サダンドライブ
サダンドライブ
社長夫人、ライザは美麗な鋭い目元をしてワイングラスを傾けた。
俺は弁護士にあの海の別荘の権利書を預け、サダンの別荘に到着し俺達はリムジンから出てリビングへ来た。
明日にはグランドピアノが運び込まれる事になっている。海の別荘の売却をすぐに済ませるとリーザリーは言い、ね?と俺の目をしっかり確認する様に見た。俺は観念して頷いた。
本来ならば彼等は揃って子会社の不幸に葬儀に向かわなければならない。代表取締会役員のボスとしても部下の訃報に顔を見せるべきだ。他の助役達の出席も既に済んでいたが、本社社長のサダンは向かうわけにはいかなかった。元部下の俺もそうだ。
警察はまだうろつき、いろいろ探っているらしい。警戒するべきだと。
それに、この時期には止めたいのだろう。マリアの自殺も葬儀を開かずに墓を立て済ませたくらいだ。
逆に相当の事が無い以外には本社社長が子会社の葬儀にはわざわざ赴く事など無かった。
マリンのあの墓石を見て、俺はようやく家を売り払う区切りをつけなければならなかった。
愛する人の確実な不在。それを、思い知らされた気がした。
進むべき方向が今、記され岐路に立たされている。それでも、独自に調べ上げるべきだ。
自分としては葬儀に向かい、直接ジェポン社長に話を聞きたかったが、サダン社長からは許されない事だった。
設計会社入社7年目のマリンは10年プロジェクトの何を任されていたのか、俺を買収させた事でマリンは何を失い、何を失脚に追い遣られたのかの経緯。MMはサダングループに何をさせようとしているのか。もしかしたら、マリンは何がしかの秘密事項を掴んだのかもしれないのだ。何らかの形で残っているとすれば探すべきだ。
他の子会社の社長達も集まった葬儀にはそれら代表取締役員が揃っている。俺が役員会議には出席できない分、他の分野では何をサダン社長に任されていたのかを聞けるチャンスだったものを。MMと関わりがある人間も全て探れた。
プロジェクトに関わったマリンと関わる俺を今のうちに黙らせる為の結婚?その他には?
誰に自殺に追い込まれる決定打を?サダン社長?MM?プロジェクトに関わる誰かのはずだ。信じたくは無い。自分の心の中の事だけだとは。
だから、今こうやってのんびりと隔離されているよりも向かいたかった。
ピアノが弾きたい。
心を落ち着かせたかった。あの旋律を旋律を聴いているだけで、大海のあの潮騒と重なる音。海を楽器にしたかの様な名器。たまに鯨が潮を噴かせる低い音……マリアと共に回った海の青。
「遠い目をしている時は素敵な思い出を人は振り返っている時だわ。そうでしょう?」
俺は彼女の顔を見てから目を大きくして腕を広げ、彼女の肩に腕を回した。
ピアノを弾けば母なる大海へ抱かれている様な安心感を、旋律が身を包んでくれる
時に海の悪魔に溶き狂う様な激しい潮騒を乗せ




