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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
88/107

伍章・参ノ弐 ~人生の煌き~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、88本目です。


張三姉妹を探す一刀パート。

明命と湖衣が先行して足取りを追っています。




「どうでした、明命さん?」


とある家から出てきた明命に湖衣が尋ねる。


「はい!ここには一週間ほど前まで居たそうなのです!」

「かなり近付いてきましたね」


張三姉妹の足取りを追って三日目。

ようやく彼女らの尻尾が見えてきた。

どうやら彼女は郡単位で周っているらしく、公演準備から撤収まで含め、五日前後ひとところに留まっているようだ。

最初は方々に聞いて回っていたが、少し大きめの邑を周ると効率的に情報を得られた。


「これなら今日中には追いつけそうですね」


護衛兼人足を一万人ほど連れているらしいから、行軍の足はそこまで早くはない。

二人の足ならすぐに追いつけるだろう。


「そうですね。今のところ異変もないようですし、無事に合流したいところです」


張三姉妹の足取りを追いながら、異変や鬼・白装束などの調査も平行していたが、越後以南は今のところ平和そのものだった。


「それでは、行きましょう」

「はいです!」






――――

――




数刻後


「「――――っ!!」」


二人は同時に足を止めた。


「砂塵!」

「しかも、百や二百ではないようですね」


手前の森のその向こう。かなり遠方だが、大部隊が動いている形跡が確認できた。

あの感じはただの移動ではなさそうだ。


「ここから視えますか?」

「分かりません。とにかくやってみます」


湖衣はお家流・金神千里であたりの探索に入る。

明命は隣でその様子を見守る。


「――っ!森の中をこちらに向かってくる人影が二つ…三つあります!」

「えぇっ!どどど、どんなんですか!?」

「全員女性。それぞれ桃色、空色、紫色の髪をしています。一人は眼鏡をしています」

「て、天和さんたちです!?湖衣さん、桃色の人はおっぱい大きくないですか?」

「おっぱ…え、えぇ、確かに大きい、です……」

「間違いありません!その三人だけですか?」

「他に人影は…ありません。でも、何かから逃げているようで……」


と、金神千里の範囲を後方の砂塵の方へ向ける。


「――鬼です!」

「えぇーーー!!」


仰天する明命。


「ど、どど、どうしましょう!?」

「まだ距離がありますが、あのお三方を追っているようですね。とにかく、合流しましょう。護衛の方達が奮戦していますし、私たちなら接敵前に彼女達と合流できるはずです」

「はいです!」


今度は湖衣の先導で二人は駆け出した。






――――――

――――

――




「はぁ……はぁ……」

「ひぃ……ひぃ……」

「ふぅ……へぇ……もぅ、お姉ちゃん走れないよぅ…」


混戦の中で僅かに付いていた供の者ともはぐれ、天和たちは三人だけで逃げていた。

普段の公演では歌いながら踊る上、興行のような長い旅もこなすので、一般の女性よりは体力があるとはいえ、長駆は堪える。

荒野から鬱蒼とした森に入ったところで、天和がへたり込んでしまった。


「天和姉さん立って!少しでも遠くに逃げないと…」

「やだーもう足が痛い立てない歩けない走れないー!」


天和は長女と状況にあるまじき態度で駄々をこね始める。


「もういいんじゃないの人和?華なんとかたちが化け物止めてくれてるんだろうし、少しくらいここで休憩したって平気よ」


そう言うや、天和に続いて地和もその場に座り込む。

こうなると人和にはもうどうすることも出来ない。


「はぁ…分かったわ」


頭を押さえ溜息をつきながら、近くの木の根に腰を下ろした。

人和も疲れてないわけではないのだ。


「それじゃ、少しだけ休憩ね。少し休んだら、前の邑まで戻るわよ。日が暮れる前には人里に出ないと」

「「は~い」」


正式に人和の許可が出たので、本格的に休息に入る二人。

天和は人和とは別の木の根に座りながら幹にもたれかかって目を閉じ、地和は服が汚れるのもお構い無しに地面に大の字になった。

気を抜くとそのまま寝てしまうかもしれない。

天和は既に舟を漕いでいる。

