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竜騎士の日本見聞録  作者: ロクイチ
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第6話 歴史的会談 その2


さて、イザベルたちの到着を待っている首相官邸の面々、その中の一人が吾妻にそっと耳打ちした。


「なに、大統領からのホットラインが、、、、よしわかった。すぐ出よう」


執務机にある電話を手に取る吾妻、受話器の向こう側にいるのはアメリカ合衆国大統領テレンプ・ダイナードであった。


「ハロー、ミスターアヅマ、久しぶりだね。ニュースをみたがなんだねアレは。いきなり人に変身するドラゴンとか、

さすがクールジャパン、東洋の神秘だな。ウチの孫も興奮していたぞ」


「ハハハ、ミスターテレンプ、こちらも突然のことでまだ理解が追い付いていない状態だよ。まあ相手に敵意がなさそうなのが

幸いでね。詳しいことはこれから話すことになっている。ところで大統領自らが電話をかけてくるということは、何か聞きたい

ことでもあるのかね?」


孫がと言いながら本人も興奮じみた口調のテレンプに、吾妻が冷静にそう返す。


「ふむ、率直に言って我が国は彼らの持つ未知の技術、魔法といった方がわかりやすいかな。それに興味がある。

もしかすると産業革命、IT革命に匹敵する、いやそれ以上のブレークスルーを我々にもたらしてくれるかもしれないからね」


言外に、軍事技術でも、とにじませながらテレンプは話を続ける。要は未知の技術”魔法”を日本で独占せずに、アメリカにも

開示しろと要求しているのである。


「どちらにしろ彼らと直接話してみないことには何とも言えませんな。その魔法とやらが我々に使えるかどうかも不明だし」


「フフフ、まあ同盟国としてご協力していただけることを期待しているよ。しかし、我が国では日本はついに魔法を開発した、

とかいう噂が飛び交っているのだが、本当はあれ貴国が密かに開発したのではないのかね? ウチの孫も”日本は

変態国家だからドラゴンも造れるんだ”と叫んでいたぞ」


「ミスターテレンプ、そのお孫さんの認識は誤解だと言ってやってくれ! 頼む今すぐに!」


しかし吾妻の悲痛な願いもむなしく、『さすが変態国家日本、ついにリアルファンタジーの世界に突入したか』との認識が

世界規模で広まってしまっていた。ま、『ネコミミメイドが~』とか『触手が~』とかのたまっていたらそう思われてしまうのも

仕方がない。自業自得である。

そんなこんながあったりしてるうちに、イザベルたちを乗せた車は首相官邸に到着した。全世界が注目する中で、いよいよ

異世界人との歴史的な会談が始まったのである。


「アヅマ殿、このたびは会談の機会を設けていただいたことに感謝する。私はルーク皇国の・・・・・・」


「私が日本国首相の吾妻だ。隣にいるのは官房長官の・・・・・」


お互いの紹介が済んでから、吾妻はイザベルたちにソファーに座るよう促した。そして、2人がどういう人物がそれとなく

観察をはじめる。イザベルと名乗った少女はまだ17歳ということだ。だが、その目に宿る強固な意志を感じさせる力、

吾妻はあなどってはいけない、真摯に対応するべき相手だと悟った。


「すると、君たち2人は大規模魔法攻撃の影響でできた空の裂け目に入って、こちらへきてしまったと」


「想像だが、おそらくは、、、、」


これまでの経緯を聞いた上で、吾妻は2人に問いかける。


「では、これから君たちはどうしたいのかな。我々でできることならば協力することもやぶさかではないよ」


「もちろん、皇国に戻りたい。しかしフェアリーアイズでも別の世界に渡るような魔導技術は存在しておらぬ、、、、、

このトウキョウという都市をみたところ、この世界、この国は相当高度な技術力を擁していると思われる。

虫のいい願いだとは重々承知の上だが、何とか元の世界に戻れるよう援助をお願いしたい」


すっとイザベルが頭をさげる。それに対して吾妻は


「こちらでも別世界があるということ自体、これまでおとぎ話のようなものだったからね。確約はできないが

各方面の研究機関に問い合わせてみよう。それから、こちらからも君たちにお願いしたいことがあるのだが」


「うむ、確かに見ず知らずの者たちに世話になっておきながら、対価なしというわけにはいくまいな。だが、あいにく戦場から

飛んできてしまったもので持ち合わせの金もない。なのでこの身をアヅマ殿に捧げることで対価にしたいのだが、どうか?」


これにはさすがの吾妻もぶぅっ------------と吹きだした。そしてゲホゲホとむせながら、


「ちょっ、ちょっと、姫さんよ。今なんつった」


もはや日本国首相として取り繕うこともできず、素が出てしまっている。


「だから世話になる対価として、この身を好きにしてかまわないと言っておるのだ。まだ経験はないが、皇女として殿方を

喜ばせるテクニックは一通り習っておるぞ。それに母上も男に言うことをきかせるには体を武器にすればよい、と言って

いたしな」


「異世界の教育どうなってんだ! あっちには教育委員会はないのかよ!」


これまでの会話は心話法で行なわれたため、他の者たちはどんなやりとりがなされたのかわからない。説明を受けた

斉木は吾妻を害虫か汚物を見るような目で見つめ、


「首相、まさか・・・・・・」


「斉木君、言っておくがオレにそんなやましい気持ちはこれっぽっちもないぞ! 大体そんなことしたら政治生命どころか

社会的に抹殺されるわ!」


事情を知ったヴィドも頭を抱えてうずくまってしまっている。どうやらイザベルの発言は異世界のドラゴンからしても、

突拍子のないものだったようだ。

頃合いを見計らって秘書が吾妻にすっと新しいお茶を差し出した。さすが首相の秘書だけあってさりげない気遣いの

できる男である。そのお茶を飲んで精神を落ち着かせた吾妻が再度口を開いた。


「いや、2人には病院で検査を受けて欲しいだけなんだがな、、、、はっきり言って君たちにはこの世界には存在しない、

我々には致命的な存在となりうるウィルス、まあ目に見えない人に悪さをする生物が付いている可能性がある。そのあたりの

リスクは取り除いておきたい」


「うむ、微生物の存在は我々の世界でも認識されているぞ。アヅマ殿の懸念も理解できる。それは協力させていただこう」


もちろん、日本側には検疫以外にもこの機会に、異世界人のデータを取りたいという思惑も持っている。魔法という

未知の技術は、やはり魅力的なのだ。


「ところで本当にアヅマ殿は私の体をいらないのか。まだピチピチの17歳だぞ」


「姫さんよ頼むからそれ以上妙なことは口走らないでくれ。オレは淫行なんぞで牢屋に入りたくないんだ、、、、」


「む、皇国の守護天使とまで呼ばれたこの私を欲しがらないとは、失礼ながらアヅマ殿は男色家か?」


「違うわっ!」


疲弊しきった様子の吾妻に、イザベル以外の面々はそっと涙をぬぐうのであった。


イザベルも一応皇女なので、政略結婚もありうるためその手の知識は習っております。

いわゆる耳年増というヤツですね。

日本は変なところでこだわるので、そう遠くない未来にドラゴンはともかくモビ〇スーツ

くらいは本当に作ってしまいそうです。

て、いうかエンジニアの方々絶対それ目指してるよね?

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