八 夢幻 物質的宇宙 [ 和暦45年3月29日 日曜 ]
木洩れ日が今日も泉の水面で柔らかに揺れている。
四季を通して変わらない芝の緑は控えめに目から入って心を和ましてくれる。
これまで泉の広場で紀代彦は誰にも出会ったことはなかった。泉の広場は異次元に存在し、請じ入れられたものだけしか訪れることはできないと、この4年余りの体験から推測していた。紀貫之の森から泉の広場に続く道程がすでに異次元なのだろう、とも。
しかし、今日はひとり先客がいた。泉の向こう側に男が腰を下ろしていた。
紀代彦を見て、男は笑顔で頷いた。
「なるほど」
泉の広場の空気と同じように温かい、包み込まれるような声だった。
灰色のゆったりとした衣服に包まれた、四十前後に見える男は「なるほど」と、もう一度繰り返して、「君がそうか」と続けた。
紀代彦は驚かなかった。男がここにいることを当然のように受け入れた。男はこの場所にとてもよく合っていたのだ。
「あなたは、どなたですか?」
「わたしは夢幻という。君に話したいことがあって待っていた」
「どんなお話しでしょう?」
「この場所を知ったときから君の胸中で渦巻いている疑問の答えを教えたくて」
夢幻の言葉に、紀代彦は驚いた。
「なんで、それを!」
「そのことも含めて、長くなるけれどもわたしの話を聞いてほしい。君は頻繁に見ているはずだね《無の世界》の夢を。その夢のなかで君はある質問をする。《無の世界》は君の質問に答えてくれる。君は疑問が解ける。しかし、目覚めると《無の世界》が何と答えてくれたか忘れていて、思い出すことができない」
その通りだった。
「君の質問に《無の世界》が何と答えたかを、わたしは君に教えることができると思う。だが、その前にわたしたちは闘わなければならない。そうしなければ私が話す内容を君は心底から理解することは出来ないだろう」
夢幻は立ち上がり、泉を反時計回りに迂回して、紀代彦の正面に立った。身長は紀代彦と同じぐらいで、逆三角形という体の形も似ている。夢幻の方が少し細いようだ。
闘わなければならないという夢幻の言葉を紀代彦は信じた。夢幻が指摘した通りの夢を泉の広場を知ったときから彼は見るようになっていた。目覚めた後のことも無限の言う通りだった。昨日、闇の鷹と手刀を打ち合ったとき一瞬だけ、夢でするのと同じ《無の世界》の体験をした。そのとき、夢のなかで《無の世界》に教えてもらった答えが閃光のように頭の中をよぎった。しかし、保持することはできなかった。夢から目覚めた時と同じように忘れ去っていた。
夢幻と名乗るこの人物には闇の鷹に感じたと同じ、霊威のようなものを感じる。それは幽境に生きる者が発するにおい。夢幻も闇の鷹も幽界と顕界の境、冥土と現世の境で生きていると、そんな気がしてならない。夢幻と名乗るこの男の方がより強い霊威を感じさせるが。
しかし、と紀代彦は思う。どうして自分はそのことが分かるのだろう? 彼らが幽境の世界に生きているということが、どうして?
