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色彩の称号=不安色の灰色。疑惑の闇色。

 色彩の称号=不安色の灰色。疑惑の闇色。



 燻し銀の映画俳優の本名は、ロジェスキー=グラディエル=ジェポン。

元々どこかの実業家の息子らしい噂は知られていたのだが、夕方にその有名俳優の自殺がニュースで騒がれた際に本名が提示され、世間はそれがサダングループの一員として名の知れるジェポン一家の一人息子だった事には、驚きを隠せないようだった。

 ヨーロッパから15年前、アメリカに進出したサダングループは高層ビル建築設計を一分野に置く他にも、様々な分野で活躍の場を広げる大手企業であり、巨大なジェネラルコーポレーションだ。サダングループの代表取締役員メンバーとして就任したジェポンは、アメリカ進出を果たした際に設立された高層ビル建設時の巨大空中庭園設計建築会社を任されている。

最近、MMに買収されたのがその会社だった。

 ブルーホールで自殺した女性、マリン=サリバン。彼女はその空中庭園設計会社の専属デザイナーとして、様々な場で活躍を続けてきていた女だった事が判明した。

彼女の自殺理由はまだ警察側は掴んではいない。その事を聞き込みに行かなければならないのだ。息子の自殺とデザイナーの自殺が絡んでいたとは見られてはいないが、サダンと会社自体に何かが絡んでいるのかも。


 警察は同様に、会社がMMに買収された事実もまだ知らない。もし知れば、その設計会社を一部に置いているサダン、もしくはその会社自体への脅迫の線を考えるのではないだろうか。息子とデザイナー双方の自殺はやはり、大きな心的負担になる。そこを付け込むような人間ではMMは無いのだろうものの。

買収された後に一人のお抱えのデザイナーを失っているのだから。


 ロジェスキー=Gの父はダイニングスポットで自殺したデザイナーの自殺は、妻の取り寄せていた映像で分かっていた。

彼女が空中庭園の仕事を手がけたマンションの完成パーティーで紹介された養女までもが、自殺映像に加えられていた事を知るや否や、彼は余計にMMを信用できなくなっていたのだ。

 女王の自殺は、ビジネスマンとしてMMがどこかに依頼されて仕向けた暗殺だったのかもしれないが、著名人達の自殺に紛れさせたのは女王自殺なのでは無いと思った。

自分を精神的に失脚させようと愉しんでいるのだ。

彼グループの大社長が、MMの一任で会社を任せる事を反対していた。MMは彼にいい条件を多く出してきて、共に妻が入りたがっていたMMロイヤル会員にも加盟を許した。渋々契約を彼は飲んだが、結局はこうやって崩してきたのだ。

 自殺志願者が彼の周囲の人物に偶然重なりを見せただけでは済まされない事態だ。MMから言わせれば、一企業グループは微々たるものなのだから。徐々にサダングループを壊滅させて行くつもりである事を彼には分かっていた。

 サダンは国際的にも名の通った大手で、MMとのビジネスを交渉し始めたものの、MMはどこかしらアメリカ者嫌いな風を思わせる噂は知っている。どこの国の上層とも繋がりを持ち、国家的な力を有するMMが人種を不明にしているからには、どこにも敵を回すべきでは無いのだろうに。

 何の為にサダンを貶めようとしているのかを考えると、頭が痛んだ。理由など100有り、共に100程無いのだから。

サダンを潰させ、MMが会社の取締役員に加わる事は頂けない。

 ジェポンはドアをノックされた方向を見て、書斎机から応えた。

「あなた。バドルから電話です」

「ああ」

彼は元気の無い妻から受話器を受け取ると出た。

「私だが」

「社長。ニュースを拝見しました。息子さんの事は、ご愁傷様です」

「ああ。見たのか」

「はい」

「朗報を伝えら無くてすまなかったな。今の時期だ」

「いいえ。……。一体どういう事です。息子さんが亡くなられたなんて」

最近自殺した設計士とは恋仲だった役員のその男は、MMに会社を買収される事に社長と共に反対していたが、大社長の長女との結婚が決められてからは、グループ本社に組み込まれることに決まっていた。

「MMが関係している話を聞きました。何のプロジェクトなんですか。本社も関係している契約なんでしょう。俺だって、まさか設計会社を潰したいが為だとは思えない。俺はMMの元、本社に引き抜かれて何をさせられるんです。大社長はMMネットワークとのプロジェクトをまだ結婚前の俺には話さない。彼女まで行方不明になって、今度はロジェスキー君がだなんてあんまりだ」

「バドル。あまり詮索はしない方がいい。私も様子を見ているんだ。一人、警官に知り合いが出来そうでね」

「当てに出来ると思って?報道されたものを捜査は打ち切られた。誰が根回しをしているか分からないんですよ」

「ああ」

ジェポンは最近自殺した映像のマンションオーナーの養女の実父を知っていた。だから、その警官、ガルドという青年も今に止められる恐れもある。

今の内に彼と何がしかの方法で話し合いをする必要がある。

「プロジェクトのことだけでも教えてください」

この設計会社と同じグループ内の精密機器会社共同で長年行って来た研究施設設計と機械設備のプロジェクトだった。

バドルは3年前に、他の大企業から移った人間であった為に機密プロジェクトには加わってはいなかった。だが、あの自殺した設計士は7年前から一部関与していたのだ。

研究施設の内容は、大型の医療開発分野。そこでの機器を精密会社が、建築会社で表立ち設計をするわけには行かないというサダン社長の言葉から、この設計会社にこの巨大な依頼が来たのだ。サダン社長はとある医薬会社からその依頼を受け、共に開発に乗り出したらしい。その医薬会社が秘密裏でプロジェクトを進めたがった大元なのだろう。その医薬会社がMMと新しく契約を結び、事を運び安くするらしかった。

その前任をMMが持ったのだ。

確かに例の女設計士がいなくなっただけでは、プロジェクトには何の痛手にもならない。だがこの設計会社自体には大きな痛手だ。

元々彼女が自分の性別に悩みを持っている事は知っていた。バドルと深く愛し合っていた事も分かっていた。

「俺は身内になって後にMMを潰すつもりです。サダンには大きな力になるかもしれないが、この設計会社にはそうなるとは思えない脅威ですよ」

彼は3年しかいないという物を、この会社の事を想ってくれている。マリンの存在もあったのだろう。

「バドル。無茶な事くらい分かっているだろう。個人でMMに太刀打ち出来るわけが無い」

「MMも一人の人間ですよ」

バドルは通信を切り、ジェポンは溜息をつき疲れ切った目元を抑えた。


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