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竜騎士の日本見聞録  作者: ロクイチ
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第125話 聖女、魔王を浄化する?


真祖バンパイアを浄化(実際は蹴殺)したイザベルと王国、陸自の連合部隊は、ついに魔王城の前にたどり

ついたのであった。


「あの城門、頑丈そうですね」


「あれは我々に任せてくれ」


89式装甲戦闘車に搭載されている対戦車誘導弾1発が発射され、城門は守っていた魔物ともども完全に

崩れ落ちた。


「よし、城内に突入するぞ!」


Sの隊長の指示で89式は制圧射撃を行いながら、ガレキをかき分け魔王城に突入した。オーク兵が矢を

射かけるが、何の効果もなく一瞬でミンチにされる。イザベルや王国軍もそれに続いた。すでに戦いは

一方的だ。戦意を失った魔王軍は自らの主である魔王を見捨てて、逃走するのであった。


「ティワナよ、魔王の居場所はわかるか」


「はい、でもこの反応は・・・・・」


魔王らしきマナの波動は確認できたが。それはあまりにも弱々しいものであった。


「ふむ、もしかすると強固な結界を貼っているのかもしれないな。油断せずに行くぞ!」


「はい、お姉さま」


物理トラップはSの隊員が、魔導トラップはティワナが無効化しながら一行は魔王の居場所へと進む。やがて

禍々しいいかにもな門が、彼らの前に姿を現した。


「これは、我々が破壊しましょう」


Sの隊員たちは、門の周囲に持参したC-4をセットした。


「危ないですから、ここまで下がってください」


起爆装置のスイッチを入れると、轟音とともに重々しい門が吹き飛んだ。一斉に隊員たちが突入し、中に

脅威がないか確認する。イザベル達もそれに続いた。中は王城の広間くらいの空間であるが、いかにも

魔王の居城といったおどろおどろしい装飾で占められていた。


・・・・そして、広間の玉座のような場所に人影が見えるのを確認した。その人物はイザベル達を認めると

口を開く。


「くははははっ、よくぞこの大魔王ニールが治める魔王城にたどりついたな勇者たちよ。この妾が直接相手

をしてやること、光栄に思うが良いじょっ、いたっ!」


そうテンプレなセリフをしゃべろうとして、噛んでしまった人物、それはゴスロリな衣装に身を包んだ見た目

小学校低学年の幼女であった・・・・・


「なあ、ティワナよアレが魔王なのか」


「マナの波動は、確かにあの子のものですわ・・・・・」


「記録ではこれまでの魔王は皆、壮年の男性の容貌だったのですが・・・・・」


想定外の事態に戸惑うイザベル達、ニールと名乗った幼女はその様子にしびれを切らしたのか、その

魔王の力をイザベル達に向けようとした。


「ええい、貴様ら何を呆けておる。妾の最強魔法を受けてみよ!」


見た目は幼女でも魔王である。イザベル達はとっさに反撃体制をとった、だが、ニールの手から放たれた

のはゴルフボール大の炎、それは人魂のようにひょろひょろとイザベル達に飛んでいく。Sの隊員がパシっ

と手で払うと、それはあっけなく消えてしまった。


「な、妾の最強魔法を無効化するとは、さすがは勇者なのじゃ!」


イザベル達は今度は頭を抱えてしまった。あれ、一体どうするよ、と・・・・・


すると、Sの隊長がニールにつかつかと歩みよった。彼は彼女の前で腰をかがめ、両膝に手を置いて話し

かけた。完全に子供にする対応である。


「あーお嬢ちゃん、おじさん達は君のパパかママに用があるんだが、居場所を教えてくれないか。そちらが

本当の魔王なのだろう」


「妾にパパもママもいないのじゃー! 妾は生まれながらにして魔王なのじゃー!」


そう両手を上げてぷんすか怒るニール、どう見ても子供が癇癪を起こしているとしか思えない。隊長も

イザベル達に困った顔で振り返る。


「ふむ・・・・・」


イザベルは少し考え込み、ニールに近づいて声をかける。


「ニールとやら、そなたが人族領に魔王軍をけしかけたのか?」


「そうじゃ、ジークリフトやデュカも、人族は憎むべき敵だと教えてくれたのじゃ!」


「そうか」


イザベルはその答えを聞くと、いきなりニールを抱え上げ、スカートをめくり、


「昔から、悪い子はこうやってお仕置きをするのだ」


「何するのじゃー、痛いのじゃー、やめてえぇぇぇぇぇっ!」