対峙する夢幻から穏やかさは消えていた。眼光は炯炯として紀代彦を射貫いている。
(闇の鷹も強かったけんど、この夢幻と名乗る男は闇の鷹よりもはるかに強い。その気になれば一瞬で俺を死に至らしめることのできる力をもっている。けんど、これは勝つとか負けるとか、殺すとか殺されるとか、そんな闘いとは違うと分かる。俺にとってこの闘いは4年間得ることができなかった答えを今度こそ得るための闘いながや)。
夢幻の炯眼に負けまいと紀代彦は緊褌一番気合を入れて睨み返した。力が湧いてきた。
先手を取って手刀を夢幻の左肩に打ち下ろした。手刀は夢幻の左手の手のひらに吸い込まれるように受け止められた。その瞬間、周囲の風景が消えた。《無の世界》! そこに在るのは夢幻と紀代彦、闘う二人の姿だけ。
紀代彦は左の拳で夢幻の顔面を打とうとした。だが、この拳も右の手のひらで受け止められた。右の手刀と左の拳の両方を掴まれたままの状態で紀代彦はジャンプした。両方の足裏をそろえて思い切り夢幻の胸を蹴った。紀代彦の蹴りは夢幻の厚い胸板にはじき返された。はじき返された反動を利用して空中で後転し、紀代彦は直立した。眼前から夢幻の姿が消えた。紀代彦は反時計回りに回転すると見せかけて素早く時計回りに回転し、右肘を後方に放った。紀代彦のすぐ後ろに回り込んでいた夢幻が右肘で受け止める。紀代彦は前方に飛んで間合いをとった。素早く振り向き、姿勢を低くして、夢幻の胸に頭からぶつかっていった。手応えがあった、夢幻の動きが止まった、右ひじを夢幻の左の頬に打ち込んだ。これもヒットした。うつむいて苦しそうに頭を振る夢幻。紀代彦は夢幻の頭に左腕を巻きつけて、そのまま左わきの下に絞め込んでヘッドロックで仕留めようとした。しかし紀代彦の左腕が頭に巻き付くと同時に夢幻は右腕を紀代彦の背中に回し、仰向けにして高く持ち上げた。腰を下ろし、左膝を地面につけた。右膝を鋭角に立て、その上に紀代彦の背中を落とした。意識に激痛が走り、紀代彦は失神した。
気がつくと、丸い青空が見えた。気を失っていた時間はそれほど長くはないようだ。夢幻の姿はなかった。痛みと疲れが酷かった。喉の渇きもあった。泉のそばまで這って行き、両手で水をすくって飲んだ。芝生の上に大の字に仰臥した。痛みと疲れが気持ちよく排出されていく。
紀代彦は夢幻との闘いを振り返った。あの闘いのなかに答えらしきものが確かにあった。闇の鷹との闘いのときには把持できなかった答えが、いまは朧げにではあるが記憶となって残っている。
気配を感じて上半身を起こすと、樹木の間から夢幻が姿を現すところだった。
「もしや影丸が来ていないかと探してみたが、いなかった。まあ、嫌でもそのうちに会うことになるだろう」
(影丸とは、誰だろう?)
「しかし、驚いた。推測していた以上の力を君は持っている。わたしの命思力に刺激されて君の命思力は励起したのだが、記憶の覚醒がなくて、初期の励起であんなに高い層に至るとは、しかも君の命思力はかなり異質だ。このことを影丸が知れば驚くだろう」
(命思力というのか、俺のこの特別な力は)
夢幻は泉のそばに腰をおろした。両手で水をすくって顔を洗った。濡れた顔を服の袖で拭った。夢幻の子どものようなしぐさに紀代彦の口元が思わずほころぶ。先ほどの闘いで夢幻が全力を出していなかったことを紀代彦は知っていた。紀代彦の攻撃もわざと受けたのだろう。紀代彦の力をより詳しく知るために。
「見えたかい」
紀代彦の左横に座って夢幻が聞いた。
