
うんうん。一同が以心伝心した瞬間だった。
「でも、我らはあいつの事を実の妹ってくらい可愛いんだ。」
「昨晩なんか、あの子なんて言って泣いていたか分かる?」
「そりゃあ、私のくまさんが、お水に溶けちゃったのとかじゃあないんですか。」
「おお、君すごいね!それは一昨日!」
マジですか。
「立ち話もなんだから、そこの木陰で、ティータイムとしよう。」
場所を移動しながらも彼女たちの雑談は続く。
「で、結局なんて言ってたんだ。」
ショートボフ風のお姉さん候補Bが問いただす。
「彼氏が欲しいんだって。あの話し方からすると、正確には旦那様かな。」
「でも、明らかに軟派なやつ、以外の良い感じのヤツからの告白もあいつ断っていたよな。」
「恋に恋する乙女か~。いやあ結婚か?」
「いいですね。」
「そうねえ~。」
ニヤニヤが止まりそうになかった。
でも何だろう、きれいなお姉さんに囲まれすぎてて、おれは帰りたくなってきた。
理由はわからないが。レイシャさんに会いたいのだ。
「そうだ。君、あの子に誰か紹介してくれ。」
「そうそう。何か良い感じの男いないの?」
「なんか私たちが、持ってきた縁談、全て断っているのよ。あの子。」
「やっぱサテュロスとか、ユニコーンとか、山の神とか、キュクロプスとかじゃあダメみたい。」
「意外と、人間が好きだったりしてな。ケンタウロスの坊ちゃんもこの間交際さえ断られていたし。」
「頼むよ。あ、ちなみに、断ってくれても良いけど、その場合、機械破損につき、環境保全代は支払ってもうらうが。」
お姉さんたちの笑顔が怖かったです。はい。
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おれは嫌々ながらもキューピット役をすることにした。
「先ほどは、そのうご迷惑をお掛けいたしました。本当にごめんなさい。」
「いいよ。お姉さんたちからは、お話は聞いていますか?」
「恥ずかしかったら、無理しないで。」
「いえ。ここで勇気をもって、告白しなければ、一生私はこのままなのです・・・。」
「行きますよ!」
「さあ恋!」
「ホントのホントに行きますよ!」
「どんとこい!」
「私が好きなタイプは!お髭がご立派な方で、筋骨隆々で、がっちりした人で、私の事だけを愛してくれる人です!身長は高くなくていいです。後、お仕事大好きな人とかだったら、もう大好物でっふ。」
あれ。ひょっとしてこの子、おれの友人とお知り合いですか?
おいおい。お姉さんがたや。そんな小さな木に10人全員隠れれるわけないだろ。今この子が振り返ったら、即ばれですぜ。
顔を真っ赤にしながら、頭から湯気がたっている妹をにやにや。後で絶対にばらしてやる。おれも別の意味でニヤリとほほえんだのだった。
「この人とかどうだ。お仕事大好き人間だぞ。」
「なんて、かっこいい!素敵な人!」
うん。世間一般には、ドワーフの中でも、マッチョで、ゴツイ強面なんだが。おれの飲み仲間です。
よかったな、ゴッティさんや。これは脈ありそうですぜ!
「このお写真は、いくらで譲ってくれるのですか?」
「気にいったの?良かったらあげるよ。」
流石に。常敗無勝の男の捨て置かれた婚活プロフィール写真を売ることはできないって。しかも勝手にくすねてきたやつだし。写真の裏にはやつの名前、住所、趣味、年齢を勝手にメモしてある。
後、独身ってこともな。
「家宝にします。えへへへ。うへへ。じゅるり。」
おいおい。さっそくしまらない顔になっているんだが。
そろそろこっちも締めといきますか!
「だ、そうですよ。お姉さんがた!?」
ギ・ギ・ギ・・・。軋むような音をたて、今しがた絶賛片思い中のニンフのイリスさんが振り向く。
「何でそんな事するの!ウキー!」
ポカポカしながら、追い回しているのを、流し見しながらおれはパラグライダーの残骸を見下ろす。
上手くいくといいな、あの2人・・・。
「フウ。」
ため息をつく。
「おや、何かお困りで?」
なにか服装からして自己主張が激しい、見知らぬ男性が立っていた。
炭酸飲んだら、脳が活性化しますね~。カフェインより、夜にはオススメですよ。お腹を冷やさない程度に。ではでは。




