表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/27

後悔その2

アパートに帰ったのは、すっかり暗くなってからだ。

明日の分まで買ってきた食材。

夕食作るのは面倒くさいので、近所の激安スーパーのお惣菜にしたから、余計荷物が増えた。


面会時間の終わりまで粘っていたから、すっかり遅くなってしまった。よっぽど、胡桃のやつはつまらなかったんだな。病院食のプリンの味がないって嘆いていたし。


レジ袋をどさりと置いて、コートを脱ぎ、テーブルにノートパソコンを用意する。


さあ、これから今日、明日の休みを利用して、ブログを書く事にしよう。

もう、誰も相談する人がいなければ、自己解決するしかない。

載せれる写真もあるし、丁度いい。


うん、書くぞ書くぞ書くぞ!!


こうなったら、この生活を受け入れて、楽しむしかない。そうだ!広告も入れれば儲かるかもしれないじゃないか。

夢があるな。


パソコンを開いて、自分のよく見るブログサイト《ガメラ・ブログ》にアカウント登録し、メール登録、自己紹介文、

ヘッダーって……どうしよう?ブログサイトで選べるフリー素材を使っとこうか、自分の写真使うと調節時間かかるし、まだブログ初心者だし……。書式とかうーん……。


パチパチパチパチパチ


ああ、ランキングどうしよう?


え?コメントはとりあえず受付okで。


パチパチパチパチパチ


うわぁー、全然書けてないのに時間かかったわ。色々設定するのに時間がかかるんだよね。まずは、自分の写真を載せようと思ったけど、撮ってなかったなー。また、撮ってこようか?でも、スマホをもう一度持っていくのはどうかな?


……写真だけなら、スマホではなくてもいいんじゃない?


と、言う事でデジカメを首にかけて寝ることにした。寝相で壊さなきゃいいけどね。


ああ、今日文章が半分も書けなかった。


遅筆だなぁ。才能ないかも?





###########





朝は、メイド達が起こしに来るのから危険だ。

鍵をかけたいけど、寝坊するのもよくないからね。

何かにつけて、お父様に筒抜けになるから、スマホの時のようにならないよう注意する。メイド達より早く起きれば問題はないけど、この世界に目覚ましはない。

時計そのものはあるが、大変高価だったので、それほど数はなく、また小型の物も今の所見ない。


時計も現実(あっち)から異世界(こっち)に持ってきておこうかな?


ま、今はとりあえず写真だ。


私はシーツの中にデジカメを上手くメイド達の目から隠し、隙を見てベットの下へ隠した。


よし、これで、朝食後に回収して、学園に持ち込むのだ。


私は、朝食後に、急いで自室に戻った。



箒を片手にベットの下を覗き込む、メイドのパレットを発見。



またお前か!!

頭の中でささっと文章が浮かんだ。




ーサムソーニアは、メイドに掴みかかる。

 〈お前は、お父様のスパイなの?部屋を嗅ぎ回るなんて許しませんわ!〉

メイドを突き飛ばし、メイドの持っていた箒で何度も叩くサムソーニア。

誰もいない部屋で、メイドの悲鳴が響き渡る《設定10秒後》ー





流石に理不尽だよね、これは。


部屋のドアを施錠してからゆっくりとパレットに近づく。

パレットは、折檻を予測して、ギュッと目を瞑る。

私は、湧き上がる怒りを押さえながら、パレットを素通りして、ベットの下にあるデジカメを取る。


『これは、特殊な魔道具なの』


電源を入れると、ウィーンと鳴る。液晶画面は暗いままであり、使えるかどうかわからないけど、パレットを写すようにカメラを向けて、シャッターを押す。


写した瞬間に彼女の映像が機械から腕を通り、頭に到達した感覚を覚えた。


これも……異世界カスタマイズなのかなぁ?

多少不安もあるが、普通に使えるという事かな?


パレットにデジカメを渡し、こちらに構えてからシャッターを押すように指導する。


『うわわわわ、何ですか?これ?』


『騒がないで。これは(わたくし)のお母様の形見です。』


人差し指で、パレットの口を押さえながら、静かに嘘を盛る。

面倒くさいから2回目の形見ネタにしてみた(笑)


『お父様に見つかったら、取り上げられます。死んだお母様が大切に私のために残してくれた物です。命より大事なものですわ。』


『命より……。』


デジカメを持つパレットの両手を包み込むように握り締める。


『お願い、内緒にして頂戴。』


そのままパレットに顔を近づけて、甘く囁くように言ってみる。

パレットは顔全体を真っ赤にして、恥ずかしさのあまり視線をそらした。


『あの、だ、旦那様には黙っています。私で良ければ色々協力しますし……。』


『助かるわ。』


ドアがガチャガチャする音が聞こえる。


パレットは私にデジカメを渡すと鍵を開けて、慌てて去っていった。


ドアの前にはクラフトが立っていた。


『お嬢様、あまり個人的にメイドと親しくなるのは感心致しません。』


『あ、はい。』


私はデジカメを鞄に入れて、隠すことに集中していたため、特に否定をしなかった。


……また誤解が深まった。





###########






写真無事にゲットで完成!!


今日、やっと「異世界日記」が書き終わった。


貴重な日曜を使って、長かったよ。


もう今日は遅いから、閲覧数を上げることを考えて明日の7時に予約投稿にしておこう。


出す前にもう一度確認はするけど……ああ、もう明日、明日、明日だ。


目が疲れた。相当疲れた。


私は恐ろしく趣味でないレースの寝間着に着替えると10秒もかからずに眠りに落ちる。


今日は、目覚まし時計を首に下げてみた。異世界(あちら)で使うことを期待して。


携帯は本の隣に無蔵座に置いてあった。


私が眠りに落ちてからすぐに携帯は鳴り響いた。全く私の眠りを妨げず鳴り響いた。何度も何度も。


この時、早く寝てしまったことを後で後悔した……。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