紀代彦は頷いた。
「君の疑問は、わたしたち命が無限に存在する物質的宇宙を彷徨しなければならない宿命のもとにある不合理についての理由、だね」
「そうです」
「だが、なぜ自分がそのような疑問を抱くのかは分からない。その疑問に対して夢のなかで《無の世界》がどのように答えてくれたかも思い出せない」
「はい」
泉の水面に視線を置いて夢幻は話し始めた。
「わたしと闘っていて気づいたと思うが、君もわたしも攻撃し攻撃されていたのは肉体ではなく、互いの《意思》ーー《思い》だ。《無の世界》に存在する肉体は命思力をスムーズに使用するための具象なのだ。命思力とは、命が思う力、と表記する。影丸とわたしが名付けたものだ。君との闘いでわたしが勝利したのは、わたしの命思力が君の命思力よりも強かったからだが、命思力の強さとは命思力をどれだけ効果的に使いこなせるかであり、それは命思力についての理解度、使用経験、意志及び肉体の強さなどで違ってくる。これから説明することで最初に触れておかなければならないことは、わたしはこの物質的宇宙に通常の方法でやってきたのではない。つまり、受精、受胎、出産という過程を経て生まれてきたのではないということだ。わたしはある方法を使って別の物質的宇宙からこの物質的宇宙に直接渡ってきた。いまから七年前だ。若く見えると思うが、その時のわたしの年齢は五十六歳で、肉体はいまもそのときの状態のままだ。この物質的宇宙ではわたしの肉体は時間の経過によって老化しない。わたしが命思力で維持しているからだ。肉体を維持するだけの命思力の強さを失ったとき、わたしはこの物質的宇宙から消える。だが、もう少し順序だてて説明しよう。この物質的宇宙と、ここに渡ってくるより前にわたしが居た物質的宇宙とは巨視的視座から言えば、同一の物理法則で成り立っている」
「同じ性質の宇宙、ということですか?」
「人類が知っていると信じている宇宙の誕生から現在に至るまでの歴史は巨視的な視座で考察すると変わりはない、ということだ」
「巨視的な視座で、ということは微視的な視座から考察すると違いがあるということですか」
そうだ、と夢幻は頷いて、「微視的が何を指すかにもよるが、少なくともわたしが居た物質的宇宙と、いま居る物質的宇宙とに違いがあるのは確かだ。手っ取り早い例を挙げれば、わたしがそうだ。ここに来るより前にいた物質的宇宙ではわたしはこのような存在の仕方ではなかった。つまり、この二つの物質的宇宙の間にはわたしという命の存在の仕方についてだけを見ても違いがある」
「命は微視的な存在ですか?」
「命は微視的な存在であるかについては、これからする説明の過程で理解してもらえると思う。まず、複数の物質的宇宙が存在するというというわたしの話を作業仮定として受け入れてほしい」
「分かりました」
「物質的宇宙はどのような理由で複数存在するのか? これが説明できれば、命は微視的な存在かと聞いた君の質問と、君を悩ませている疑問の両方の答えに逢着できる」
夢幻は泉の水を左手ですくい、喉に流し込んだ。「美味い」
紀代彦は自分も喉が渇いていることに気がついた。両手を使って泉の水をすくい、飲んだ。痛みも疲れも消えていたが、泉の水は気持ちよく身体の隅々に流れていく。
木洩れ日はまだ水面で揺れている。鳥たちの囀る声ものどかで、若葉の緑、樹々の匂いが眠気を誘う春の午後だ。しかし、ここには気持ちよく眠られる芝生はあるが、花の類は一輪も咲いていない。鬼女百合の嫉妬のせいか?