お尻ペンペンを喰らわしたのである。


「うわあ、、、あれすごい痛そう・・・・」


「お袋にやられた時の記憶が、思い出されるな・・・・・」


数分後、イザベルはすっかり何かをやり遂げたような表情で、ニールはというとベソ泣きをしていた。


「うっうっうっ、、、、魔王たる妾に、ひどいのじゃあ・・・・」


「これに懲りたら、二度と悪さをするでないぞ。次はこんなものでは済まないからな」


「ひ、ひぃっ」


イザベルはニールに威圧をかける。魔王といっても生まれたばかりのニールには、まだそれほどの力は

ないようだ。


「しかしイザベル様、子供といっても魔王です。このままにしておいたらまた人族に災いをもたらすことも

考えられますが」


「うーむ、、、、どうだ、ティワナよ何かわかったか」


ティワナは空中にいくつか魔導スクリーンを出して、何やら調べものの最中であった。そして、結論が出た

ようである。


「はい、魔王というのは魔界で一定期間で瘴気が溜まると、生まれる存在のようですね。その子も瘴気から

発生したようです」


「父と母もいないというのは、本当であったか・・・・・」


イザベルはまた少し考え込むと、ポンと手を打った、頭上には何やら電球が光っている。


「ティワナよ、溜まった瘴気を浄化できる術式を、魔王城に組み込むことはできないか。それならもうこの

世界に、魔王が誕生することはなかろう」


「はい、少しお時間を頂ければ可能ですが、そのニールはどうしますか。フレルさんの言う通り、成長したら

また戦争を仕掛けるかもしれませんよ」


「ああ、こやつは日本に連れていくぞ」


イザベルの言葉に、周囲は「ええっ!」と驚きの声を上げた。


「こやつはまだ幼い、日本でしっかり教育を受けさせれば、曲がることもなかろうぞ」


「しかし、そちらの世界に魔王を行かせるのは、危険では」


「フレル殿、それは心配ない。日本にはすでにフェアリーアイズから魔王が来ておるのだ」


イザベルはニールの世話を、ドラコに頼む腹積もりのようだ。


「その魔王、日本でも災いをもたらしているのですか」


「いや、ウチの近所で飲食店を経営しておるが、評判の良い店であるぞ」


「日本というのは、本当に我々の常識では測りきれない所なのですなあ・・・・・・」


フレルの頭に浮かんだ日本像は、まさに人外魔境な地であった。その二日後、魔王城での瘴気浄化の

術式組み込みが完成すると、一行はニールと従順なペットと化したジークリフトを連れて、王都に帰還

したのである。


「イザベルさん、それも日本に連れていくのですか・・・・・」


Sの隊長が引きつりながらイザベルに声をかける。彼女の横にはフェンリルの王、ジークリフトがリードを

付けられてお座りしていた。その姿にもはや魔物の王の威厳はない。


「うむ、”大きい犬”だと言えば、問題なかろう」


イザベルはしれっとして答えた。隊長は更にニールの方を向いて、


「この子も、頭に角と背中に翼がありますが、どうしますか」


「ああ、目立つようなら手術して取ってしまえば大丈夫だ」


その返事に、周囲はドン引きだ。ニールだけは”しゅじゅつ?”と小首を傾げていた。その様子に皆は、


”知らないって、幸せなことなんだ”


と心の中で思ったのだが、口に出すことはなかった・・・・・


「父上、それでは日本に行って参ります」


「フレルよ、ふがいない父を許してくれ・・・・・」


フレルと国王は、まるで今生の別れのような会話を交わしている。彼はルレイとともに、日本にイザベル

召喚の事情説明をしに行くのだ。日本で獄につながれることも覚悟している。


「私もこの事は不問にするよう口添えする故、そう心配せずよも良いぞ」


イザベルの言葉に王国側は再び、”おお、何と慈悲深い””重罪人の我らに情けをおかけになられるとは”

涙を流しながらひざまづく。完全に教祖様扱いだ。


「では皆さん日本に戻りますよー、魔法陣の中に入ってください。目的地は自衛隊駐屯地です」


89式がすっぽり入るほどの巨大な魔法陣をティワナが展開する。光に包まれイザベル達はクレアブルから

姿を消した。ようやく、日本への帰還が叶ったのであった。


ゴスロリのじゃ姫幼女魔王が出せたので、満足ですw

次話より舞台は日本に戻ります。

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