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竜騎士の日本見聞録  作者: ロクイチ
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第207話 思わぬ再会


「む、つばさ先輩、ずいぶんと庁内が騒がしいですね」


「詳しくは知らないけど、永野会で何かあったみたいよ」


翌日の警視庁内は、永野会で起きた異変を受けててんやわんやの騒ぎであった。やがて、緊急会議から

戻ってきた三木が、異変の詳細をイザベル達に報告した。


「永野会の組長以下、主だった幹部が昨夜”変死”したそうだ。現在組織犯罪対策部が、永野会の本部

や主な施設にガサ入れしているよ」


「全員が変死、さすがにそれは不自然ではないのか」


「そうなんだけどねえ、、、、これ以上の情報は教えてもらえなかったよ」


三木の報告に捜査一課の面々も首を傾げるばかりであった。この件は首相官邸にも報告され、吾妻達も

同様に首をひねっていた。


「うーん、、、、全員首を切断されているとあるが、、、、」


「特に抵抗した様子もないようです。相当な腕の暗殺者に襲われたようですね」


「・・・・まあ、いずれは潰さないといかんと思っていた組織だ。手間が省けたというべきかな」


いくら考えても、暗殺者とその背後が浮かんでこない吾妻と斉木は、とりあえず今後の永野会に対する

方針を先に決定した。


「斉木君、あらゆる法令、場合によっては強権を駆使してもかまわん。末端の組織に至るまで、壊滅に

追い込むぞ」


「はい、すでに相当数の犯罪にかかわる資料が押収されています。この国の大掃除、必ず成し遂げて

みせますよ」


渋谷にあるチャイニーズマフィアの事務所、組織のトップ魏は永野会の異変に関するTVニュースを視て、

ため息をついていた。


『永野会本部から押収された大量の資料には、これまで組織が関与してきた数々の犯罪の証拠が存在

している模様です。当局はこれを元に捜査を進め・・・・・』


「永野さん、だから私警告したよ、、、、あの女性に手を出すと死神がやってくるって・・・・・」


彼は日本から手を引く決心をした。引き際を誤れば、自分も永野のようになりかねないからだ。この日、

魏だけでなくかなりの数の外国系非合法組織が、日本からの撤退を決めたのであった。


「へえ、、、、今度は銃器密輸ルートが摘発されたんですか」


「うむ、コーイチよその通りだ。アジトには対戦車ミサイルまであったそうだぞ」


永野会への一斉捜査から1週間、その成果は着々と上がっていた。銃器や麻薬密輸、人身売買などに

関わってきた下部組織や構成員の摘発が連日のように続いていた。そして、現代日本の社会問題と

なっているオレオレ詐欺、その中でも最大規模のグループが永野会傘下に存在していることが、明らか

となったのだ。


「そういう訳で、捜査二課から正式に応援要請が入った。明朝にアジトにガサ入れするからみんな準備は

怠らないようにしといてね~」


新宿区にある5階建ての雑居ビルまるごと、詐欺グループのアジトと化していたらしい。1人残さず一網

打尽にするために、イザベルの所属する一課はもちろんSATまで動員する大捕り物となったのである。


「今回は相手が抵抗してきたら、銃器使用も認められているからね。向こうも武装している可能性がある

から、十分気を付けて」


「イザベル先輩、三木課長普段とは別人みたいですね・・・・・」


「コーイチよ、いつもあーなら尊敬できるのだがな・・・・・」


「この前も私のお尻撫でるし、思わず357コンバットマグナム撃ち込んじゃったわよ!」


仕事モードに入った三木は優秀な警察官なのだ。イザベル達は、”普段からあーだったらいいのに”と

深いため息をつくのであった・・・・・


「アジトに詰めてる連中は、確認できただけで40人だ。我々は正面から踏み込むから、一課は裏口を

押えてくれ」


夜明け前、捜査二課の指揮のもと警視庁の部隊は詐欺グループのアジトを包囲した。SATの狙撃班も

配置につき、もし銃器による抵抗があれば容赦なく無力化する算段だ。そして、突入の時間がやってきた。


「警察だ! 詐欺容疑で捜査する!」


「うわっ! 逃げろ!」


正面から捜査二課に続いて警官隊が踏み込んでいく。アジトの中のメンバーは突然の出来事に慌て

ふためき、建物の中を逃げ回るが次々と拘束されていった。


「おっ、始まったか。コーイチ、こちらに逃げてくるヤツら、全員捕まえるぞ」


「はい、先輩」


裏口から逃げようとした連中も、待ち構えるイザベル達に捕えられていった。


「畜生! 死ねえっ!」


「甘いわ!」


「ぐあっ!」


ナイフでイザベルに斬りかかった男は、オリハルコンの聖剣”ガレル”で腕を斬りおとされた。悲鳴を上げ

ながら転げまわる様子を見た他のメンバーは、抵抗する気力をなくし大人しく捕まるのであった。


「い、命だけは助けてください!」


「おとなしくしておればな。少しでも抵抗すればその首はねてくれるわ!」


「は、はいぃぃぃぃぃっ!」


イザベルも警官隊とともにアジトに突入した。フロアには銃を手にした男が頭から血を流して倒れている。

反撃しようとしてSATに排除されたようだ。残ったメンバーも逃亡をあきらめ、拘束されていく。そんな中、

イザベルはふと、ある男の存在に気がつき呆然とした表情で話しかけた。


「貴様、、、、明ではないか。こんな所で何をしている」


「ま、まさか、、、、、君はイザベル!」


イザベルが大学時代付き合い、裏切られたかつての恋人佐野明との、思わぬ再会であった・・・・・


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