前へ目次 次へ 9/36 9.汽車の煙の下で一服を SLから吐き出された煙が風になびいている。 その煙の下でタバコの煙を吐き出す組長と古谷。 「ここ、吸っても大丈夫なの?」 里美が呟く。 「こんだけ煙が噴き出してるんだもん。大丈夫でしょ」 と、日下部。 「でも、ほら。あれ」 美子が指したところには“禁煙”の文字。 慌てて建物の陰に隠れる二人。 機関士も見て見ぬ振り。 汽車は再び時間を遡り走っていく。 ゆっくり、ゆっくり。 二人はまだ席に居ない。 「お客さん乗られましたか?」