私がしっかりしてなきゃ、と自分も眠りに落ちそうな所をすんでで堪える人和。

落ちかけた瞼を気合で持ち上げ、目を見開く。

と、正面に見えたのは、


「天和姉さん!」


人和の声に、カクンッと天和の首が落ちる。


「ふぇ?」


その頭の僅か上を、フォンと一陣の風が吹きぬける。

天和は何事かと視線を上げる。

音を立てて倒れ行く木の後ろから現れたのは、巨体のバケモノだった。


「ひっ…」

「姉さん!早くこっち!!」


人和の呼びかけにも天和は動かない。

どうやら、腰が抜けてしまっているようだ。


「人和!」


地和が駆けながら目線で天和を指す。

同時に、人和も地を蹴る。

片や、化物は丸太のような腕を振り上げ、鎌のように鋭い爪を、動かない天和の脳天目掛けて振り下ろした。


「「姉さんっ!!」」


地和と人和が天和を力いっぱい引っ張り、空振ったバケモノの爪は地面へと突き刺さる。


「逃げるわよ!」


二人の妹が姉に肩を貸し、三人で駆け出す。


「ちーちゃん…人和ちゃん…お姉ちゃん重いでしょ?だから降ろして二人だけで…」

「バカなこと言ってんじゃないわよ!」

「そうよ!下らないこと言う暇があったら足を動かして!」

「う、うん…」


妹たちの言葉に涙が溢れるが、恐怖に竦んだ足は思うようには動いてくれない。

化け物は刺さった爪を引き抜くと、三人の後を追ってくる。

森は巨体の化け物より小回りの利く三人の方が有利だが、こちらは速度が上がらない。

そのうちに化け物が木々を切り倒しながら近づいてくる。


「マズい!追いつかれる…」

「どうするの人和!?」

「そんなことっ、言われても!」


張三姉妹の知恵袋といえど、絶体絶命の状況を打開する策など浮かぼうはずもない。


「だ、大丈夫!お姉ちゃん、もう一人で走れるよ!」


足の感覚が戻ったのか、二人に担がれていた天和が足を動かす。


「ダメ!天和姉さんがいきなり動いたら…」


担いでいる地和と人和が同じくらいの身長だから上手く走れていたのだが、そこへ天和が参加したため均衡が崩れ…


「「「あっ!」」」


三人揃って転んでしまった。


「いたたた…ちょっと姉さん!走るなら走るって言ってよね!」

「…お姉ちゃん、ちゃんと言ったもん」

「二人とも!今はそんなこと言ってる場合じゃ…」


ズシン…

三人の背後で重い足音が轟く。


「「「ひっ……」」」


ズシン、ともう一つ。

三人が振り返ると、そこには壁のような化け物がそそり立っていた。

最早これまでと観念したのか、三人はゆっくりと力を抜いた。


「……楽しかったね」

「…うん」「…えぇ」


場にそぐわない、どこか晴れ晴れとした天和の呟きに、地和と人和も応える。


「色々苦労はしたけどさ、大陸中に私たちの歌を届けるって夢は叶ったしね」

「それもこれも、華琳さまと一刀さんのおかげ…」

「一刀……最後にもう一回、会いたかったな…」


呉の巡業を始めて数ヶ月。

出る前に会ったきり、一刀に会っていないのだ。


「一刀……」「一刀さん……」


その想いは二人も同じだ。

恋も夢も、叶えた。

が、それらは絶頂にして、まだこれから。


「やっぱり私イヤ!こんなところで死にたくない!!」

「お姉ちゃんだってヤダよ!」

「私だって…!」


再び生への執着を見せた三姉妹へ、無慈悲にも化け物の爪が振り下ろされる。


「「「一刀ーーー!!」」さん!」


ヒュッ!


三人の呼びかけに応えるように、一刀(いっとう)の煌きが三人と化け物の間に瞬く。


「グギャァァアアァァーーー!!」


汚い悲鳴とともに、化け物の腕が宙を舞う。


「お怪我はありませんか!?」


「「「明命!」」ちゃん!」


すんでのところで魔の手から救ったのは、身の丈ほどもある刀を携えた呉の将・明命だった。


「話は後なのです!湖衣さん!」

「行きます!」


どこからともなく現れた三人の知らない人物と明命が、片腕を失った化け物目掛けて駆ける。

目にも止まらぬ速度で複雑な足運びをし、化け物を惑わせる。


「グ……グアァーー!!」


化け物は残った腕をただ無茶苦茶に振り回す。


「「滅っ!」」


二人は易々とそれを掻い潜ると、化け物のところで交差をし、左右から化け物を斬り上げられる。

その身に大きなバツの傷を刻まれた化け物は、ゆっくりとその巨体は後ろへと倒した。




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