色彩名蝶=美しき色彩の地球
色彩名蝶=美しき色彩の地球
「アップルが7歳になったらこれをやってくれ。あとは10歳になったらこっちな。それと、もしお前が今実は妊娠してるとして2人目が生まれたらそいつにこれをやってほしい。まあ、あとはこの部屋の中の物適当に揃えておいたから使ってくれ」
馬鹿みたいな事またそうやって言って、自分勝手なんじゃない?
結婚したのも子供認めたのも、勝手に死んだのだってこうやって勝手なわけ?
「アップルが5歳になる前にはフレンチとジャーマニーとイタリーは習得させとけよ。出来ればスパニッシュもな。それと、お前に遺して置く権利書は全て弁護士のショートマイヤーに言ってあるから早速問い合わせてくれよ。親父達には内緒の権利書だからな、うまくやっておいて欲しい。ショートマイヤーがやってくれる」
あんたのあのふざけきったフィルム製作倉庫なんか爆破してやるわよ。
今こうやって、画面の中のあんたが立って喋っている場所にいるけど、なんで時間差の違いだけでもう愛するあんたに触れられないの?
美しいあんた。
同じ場所にいるのに、同じ空気の中で、まだあんたが吐いた空気は残っているの?
あたしとアップルの中に取り込まれてくれてるの?何も応えてくれないの?勝手ね……
「どうだよここ!すっげーだろ!コスタリカだぜ!!」
あんた一人だけ行っても分かるわけ無いじゃん。
空気も気候も風もにおいも嗅ぎ取れないのに、音と映像が綺麗過ぎて
あんたは馬鹿みたいな事ばっかずっと言い続けてて、もう、勝手にしてよ
「おいアップル。お前ここがどこか分かるか?俺の初舞台だ。ママにどういう所かは詳しく聞け」
死の初舞台だなんてまるで古びた映画の中みたい。
あんたと同じよ。銀幕のあんたはいつだって艶があった。
綺麗な言葉しか使わなくて、美しくて、燻し銀みたいに何処までも深かった。
初めてあんたの色とりどりの映像を見て、
なんで気付かなかったんだろう。こんなにも、あんたは更に美しい……
モノトーンの銀幕だけに独占されて、それを嫌がるようにカラフルな人生ばかり歩んで、破滅して、勝手に緑蒸す輝く中に行って
一人でそうやって死んじゃうんだ。
悲しいじゃん、こうやって一人で行っちゃうなんて。こうやってあんたが本当は望んでた映像の中輝ける珠を持ってたなんて今更知っても、
どうしろって言うわけ?
「美しいな……、」
「………、」
微笑んだって知らない、泣いたってしらない、もう何言ったってしらない、帰って来たってもう抱きしめてあげない、もうどんなに嘘だったんだよって言ったって、これが倉庫で作り続けて来たかった俺の映画だったんだよって取り繕ったって、帰って来たってもう抱きしめてあげる事さえ出来ない
もう許してあげない、本当に死んでしまったから。馬鹿なあんたは馬鹿なままで、全てを踏みにじって
笑顔を途切れさせたって、
「バイバイ」
なんで………




