第3話 ファーストコンタクト その2
ファーストコンタクト その2
東京都上空を3機のヘリコプターが飛んでいた。突如現れた未確認飛行物体 通称”ドラゴン”に対処するため
出撃した陸上自衛隊のAH-64D アパッチ・ロングボウである。
彼らは”ドラゴン”を視認できる距離にまで近づいた。
「まったく、領空侵犯の対処は空自さんだろが、、、、なんで俺たちがでばんなきゃならねえんだ」
「まあそう言うな小宮山、戦闘機じゃ早すぎて呼びかけもできないんだとよ。それに、怪獣のお相手は自衛隊の
伝統だろ」
「けっ、しかも”騎士”まで乗ってるとか、まるで出来の悪いファンタジーだぜ、おっ、あれがそうか」
3機のアパッチは”ドラゴン”を捉えると、左右に1機ずつ、後方に1機の態勢で囲みこんだ。
「まずは呼びかけか、、、『貴機は現在日本国領空を侵犯している。速やかに領空外に立ち去るか、当方の指示に
従い着陸せよ』、、、反応ないな」
「つーか、あれ通信機持ってないだろ、、、、とりあえず指示を仰ぐか」
相手が攻撃しない限り、監視を続行せよという返答であった。小宮山が「専守防衛かよ、燃料にも限りがあるんだぜ」などと
相棒にぶーたれていた時、”ドラゴン”が動きを見せた。グンと加速したかと思うと、急旋回して彼らの後ろにピタリと
つけようとしたのである。しかし彼らも陸自の精鋭だ。即座に対応して再び”ドラゴン”を囲い込んだ。
「ふう、いったい何する気だったんだ。肝冷やしたぜ」
「あんにゃろう、、、なめやがって、、、、」
「んっ、小宮山どうした?」
「あいつ、今こっちみて笑ったみてえだぞ。こっちの腕前を試しやがったんだ!」
首相官邸も”ドラゴン”の突然の動きに慌てふためいた。
「おいおい、一瞬攻撃するのかと思ったぞ」
「報告によると、どうやらヘリ部隊の練度を試したようですね。まったく寿命が縮まりましたよ、、、、」
通信もできない、かといって攻撃もできないわで手詰まり状態になりつつあった時、再び事態が動いた。
「んっ、みろ小宮山、騎士さんが立ち上がったぞ。なんか下を指さしてる?」
「旋回しながら高度を落としてきたな。下は、、、国会議事堂! 議事堂に降りる気か!」
”ドラゴン”は国会議事堂目指してゆっくりと旋回しながら高度を落としていく。それを見た首相官邸も即座に議事堂前に
機動隊とSAT、更に狙撃隊の配置指示をだした。
やがて、国会議事堂正門前の道路に”ドラゴン”は静かに着陸。すでに規制が施行され周囲に民間人や車の姿はない。
100m先には機動隊が展開している。その状況の中、”ドラゴン”に騎乗していた”騎士”が降りてきた。
それも飛び降りるのではない。白い光に包まれながらふわっと地上に降り立ったのだ。
首相官邸やテレビを見ていた日本国民、いや世界中の人間が固唾を飲んで見守る中、その”騎士”は議事堂前に
ゆっくりと歩を進めていた。
「ん、今あいつこっち向いたぞ。俺たちに気づいているのか」
「まさか、これだけ離れているんだぞ」
スコープを覗いていた狙撃隊員に戦慄が走る。
”騎士”が正門まで50mほどの距離に近づいた時、機動隊の指揮車の上に乗っていた隊員が「止まれ!」とゼスチャーを
交えながらスピーカーを通じて声を上げると、意味は伝わったらしく”騎士”はその場所で歩みを止めた。
「あなたは何者だ。何の目的で国会議事堂に降り立ったのか。早急に答えていただきたい」
機動隊員が問いかけると、その”騎士”は兜を脱ぎかぶりを振る、遠目にも鮮やかな金髪のロングヘアーがあらわとなる。
そして、その顔は女性、しかもまだ少女だった。
「あらあら、まさか女の子だとはねえ、、、それもかなりの美人さんですよ」と斉木官房長官。
「ああ、グレタ・ガルボを若くしたような感じだな」と吾妻首相。
吾妻がかつて”神聖ガルボ帝国”と讃えられた伝説的な名女優を引き合いに出すほど、その少女の美しさは際立っていた。
に、しても、ちょっと例えが古すぎる・・・・・・
その頃、ネット上では中二な連中の書き込みでお祭り状態だ。
『ファンタジー美少女キタアァァァァァァァァァー』
『ドラゴンに女騎士って、テンプレすぎる』
『これで異世界の存在は証明された。エルフやドワーフも実在するに違いない』
『エルフよりもケモミミだろ。リアルネコミミに会える日も近いぞおぉぉぉぉっ』
『おっさんネコミミだったらどうするよ。それよりやっぱ”くっ殺せ”とか言うのだろうか』
『触手プレイで”くっ殺せ”と言わせてみたい』
のちに、これらの書き込みを見てしまったイザベル、「全員たたっ斬ってくれるわあぁぁぁぁぁっ!」と叫んだとか
叫ばなかったとか・・・・・・・
閑話休題、初めて素顔をあらわしたその少女が初めて口を開いた。
「@&%$#*&%# $&%@<%$@$# $%&@&5&#」
まったく理解できない言語であった、、、、、
作中に描写される政府や自衛隊などの対応は、完全に筆者の想像で書いてます。詳しい方から
みると「こんな事はありえない」と思われる箇所もあるかとは思いますが、TVの刑事ドラマが
実際の警察の捜査とはかけ離れているのと同じようなものだとお思いください。




