第17話 カラオケの魅力は世界を超えて
カラオケ、それは日本発祥の、現在では世界中で親しまれている娯楽である。シンカンセンと
同様”カラオケ”は、そのままで意味が通じてしまうのだ。
F市にももちろん、カラオケボックスは何軒も営業している。その内の1軒にイザベルと綾香、
彩絵はやってきていた。
店員にソフトドリンクと軽食を注文した後、綾香はイザベルに選曲のやり方など操作方法を
教え、「じゃ、こうやるのよ。まずは私たちから歌うね」と歌い始めた。
彩絵の選曲は”栄光の架橋”、試合の前にはこの曲を聴いて気合を入れるそうだ。綾香が
選んだ曲はオリジナルラブの”接吻”・・・・・・・・あまりにも大人すぎる選曲だ。
何でも若かりし頃の良枝が好きなアーティストで、綾香も一緒に聴いている内にお気に入りの
曲になったとのこと。
そして、イザベルの選んだ曲は、
”デイドリーム・ビリーバー”
TVのCMで耳にして以来、気になっている曲だった。そしてマイクを手に歌い始めるが、歌詞の
中の主人公に今は亡き大切な人が、写真の中から微笑みかけている描写のくだりで、イザベルの
目から涙があふれてしまった。
「あ、あれ? すまぬな、つい国の家族のことを想い浮かべてしまったよ。はは、場を白けさせて
しまって申し訳ない」
「ううん、いいのよイザベル、そんな謝らなくていいからさ」
綾香はイザベルをギュっと抱きしめた。そして場の雰囲気を変えるようにすっと立ち上がり、
「でもね、しんみりするのはここまでよ、いっくぞぉコメコメぇぇっ、シェイクヒップぅぅぅぅっ-----!」
そして、ジュリアナお立ち台のネーチャンばりの振り付きで熱唱する。
米米も良枝のお気に入りで、よくライブに行っては踊りまくっていたそうな。実はその隣りで、
これまた若かりし頃の斉木が踊っていたりしていたのだが、2人はまだその事実に気が付いて
いない。
「わたしも負けてらんないわね。みんなまだまだいけるかなぁ-----! じょいふるぅぅぅぅっ!」
彩絵もどこからか取り出したタオルを振り回して、負けじと歌い始めた。
「みんな、お楽しみはこれからよっ!、いっくよぉタマシイレボリュ-ショぉぉぉぉぉっンっ!!」
綾香も盛り上がりナンバーで続く。
こうして、楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていくのであった・・・・・・・・・・
「んーふふ、次はどの曲にしようかなあ」と選曲をする綾香に、彩絵が声をかけた。
「うちはまだいいんだけどさ、綾香のところそろそろ門限じゃないの?」
「「あっ!、、、、、」」
すっかり夜も更けたF市の住宅街を、2人の少女がトボトボと歩いていた。
「あ、綾香よ、すっかり遅くなってしまったな・・・・・・・・」
「う、うん、でも大丈夫よ。事前に連絡入れておいたからさ」
と、綾香が自分に言い聞かせるように答えた。そう、どうあがいても門限には間に合わないと
悟った彼女は、自宅に遅れる旨連絡した。曰く・・・・・・・
『いやーイザベルが初めてのカラオケで興奮しちゃってさー、ちょっと時間忘れちゃった。
ごめんねー』
今回はこれで、『もうしょうがないわね。次からは気を付けるのよ』くらいで許してもらえるだろう。
意外と小賢しい策を弄する娘である。
「いや、昔皇城抜け出して、父上と母上に怒られた時のことを思い出してな、、、、、普段は
衛兵が立ってる城門前に2人が待ち構えていて、父上は魔界の魔王も裸足で逃げ出しそうな
憤怒の形相で、母上は冥界の冥王も恐怖で気絶しそうなほどの無表情で立っていたのだ」
「なにそれ怖い」
自宅近くまでやってきた2人、綾香は玄関前に立っている両親に気が付いた。
「あ、おとーさん、おかーさん、ごめんね遅くなっちゃって、、、、、ヒィっ!!」
達夫は魔界の魔王も裸足で逃げ出しそうな憤怒の形相で、良枝は冥界の冥王も恐怖で気絶しそうな
ほどの無表情で、玄関前に仁王立ちしていた。
「イザベル、門限は守ってもらうと言ったはずだぞ。昨日の今日でもうこれか」
「ふふふ、2人とも言い訳は聞かないわよ。これはちょっとお仕置きが必要ねえ、、、、、」
イザベルと綾香は、恐怖のあまり抱き合ってガチガチと震えることしかできなかった。そして、
2人が泣きながら土下座して許しを乞うても、厳しいお説教が延々と続いたのである。
今話はちょっと趣味に走ってしまいました。
米米のShake Hip!はきちんと歌えれば、カラオケですんごい盛り上がりますよー
女性をうっとりさせたい場合は、オリラブの接吻です(笑)