表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現夢  作者: ナナシ
1/1

幸せの始まり

初投稿です。

天井が見える。


 白い清潔な布を貼ってまだ数時間しか経っていないような、その綺麗な天井は私をまどろみから覚ますには十分すぎるほどに刺激的に感じられた。

 朝起きて、朝食を作り、食べ、着替える。 いつもよりも軽い心持ちで、体さえも軽く感じる。

 愉快な気分で身支度を整えているこの男には初めての彼女ができたのである。そして、今日はその彼女と初めてのデートの日だ。この男、つまり私は今とても幸せな表情を浮かべていることだろう!

 今年の一月に十八歳を迎えた私は去年の九月、中学三年生の時から好きな女性(ひと)に、受験生でありながら、告白をした。返事を聞いた時、私はこの世のすべてが思い通りになったような、飛び上がってしまうような、理性など半ば失った状態になったことを覚えている。


 さて、私は桜舞う四月の公園で人を待っている...のだが予定より早く着いてしまったせいでなかなかに手持ち無沙汰である。公園に入って少しまっすぐに行ったところにあるベンチで私はスマートフォンをいじり始めた。しかし、それもすぐに飽きてしまい私は春の太陽に照らされた桜をぼうっと眺めていた。風のあるないに関わらずひらひらと落ちていく桜の花びらは浮かれている私にさえ命の儚さを想起させた。

「幸せも...いや...きっと大丈夫だ」


 突然、目の前が真っ暗になる。私は引き戻される。暖かい感触をまぶたが感じる。私が恋した温度だ。

「誰でしょーか?」

「舞花...お前らしいっちゃあお前らしいけれども... 少し恥ずかしいよ...」

視界が開ける。振り返るとそこには太陽に照らされた真夏の向日葵のような笑顔があった。

私もつい笑顔になってしまう。

「じゃあ... 行こっか!」彼女はそう言い、私はベンチから立ち上がる。その瞬間、右手の自由は彼女に奪われる。ちょっと引っ張りすぎではないだろうか。ぐいぐいと引っ張られ公園の前のアミューズメントパーク(ボウリング場とゲームセンターの混合施設なのだが、目的はゲームセンターである)に連れていかれる。

公園の入り口に着いた頃、私はなぜかあの桜が見たくなりふと振り返った。

「ほら!信号わたるよ!ほーら!はやく!」

「あ、あぁ... わかったよ...」

私の心は凍り付いていた。


 無い。


 先程まであれほど照り輝いていた桜が、春の優しさが、なにもかもが―。

続きはあるかわかりません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