現実世界と異世界 単なる夢じゃなかった その2
色々情報を整理すべきよね。
……と、思い立ち今日は紙に色々書き出してみた。
いつも、自分に悩みがある時の解決策だ。
悩みを書いて、その解決方法をとにかく書き出す。
単純だが、友達少ない自分にとって最善の方法である。
賑やかな喫茶店ドットウールの片隅で、携帯をテーブルに置きながらも、ボールペンで書き出す。
貴重な昼休み……いや最近帰ってから、寝てしまうのよ。だから、この時間しかない。
会社から徒歩5分のここでの単純作業。
アナログだけど、そこが良い。
たまには、手で書かないと、漢字ド忘れするんだよね。
……で、本題!
何故、私は異世界に飛ばされたか?
ある日、黒い本を胡桃の店から持ち出したから。本のせい。
胡桃は記憶にない、鈴木さんも記憶にない、でも家に本があって、その本は変な本だった。
テーブルから持ち出し出そうとしても、離れない。黒い表紙をめくっても何も書いていない。
それと、一枚しかわからなくて、一枚掴んで次を開こうとすると、バシンと黒い表紙が強い力で閉じてくるんだよね。
本に意思があるみたい。
ということから導き出される答えは、この本は魔法の本ということか、もしくは自分がおかしいかの二択。
解決方法として今度の休みに誰かを招待してから、みてもらうかな。
あの本見たら、なんていうのか……怖いけど。
眠るイコール異世界への状況について。
この状況を打破するには……
寝ない。それは拙い。
本がどうにか出来ないし、異世界へいくのをやめるのは不可能そう。
ただ、このままだと精神的に駄目なのはわかる。
混乱してる……何か早急に対策取らないと、現実も異世界も耐えられない……かもしれない。
と、いうか私は本当に寝てるのだろうか?
人間は3日不眠で記憶力が曖昧になって、4、5日で白昼夢見たり、簡単な計算が出来なくなるとか聞いた事がある。寝られない状態の白昼夢イコール異世界の可能性もある。と、いうことは、自分が単におかしいせいという説、一歩リード。
誰かを自分の部屋にか……胡桃ぐらいかな。
いずれにせよ、すぐに出来る事ではない。あいつも忙しいし。
今日も、異世界にいくのなら、自分の事も紙に書いて、チェックしとかないと……
「ずいぶん、熱心に書いているな?何?小説のネタ?それともブログのネタとか。もうすぐ昼休み終了ですよ。」
私の背後から、ニヤつく背広姿の青年が、書いていた紙を取り上げた。
私は庶務課で、この後輩は営業課だから全く接点がないにも関わらず、こうしてたまに出没してからかう。
こんな所にまでくるとは、ストーカーか?
「返してよ。小説とかブログとか、仕事忙しくて出来る訳が無い。」
彼は、上条修也23歳。今、流行風のツーブロックの髪に端正な顔、180センチ以上あるだろう高身長で女子社員にモテモテのイケメンだ。
だだ、私には、単なるクソ生意気な奴だ。
紙を取り返す。
「独身女子のなんとか日記とか、愛染さんなら書いてそう。」
「失礼ね。」
「僕はブログをやってますよ。営業する上での売り込みに使ったりしますから。聞きたい?ねぇ聞きたい?」
「うるさいな、あんたのブログってわかったら、思いっきり評価下げてやるわっ」
彼に対し、腕を組んで、そっぽを向いた。
折角の昼休みが台無しになる。
こいつは、何かと昔から私にからむ。
会社ではハーレム状態なのだから、地味な私ぐらいほっとけと思う。
紙を見られたのは、痛かった。
あ……ブログ、ブログ、ブログ、ブログか。
確かに、いい方法ではあるな。
書いても、誰も信じないし、人の意見も聞けるし、相談もしやすいかも。
何より、自分の状況を冷静に、客観的に判断出来そう。
コイツ、たまにはいいこと言うな。
なんてことは本人には絶対に言わないけどね。
昼休み、確かに、もう終わりだから帰らないと(汗)