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色彩の称号=黒薔薇とブロンズ孔雀

色彩の称号=黒薔薇とブロンズ孔雀



 MMは個室に来ると一人崖のソファーに落ち着き、コンピュータを広げた。

その時にくしゃみをし、目を伏せてもう一度くしゃみをした。誰かが自分を悪く言っているのだろうか。そんな妙な迷信は信じない質だが、MMは腕を擦り両足を引き寄せては孔雀倶楽部のパスワードを打ち込む。

 優雅な孔雀が羽根で風を送りブロンズの中を画面一杯に広げた。


     EIN 

  VORNEHMER

   PFAUEN

    KLUB


黄金の書体が孔雀倶楽部の文字を大きく描いては妖麗な孔雀の極彩色のブロンズ、青、緑が優雅に柔らかく揺れる。優しい目元の孔雀はまるでウインクした様に見えた。

任されていた孔雀の間のデザインの最終確認をし、業者と依頼人に転送する。

 孔雀をモチーフにしたブロンズ装飾の香水の薫りはまだ薬草とハーブ、香油、花の配分を決めかねていた。ムスクとジャスミンを主体にしたいのだが、ラストノートまでエレガントに仕上げたい。ボトルのデザインは5通り描き終えていた。

既に孔雀のボトルの香水は10ある。それぞれに花など、他の植物の芳香エキスを加えた物や、森林形成場所の香木を主体にしたものなどがあり、今回は花を主体にしたかった。

今回ダマスクはあえて加えない。思い当たって白百合を加える。エキスを黄金からシルバーに変え、装飾のブロンズ透かしをプラチナの孔雀羽根に変えた。

 孔雀モチーフの装飾品に入る。

孔雀の羽根のブロンズ金の幅の広いブレスレットプレート、それに透かし彫りを施したカバーつき時計を付けるか付けないか迷った。ブレスレットとは別に、丸みを帯びたいびつな細いシルバーの孔雀羽根にそれを取り付けてみた。文字盤にサファイアの石を付ける。カバーには孔雀の透かし彫りを施す。

思い立って、銘木の細丸いバンドの取り付け部分を黄金の菊の丸を付け、時計版のカバーを孔雀のエナメル加工にする。カラーは孔雀色、ブランデーカラーの孔雀カバー、薄桃色の孔雀カバーにして、ブランデーカバーだけを六角形にしてオニキスでサイドを覆い、銘木のボタンを付けた。薄桃の物は銘木でなく、プラチナの細丸バンドにした。

 次は大型バイクのデザインに移った。殆どの構想は決まっている。企画書を開き、黒の車体に鮮やかな孔雀の羽根をアールデコに彩色する。他の黒の車体にも、黄金琥珀の羽根のバリエーションも付けた。白の車体にはブロンズの羽根を流線的に描く。

ホイール部分の装飾は黒の車体はシルバーで羽根を広げた孔雀。白の車体は黄金の孔雀。それらはエンジンやマフラーも同様にした。黒の車体はマフラーはそのままだが、白の車体の黄金のマフラーにはレリーフを施した。

 孔雀の会の次回の予定を確認してから、オークションの出典の餞別に入ると、コレクションのページの返信を一通り済ませる。

 悪魔倶楽部のパスワードを打ち込んだ。


       DIAMANT NOIR

    UN CLUB DU DIABLE

  DE L’AUBE  DU  MASPUE


凶悪な漆黒の動物を模した悪魔が羽根を広げ、骸骨に化して行く。

悪魔モチーフの調度品のデザインと、室内デザインを終えると、信号に気付いた。素晴らしい悪魔の絵画がまた闇から流れたその5点を確認する。それらを購入する。

 蝶倶楽部のページを開く。


    UN CLUB 

       DE 

  LA MARIPOSA

     BONITO


モルフォ蝶が闇の中を羽根をゆっくり広げ、背後では純白のユニコーンが2頭揃って漆黒の夜空を駈けて行った。

 新しい会員が増えている。彼等の調べを付けてから、5人を除外し、9名を容認した。彼等の顔を取り込み、彼等9名にオーナーからの贈り物として、次回の宴への紹介時に取り付ける為の上質なエナメルで模したそれぞれの蝶のアイマスクを作らせる企画書を送ると、彼等の自宅の城に贈るらせる。添えるメッセージも書く。黒の硬質なカードにプラチナでメッセージを記し、黒石材のローズポイントカードも添える。MM倶楽部の会員カードだ。

