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竜騎士の日本見聞録  作者: ロクイチ
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第30話 リア充ノ興廃コノ一戦ニアリ


青少年自然の森から歩くこと約2時間、都立F西高の生徒たちは全員無事頂上に到着した。付近は

公園として整備されており、皆思い思いの場所でお弁当を広げてくつろいでいた。

だが、そんなのどかな光景の一角で、闘気と瘴気が渦巻く場所が存在した。言うまでもなく、リア充

への最終キップを争っているイザベルと綾香である。


「ははは、そなたがまさかこれほどの策士だとはな。だが、先手は取られたが、最後に笑うのはこの

私だ!」


「うふふ、帰宅部のあなたに手はあって? もう、試合に応援にきてくれる約束は取り付けたわ。

後はこの広場で距離を縮めて、キャンプファイヤーでフィニッシュよ」


「ふ、このイザベル皇女として、政略結婚に備え男性を喜ばせる知識は教育されておる。どこを責め

られれば男は落ちるか、その程度は熟知しておるぞ」


「あら、さわやかスポーツマンの本山君が、そんなビッチに心惹かれるとは思えないわねえ」


「言ったな貴様、後でほえ面かかせてやるぞ!」


「うふふ」「ははは」と笑いあう2人、醜い、実に醜い、そして低レベルの争いである。もう家族が見聞き

したら、マジで縁切りしたくなるほどのレベルである。そして2人は時折現れるバカップル空間を横目で

見ながら、最終決戦の場へと向かった。次は自分こそがその空間の主になれると信じて・・・・・・


「あれ、イザベルー、綾香、2人ともお昼まだなの、良かったら一緒にどう?」


「ごめーん彩絵、私ちょっと用事あるからさあ、あ、イザベル彩絵と一緒にお昼食べてたら?」


「なっ、貴様!!」


策を弄することについては、綾香の方が一枚上手だ。足止めのために親友をも利用する様は正に非情、

もしホラズムの軍師に彼女がついていたら、皇国は敗北していただろう。

「じゃーねー」と手を振りつつ綾香はターゲットの元に向かっていった・・・・・・・・・


「くそっ、綾香め彩絵まで利用するとは!」


あの後、適当な言い訳をでっち上げて彩絵と別れたイザベルは、綾香の後を追っていった。ようやく

追い付いた彼女は声をかけようとしたが、その場の光景を見て思わずガクリと両膝をついてしまった。

そう、本山君の横には愛らしい女子生徒が並んで座っていたのである。


「はい、もっくんあ~ん、、、、」


「はは、リリ、それはちょっと恥ずかしいよ~」


と言いつつも、彼女の差し出すおかずをぱくっと口にする本山君、まごうことなきバカップル空間である。

最後のターゲット、本山君もすでに売約済みなのであった。

呆然と立ち尽くす綾香に気づいた本山君が声をかける、が、先に反応したのは隣りの彼女だった。


「え、もしかしてソフト部の鈴木綾香さんですか。私陸上部のマネージャーしてる川島理里といいます」


「川島さん、私のこと知ってるの?」


何とか取り繕って対応する綾香に、川島さんが話を続ける。


「はい、ソフト部の4番でいつも格好いいなあ~、て思いながら見てたんですよ。今度みんなで試合の

応援いきますから、頑張ってくださいね!」


全く邪気のない、純真な笑顔である。川島さんからは綾香に対する憧憬の念しか感じられない。

欲望にまみれた2人には、彼女の純粋さはまぶしすぎた。まるで聖女に浄化される魔物のようだ。


「そんな格好いいなんて照れちゃうなー、試合頑張るから、応援よろしくね!」


さすが綾香、己のドロドロしたリア充への怨念を隠し、さわやかスポーツウーマンに擬態してその場を

去っていった。そしてイザベルと2人、少し離れた場所に座ってお弁当を広げる。彼女たちはまるで

憑き物が落ちたかのように、静かだった。


「綾香、我らは一体何をしていたのだろうな。はは、結構歩いたせいか、目から汗が出てきたぞ・・・・・」


「あら奇遇ねイザベル、私もよ・・・・・」


美味しいはずのお弁当は、なぜか少しだけしょっぱい味がした・・・・・・・・


「ぶわっはっはっは、2人とも様子おかしいと思ってたらそんなことやってたの。あー腹筋よじれるー」


「うう、そんなに笑うことないだろう彩絵、これでも真剣だったんだぞ、、、、、」


「ああ、キャッキャッウフフのバカップル空間が遠のいていく、、、、、」


下山して事情を知った彩絵は、友人たちの愉快な出来事にさっきから笑いが止まらない。もう一生分

わらかしてもらったわー、と言いながら話を続ける。


「あのね2人とも、恋愛はターゲットとか優良物件とか、そんな打算的な考え持ってちゃ絶対にうまく

いかないわよ」


「そうさねー、アタシもこの人と一緒にいると安らぐなー、とか、落ち着くなーと思っていたらいつの間にか

惹かれあっていたさーね。それにしても2人ともなんとしょーもないことを、くくくっ」


この場にいたイザベルと同じ班の新城のぞみ、彼女も肩を震わせて吹き出しそうなのをこらえていた。


「うう、返す言葉もない。だがのぞみ殿はともかく彩絵は我らと同じ、独り身ではないか。彼氏と俗に

いうイチャらぶをしてみたくはないのか」


「あら、言ってなかったかしら。私彼氏いるよ。他校のバレー選手だけどね」


「「えっ!」」


いきなりの爆弾発言に固まるイザベルと綾香、スマホでラブラブのツーショット写真を見せてもらう。

お相手はさわやかスポーツ系のイケメンだ。何でも大会で出会い、お互いのバレーボール観などを

話し合っているうちに意気投合し、恋人関係になったそうな。


「もしや、いくところまでいってしまったのではあるまいな、、、、」


「あはは、まだキスまでだよ。お互い次のオリンピック目指しているからね。それで金メダルとったら

一緒になろうね、と話しているよ」


「「まだ、キスまでだとっ!!」」


イザベルの下世話な質問に、彩絵がさわやかに答える。本当にさわやかスポーツカップルだ。今の

穢れきったイザベルと綾香には、あまりにもまぶしすぎる世界だった。


「ふふ、なぜだろう綾香、今私は親友を祝福するよりも、なぜか嫉妬の炎が燃え盛っているぞ・・・・・」


「あら奇遇ねイザベル、私もよ・・・・・・」


他人に「嫉妬が~」と説教しておきながら、友人がリア充と知ったとたんコレである。げに恐ろしきは

非リア充の怨念なのである・・・・・・


林間学校編、書いているうちにこれもひどい話になってしまった・・・・・

次話はもう少し、主人公のカッコいいところを描きます、、、、

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