「物質的宇宙はなぜ存在するのか? 結論を先に言えば、わたしたち命が存在するために不可欠だからだ」
左手の指さきで泉の水と戯れながら、夢幻は続ける。
「一般に信じられている、物質的宇宙が先に在って命が後で生まれたという説は正確とは言い難い。『最初の物質的宇宙』以外の物質的宇宙は命が産んだーー創造したのだ。これまでの研究・考察から影丸とわたしはーー以後わたしたちといわせてもらうーー命の目的は『永遠自己保存』だとの結論に達している。とりあえずのプロローグとして、命が物質的宇宙で死亡した時点から話を始めることにする」
夢幻の言葉を一言も聞き漏らすまいと、紀代彦は意識を集中させている。
「肉体を維持するだけのエネルギーが無くなって、物質的宇宙で『死んだ』命は《無の世界》へ帰ってくる。このとき、命の思考は停止している。分かりやすく表現すれば『眠っている』状態だ。停止した思考をふたたび活動させるにはエネルギーが必要だ。《無の世界》に帰ってきた命が思考を再活動できるだけのエネルギーを有していれば、そのエネルギーの働きにより命は再び思考を始めることができる。目覚めるわけだ。目覚めた命は《無の世界》と物質的宇宙との間に《隧道》を創る。命はこの隧道を渡って物質的宇宙に行くのだが、この途中で物質的宇宙に存在するのに必要な肉体を創造し、これと溶け合い、一体となる。こうして命は物質的宇宙へまた生まれて行くのだ。但し、最前と同じ物質的宇宙へ生まれて行くかといえば、その可能性はほとんどないとわたしたちは考えている。ニーチェが言った形での『永劫回帰』ーー命は永遠に同じことを繰り返すーーは行われないということだ。理由は後で説明する。しばらくは命の永遠自己保存について話を進めよう」
紀代彦の奥深いところで何かが蠢き始めた。
「思考を再活動できるだけのエネルギーを有する命は滅することなく生き続けることができる。永遠に、とまでは断言できない。《永遠》を断言できるものなど存在しないからだ。では、思考を再活動できるだけのエネルギーを有しない命はどうなるか? 思考が停止したままいつまでも《無の世界》に存在し続けるのだろうか? 残念ながらそうはならない。命は《無の世界》に存在するためにもエネルギーを必要とする。思考を再活動できるだけのエネルギーを有しない命は《無の世界》に存在していられるだけのエネルギーがなくなると消滅し、《無の世界》と同化する。これが、命の死だ。思考を再活動できるだけのエネルギーを有しない命は《無の世界》で『本当の死』を迎えるのだ」
(やっぱり、『肉体の死』は『命の死』じゃなかった!)
釈然としなかったのだ。紀代彦は宗教関係に興味は持っていない。ただ、紀代彦が理解する範囲での推測だが、宇宙の構造にしろ、地球の有り様にしろ、命の営みに必要と思えるあらゆるものに整合性がある中で、当の命に『肉体が消滅して死ぬ』という不可逆的変化が存在するということを直感的に受け入れることができなかった。
いま 夢幻から肉体の死は命の死ではないと聞かされて紀代彦は自分の直感が正しかったことを知った。
「ここで疑問が浮かぶ。物質的宇宙で肉体が死んで、《無の世界》に帰ってきた命の間に一時的に停止した思考を再活動できる、再活動できないのエネルギーの差が生じるのはなぜだろう? その原因はそれぞれの命の物質的宇宙での生き方にある。物質的宇宙で命が思考を活動させるとエネルギーが生まれる。そのエネルギーを命は取得し、保有する。物質的宇宙で思考を活動させることで、命は永遠自己保存に必要なエネルギーを取得するのだ。《無の世界》では、命はエネルギーを消費するだけで取得することはない。命によって物質的宇宙が創造された理由がここにある。永遠自己保存を目的とする命にとって、物質的宇宙は必要なエネルギーを取得するためになくてはならない《場》なのだ。《無の世界》で本当の死を迎える命は物質的宇宙で思考を活動させることができなかった、あるいは活動させることが少なかった命なのだ」
「簡単に言えば、怠け者だったということですね」
「正しく生きることをしなかった怠け者、という表現がより正しいだろう」夢幻は微笑した。
