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色彩の称号=縞馬。モノトーンの疾走。

色彩の称号=縞馬。モノトーンの疾走。



 縞馬が駆け抜けていった。城内部を改築した繁殖動物館にはMM動物保護倶楽部の様々な繁殖動物が揃い、この室内ホールには50頭の縞馬が芝の上を駈けていた。

ここはリーデルライゾンの猛獣園を持つリカーと同じ自然保護協会とも繋がっているので、サポーターの彼らが専門知識があることが、前提で願い出れば繁殖の手伝いが出来る。

 石油会社社長のシェリダン・マシェーレ=ボードローラはその中の一匹を目で追い、管理者の女にその縞馬にマークをつけさせた。甥っ子が屋敷で繁殖をしたがって仕方が無いのだ。屋敷では小動物以外は大変だから、見るだけにしなさいと甥っ子に言っていた。将来は自然動物をたくさんにする仕事をしたいと勉強も始めていた。

出来るだけ活き活きとした縞馬が良いと言う。始めはライオンを繁殖したいと言っていたが、白黒模様の縞馬に今はぞこんらしい。縞馬も5匹にマークを付けさせた。繁殖後はサバンナに放たれる。その時の放流・放野時の番号をつけることが出来るのだ。そうすることでその動物のその後をサバンナ監視官から教えてもらえる。

 MMに頼みたいが、今は距離を置かなければならなかった。

屋敷バックの森を動物繁殖場にして放すと甥っ子は言うが、森は囲われていない。なので今は見に来るだけにさせる。白黒の健康馬に育てたいとせがむ甥っ子は今はすっかりはしゃぎ疲れ、ゲストリビングルームで眠っていた。

 シェリダンの元に連絡が入った為、彼は縞馬から顔を上げて受話器を受け取った。

「私だが」

「……。お父さん、驚きました。お体の様態は?」

「すこぶる順調だと思うか。静養から帰ればコヴァインは何をしでかしたんだ?詳しい事を私には言いたがらないらしい」

 彼の父はスイスの田舎にあるマナーハウスへと行っていた。彼等ボードローラ一族の生きる総本山である曾祖母が20年前よりスイスにいるのだ。曾祖母は元気過ぎて最近チョモランマを三分の一登った程だ。

 あのレガント一族のリカーが若い時分、曾祖母が取り仕切って指揮官をしていたマナーハウスに来ていたと聞く。曾祖母はレガントの街の前地主とも親しかった。あの時代の上流貴族出のレガントは間違い無く彼等最上流貴族達の頂点に君臨していたのだ。前地主にして連盟前理事長は恐ろしい程の力を有していた。あの一族は1000年の由緒正しい歴史が根付いている。

「困った娘だ。一族の恥も考えずにまた問題を起こしたとはな。破門されてまで」

「ええ」

確かに姉はあの時本気でジェーンを自殺に追い込むつもりでいた事は分かっていた。手に入れた上でだ。姉の旦那が彼女を救い出した事は言って来た。

「ジェーン一族には失礼をして迷惑を掛けるな。あんなに可愛らしい娘さんをうちの娘に汚されたのでは酷だからな」

「ええ。分かっています」

「MMをこの前怒らせた位だ。しばらくは大人しくなると思えば」

「MMは気紛れだ。先日バラドナの事であんなに怒っていたと思えば今度は女刑事を地下の彼女達の館へと誘き寄せて面白そうに姉さんと一緒になって狂わせようとした位だ。本当は何を思っているのかが分からない。またいつ変わる事か」

 シェリダンもその事には心なしか怒っていた。ジェーンを気に入り、引き入れようとした隙にまたMMはシェリダンに意地悪く微笑んでくる。

あんなに誘惑しても、ボードローラ一族の人間にならないかと言っても見向きもしなかった物を、他の女性を見つけ少しでも離している事を知れば奪って面白がって来る。時に女なのでは無いかと男達誰もが思うと言って来る。誰もが魅了され、誘惑したくなり実際そうするからだ。

シェリダンは意地悪なMMがからかい目的で微笑む時のあの可愛らしい顔を思い出しておどけた。

「アメリカの警察の身動きは止めました。有力な人間が一人いるのでね」

 その男の娘の映像の事も分かっている。双方の利害の一致だ。その男はアメリカのとある州の警察本部長だが、以前は上院議員であり彼の兄とも顔見知りだった。

彼に政府に口を利かせ、手を回させた事で容易に姉の別荘で起きた事件捜査を単なる自殺としてさっさと打ち切りにさせ、余計な警官をうろつかせないようにしたのだから。下手にあの屋敷に捜査の手が伸びてはあの地下の更に下にある危険なパーティー会場を知られる所だった。

「あまりコヴァインを野放しにさせる様では、離婚させる事を言う事になる。ソーテンマイヤー・カッシュがあの子には甘すぎる」

「飼い慣らし切れない物はこの世には多いものです」

そう縞馬を目で追いながら言った。全てが姉に見えて来たから目を回す前に首を振り、整った顔立ちを呆れさせた。

「彼女の性分は、分かっているが変わらない」

「MMもその手の男だとしたら困るな」

「どうでしょう。何せ、正体不明なのは身分だけでは無い」

互いに頷き合ってから短く挨拶を交し切った。

 MMを手に入れようと模索するのは何も世界中の貴女達ばかりでは無い。性別不明にする程のMMはどちらにも夢を抱かせた。

プライベートをどう過ごしているのか、古城に住むという噂の住まいはどこか、共に過ごしたいと思う。喜ばせたいと思う。

あんなに妖美華麗な成りでパートナーを作らないなど。

 きっとMMは、男でもあり、女でもあるのだろう。一部の者は両性具有だろうと推測する者さえいる程だった。

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