 薔薇倶楽部のパスワードを入力した。


    A PLATINUM 

  ROYALROSE CLUB


「?」

 眉を潜めて足を下ろし、状況を素早く確認する。まさかの倶楽部に潜入されたのだ。しかも上流グレードで。

信じられない。どこの回線からかを辿ると、それが分かって毒づいた。

一体誰がハックしたのか、調べなければ。危険だ。

これだから一般の屋敷に住む会員は困る。まさか管理を怠っていただなんて信じられないメンバーだ。

 MMは激しいモーションを掛けられ、仕方無しに応える。画面を切り換えた。

「やあ」

「シェリダン」

「今、君の事をふと思い出してね」

「へーえ」

「今夜パリに来ないか」

「行かない」

「今はどこに?その室内の背景はサダンの屋敷か」

「そうだけど」

シェリダンはつれないMMにもう一粘りする事にしたが、あっけなく切られそうになった。

「実は今、見ての通り動物を見ている」

「縞馬」

「ああ。一緒に選ばないか」

「馬っ鹿じゃない?」

 切ろうとし、またシェリダンが止めた。MMは呆れて「一体何」と多少苛付いて腕を組み、ロイヤルジャスミンの灰を灰皿にそっと撫で落とした。

「父から連絡があってね。君を警戒している」

「ああそう。慣れてる慣れてる」

「待って欲しい。今日話そう」

「俺の都合を変える値打ちはあんたには無いんだ。じゃあな」

シェリダンは他所を見てからMMの顔を見た。

「会いたいんだ」

「ふざけるなよ」

 MMは通信を切ってからまた掛かって来たのを出た。

「怒っているのか?」

引き込まれる魅惑的な顔だが、MMは目を細めた。

「悪いか?しつこいのは嫌いだ」

「ジェーンと親しくしたからか」

「思い上がるな。もう切る。食事に戻るからな」

 そうパソコンを閉じると、金庫に仕舞い個室を出て行った。だが扉と枠に両手を掛け振り返った。薔薇倶楽部を調べる必要がある。早急にだ。

また戻り、シェリダンを呼んだ。

「応えてくれる?」

「ココ・ソカに連絡を繋いでくれ」

「ああ」

「悪いな」

「いいや」

 ココ・ソカに問い合わせる。

彼女はMMの趣味団体の殆どを網羅している。

「ああ、あの彼女。本当?やっぱり雌犬は嫌ね」

2人はレズビアン同士だからだ。あの妻の事で、ココ・ソカが気に入っていて引き入れた女だった。MMは断っていたのだが。

「困らせたわね。回線を打ち切ってしまいなさいよ。倶楽部会員から外れるようにあたしから説得しておくわ」

「いや。俺がやるからいい。悪いな」

「とんでもないわ。でも、彼女の事叱らないであげて?彼女楽しそうにしている姿が本当に可愛いの。他の会員は続けさせてあげる事くらいいいでしょう?お願いMM]

「駄目だ」

「パスワードの関係よ。探られたというのもね。いいわね。あたしから注意しておくから」

 彼女は勝手に通信を切るとMMは口を閉じ大きな目を伏せきゅっと一瞬、猫のような顔をした姿がまた現れたシェリダンに見られて、くすりと笑われた。

 MMは気を取り直して有無を言わせずココ・ソカの玩具女の回線を全て断ち切らせると、彼女の全会員契約を破棄完了させてから通信メールを送り、データバンクと銀行使用状況の契約を破棄させ、ローズポイントをゼロにし、預けられた担保分と預金を小切手にして他の提携する銀行宛てにメールを転送した。

原因は分かっている。どうせ、ダイランが潜入したのだろう。息子の葬儀で。

葬儀なんて、一番気が緩み人々の心に隙が出来る時だ。それをガードを解いたなんて。自分が傷心して気が回りに回せない事は分かっているのなら他の警備員を今の時期雇うべきだったのだ。

捜査打ち切り時にこそ下で動く人間が出て来ると言うものなのだから。とは言え、どうも気を回せないだろうからこちらが配慮するべきだった。問題発生している最中の会員はすぐに調べが着くのだからこちらから一方的な回線の打ち切りを掛ける事は今までしてきた事だった。自分の事に関わるのだから自分でやらずにそう護れというんだ。

「MM。問題解決したのかい?」

「元々そんな物起きていないが」

 すぐに消した妻の回線からメールが届いた。

「今夜会おう」

「シェリダン。先約があるんだ。何度目で分かってくれるんだ?」

「分かった。そうなだ。引き下がろう」

「あのジェーンにでも声掛けてろよ。じゃあな」

 MMは通信を切りメールを開いた。

一方的に契約放棄された場合は契約破棄完了メール転送後開封から10分の間はメール受信を受け付けていた。

 『MM。

  ごめんなさい。前述は省きます。

  何故契約を打ち切られたのですか?』

 『契約違反に伴う事だ』

自分ではコンピュータに詳しくない者はハックされた事を調べられないのだ。

 『ココ・ソカの紹介なのよ?あたしは』

 『関係無い。そのここ・ソカに迷惑を掛けたくないのなら引き下がってくれ』

 『迷惑を?』

 『もし、妙な事を考えれば彼女をあんたの紹介者として除外するという事だ』

 『そんな!』

 『警官に周囲を張られているんだな』

まるで息詰まった様に返信が滞った。

 『はい』

 『俺が静かにさせる。安心しろ』

 MMは通信を遮断させると立ち上がり個室を出た。

「お呼びが掛かった」

「まあ本当?忙しいわね。まだ3時間しかいないというのに」

「本当に悪いな。今度、埋め合わせを必ずしよう」

MMは微笑んで二人の両頬にキスをしてから廊下を颯爽と歩いて行った。

 次女はMMの頬にキスを寄せてから、リムジンに乗り込んだMMに微笑んだ。

「パパが今度はエルミタージュホテルで夕食をと言っていたわ」

「そうだな。また次回」

これから契約を円滑に結ぶ相手に、女の父親は大きく微笑んでからMMを見送る。

MMは古城を去って行き、この地方のMMエアポートまで進めて行った。

元薔薇倶楽部の会員だった妻の屋敷へは今は向えない。ダイランが張っているだろうからだ。

600マイルでかっ飛ばして行くと、エアポートに到着しパイロットを叩き起こし操縦させた。


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