「この数年間君を悩まし続けてきた疑問『わたしたち命が無限の数存在する物質的宇宙を彷徨し続けなければならない宿命のもとにある不合理についての理由』の答えはもう推測できるだろう。それと、保留していた『命が同じ物資湯的宇宙に生まれて行く可能性はほとんどない』とわたしたちが考える理由も」
紀代彦は頷いた。
「こういうことながですね。物質的宇宙がひとつしか存在しないとなるとニーチェの永劫回帰や『ラプラス的な決定論的自然論』が説くように、命はいつも決まった事態にしか遭遇しない。同じ物質的宇宙に繰り返し生まれても遭遇する事態はすでに経験済みだから、記憶が覚醒しないということを差し引いたとしても、それほど思考をしなくてもそれに対処する方法を命は本能的に知っている。当然、取得するエネルギーの量は少なくなる一方だ。それよりも、固有の不確定な活動をもつ物質的宇宙が複数あって、それらを順繰りに彷徨すれば、常に新しい事態に遭遇し、それらへの最適の対処を模索して思考はより活発に働こうとする。その結果、命は多くのエネルギーを取得し保有することができる。そのエネルギーによって命は目的とする永遠自己保存を続けられる。これが、物質的宇宙が複数存在する理由ながですね。そして、命が永遠自己保存するためには物質的宇宙も無限の数存在しなければならないということですね」
「素晴らしい! その通りだ。見事な理解力だ!」夢幻は拍手をした。
「君は随分と勉強したようだね。最後に少し付け加えると、物質的宇宙を創造するにはとてつもない量のエネルギーが必要だと考えられる。無限の数だけ創造しなければならない物質的宇宙の一つひとつをまったく異なるものに創り上げるにはいったいどれだけの量のエネルギーが必要であるか? それよりも効率を考えて、巨視的な部分は同一の物理法則を使って創造し、微視的な部分については『シュレデンガーの猫』や、『ハイデンベルグの不確定性原理』が言説するような、物質的宇宙ごとに固有の、創造主である命にも予測できない事態が生ずる仕組みにしたのではないだろうか」
なるほど、と紀代彦は思った。
「以上が、君がここ数年抱いてきた疑問に対するわたしからの答だ」
紀代彦の奥深いところの蠢きが大きくなっている。
「さて、命についての基本的な命題が残っている。『命は《無の世界》にどのようにして生まれたのか? あるいは、生まれてきたのか?』がそれだ。私たちは《無の世界》に『或るエネルギー』が生まれたと仮定した。それがいつ、どのようにして生まれたのかはまだ分からない。物事のスタートが曖昧な言説であることには目をつむってもらうしかない。《無の世界》に生まれたこのエネルギーを便宜上『原始エネルギー』と呼ぶことにする。この原始エネルギーの作用によって命は誕生した。このとき、原始エネルギーは最初の物資手的宇宙も同時に創造した。これも便宜上『原始宇宙』と呼ぶことにする。命は原始宇宙の存在エネルギーと自分が持つ命思力を相互作用させてそれから後の物質的宇宙を創造していった。命を誕生させ、原始宇宙を創造した原始エネルギーは役目を終えて消滅した。このことは、命は有限の数だけ存在し、これ以上増えないことを意味している。それでは原始エネルギー自体はどのような理由で生まれたのだろう? それは《無の世界》の願望によってである、とわたしたちは考える。禅問答のように聞こえるかもしれないが、何も存在しないのが《無の世界》だといっても、それを認識するものがいなければ『何も存在しない《無の世界》』は存在できない。自分を認識してくれるものがあって初めて《無の世界》は《無の世界》として存在できる。《無の世界》は自分が存在することを望み、そのために必要な、自分を認識してくれるものとして命を選んだ。原始宇宙を創ったのもそのためだ。命が永遠に存在すれば《無の世界》自身も永遠に認識され、存在できる理屈だ」
「それは《無の世界》にも意志があるということですか」
「意志のようなものがあるとわたしたちは考えている。意志を持たない《無の世界》は存在しないということだ」
「分かりました」
「では次に、わたしたちがこの物質的宇宙に渡ってきた理由と方法、そして影丸について話すことにしよう」
夢幻は泉の水を口に含んで立ち上がった。
両手を後ろに組んで泉の周辺をゆっくり歩きながら、異形の物語の後半に入った。