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食堂

食堂


 大型ダイニングホールでは、朝っぱらから400グラムステーキにがっつく男がいた。

ダイランである。

さっきは、400グラムステーキ出せ!と朝から無理を言うダイランにメイド達は困り果てポッカーの母親はそうさせたのだった。

MMは紅茶のカップを傾け、仲の良い富豪達の円卓からダイランを目を細め見て、ダイランの円卓にはフィスターが困った顔で「贅沢はいけません」と我が侭上司に困り果てては、2人の子供が呆れてジュースを飲んでいた。それが一家族に見えてMMは目を細めたまま向き直り、彼等の経済の話に戻った。

キャリライはリカ・ラナの贔屓である美女達のテーブルでほほ笑み話し合っていた。

マンションオーナーは彼女が好きなジャズシンガーの老人の席でほがらかにあの低い声で笑い話し合っている。

ポッカーの父親はサダングループ代表取締役員達の席で話し合っているが、当然機密プロジェクト内容は今話し合われるべき事では無い。

MMに反対するのは半々だ。空気は今は普通に流れていた。

ポッカーの母親はマンションオーナーの横でまた受けて笑い噴出していた。

ダイランは肉が終るとサラダをがっつき始めた。

ダイランは呼ばれて立ち上がり、ダイニングルームを出て行った。それをMMやマンションオーナーは視線で流し追った。

ダイランは電話に出ると、部長からだった。

「マジかよ」

「その口調を改めなさい」

「それで本部長はどうなった」

部長は今の所はもう一度言うに押えると本編を切り出した。

「彼は何か決定的な事を掴んでいるに違いないが、まだ吐かないそうだ。謎の殺し屋は消えたまま本部長の妻を見張らせる事となった」

「誰が来る」

「2人程回す。君はもう下がりなさい。これ以上は捜査の止められた中を動きにストップが掛けられる筈だ」

裏を返せば、止めたと見られる本部長の捕まった今は影でさらに動き易くなったという事だ。

「本部長の娘の遺体は」

「近隣総合病院から押収した」

「そうか。MMの状況は落ち着いている。他の関係者はまだサダングループとMMとのなんらかの契約内容を言わないくらいで、直接の怨恨関係はダイビング自殺した女の調べで分かる筈だ。ココソカは雲隠れしたままだ」

MMのわけのわからない性別はダイランは報告しなかった。フィスターにも口止めさせた。

「俺達は施設に2人の子供を届けさせてから一度戻る。妻を見張らせる人間は間に合うのか?」

「もう着くはずだ。顔合わせを裏で済ませてくれ」

「MM共は泳がせておくのか」

「サダンを張れば充分だ。それで、何か出たのか」

「怪しい動きは出さねえ。こちらとしたら、もうしばらく泳がせて様子を見たい所だが、ポッカーの両親に一切接触させなかった時間が多いから多少MMを放す方がよさそうだ」

殺し屋の動きが気になった。きな臭いものだ。

「では、一度詳しい報告のために戻ってくるように」

「イエッサー」

ダイランは戻ると、椅子にかかるネクタイを持ち出て行った。フィスター達も食べ終わり続いた。食堂は緩い生演奏が流れる。

「一度署に戻るぞ」

「分かりました」

「2人とも来い。送って行く」

「もう帰るの?あたしもうちょっとポッカーの写真見てたい」

「僕さっきポッカーの映画のビデオとか本とかプロマイドもらっちゃった〜」

「ええ本当?!じゃあ一緒に観よう!」

2人は浮れはしゃいで走って行った。

フィスター達が乗ってきた車に乗り込み、ダイランはオーズッドから荷物を持ってきてから朝、漸く動き出した業者に車を運ばせていった。

乗り込んだ車のトランクに自転車を載せると、コーサーを残し、3人を車内に乗せたまま一度屋敷に戻る。

ポッカーの両親に挨拶に行くと、視線を一瞬渡してきた人間2人を見てレストルームに向かい、状況を交換しあってから屋敷の玄関へ向かった。

MMはダイランを見てから、ダイランはMMを見た。

歩いて行き、柱に背をつけ他の富豪達と話すMMは自分の場所まで来るダイランを葉巻を放し見て、ダイランは一度ホール中に差す光りと窓の外の眩しさから目を細め、MMを見た。

「何か?」

「今の所は逮捕状叩きつけるのは無しにしてやる」

「それはどうも」

ダイランは一度息を吐き出してから踵を返しエントランスへ向かって一直線に歩いては扉から出て行き……

MMはその白シャツの背を、しばらくはすっと見つめていた。

光に飲み込まれ、眩しさに同化して行った。

ダイランは車へ戻ると発進させた。

リグとエリーは園内へ戻り、先生達は警備員のおじさんと話し合っていた。

車両を見つけると誰もがこちらを見て来て、降り立った2人はダイランとフィスターの後ろに隠れて上目で見た。絶対に叱られる。

先生達は駆けつけて、口を開こうとした先生を警備員のおじさんが肩に手を置き、彼女は振り返ってから頷いた。

「どうか、叱らないでやってもらいたい」

2人は前に出てきて、先生は彼等の前にしゃがんで抱き寄せた。

「よかったわ、無事でいてくれたのね」

2人は驚いて顔を見合わせ、泣きそうになった。

「ごめんなさい、」

そう涙声で言い、先生達は彼等の髪を撫でながら言った。

「マリーの事をあなた達が心配している様に、先生達もあなた達がとっても大切なの。お願いだから、先生達に相談してもらいたかったわ。彼女の事に、あたし達もしっかり取り組みたかった」

「はい」

「本当に良かったわ。今度からは、みんなを心配させないでね」

そう、もう一度2人を抱きしめ、肩の後ろの警備員のおじさんはウインクした。


 昼近く、リーデルライゾンに到着した。

飛行機から降り、ダイランは一度部屋に戻ると荷から写真を取り出し、それを見下ろした。

辺りを見回して、クロゼットに視線が行った。

扉を開けきょろきょろと誰もいないと言うのに見回してから写真を棚の2段目に立てかけてから、締めた。

締めて、俯いたまましばらく口を噤んでノブに手を掛けたまま、床を見つめた。

ダイランは帰って来た事をマスターに電話してから、またしばらくしたら出る事も言うと受話器を置いた。

ダイランは部屋のキーを回してから口笛を吹きマンションの階段を軽快に降りていき、署の覆面パトカーに乗り込むと署に向かわせた。


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