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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
106/107

陸章・参ノ壱 ~川中島の戦い~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、106本目です。


今回から湖衣の過去編です。

過去の武田家にいったい何が起きたのか?

千曲川を挟んで『敵』と対峙します。




「あれ?」


湖衣の過去に来た剣丞は拍子の抜けた声を出す。

てっきり躑躅ヶ﨑館に着くと思っていたからだ。

湖衣もそのつもりだったらしく、キョトンとしている。


「時空のねじれ、ですね」


いつもならすぐにいなくなる管輅がポツリと呟く。


「時空のねじれ?」

「はい。何か強力な時空の改変が起きた場合、過去からの干渉が出来なくなる場合がございます」

「ということは、光璃たちに何かあったと見るべきか…」


剣丞たちの間に不安が広がる。


「ここどこっすかー?」

「…知らない場所」


因縁のある武田家の救出ということで全員が参加している長尾家の武将、柘榴と松葉が周りを見回す。


「ウチらの土地じゃねぇな」

「えぇ。恐らく三国側の土地かと」

「なの!」


小夜叉、雫、鞠が戦国側ではないと確信し口をにする。


「でも~私は見覚えない場所ですね~」

「そうだな」

「私も全く見当がつかないわね…恐らく呉国内ではないと思うわ」


三国側だが呉ではないと、穏と思春、そして蓮華は語る。


「なぁ、星。ここって…」

「そうだな。恐らく間違いないかと」

「ん?鈴々姉ちゃん、星姉ちゃん。ここがどこだか分かるの?」

「あぁ。ここは((越巂郡|えっすいぐん))と呼ばれる地域だ。蜀の領地になるな」

「そうだ!えっすいぐんなのだ!」


どこかで見たことがあると思ってたのだ!と鈴々が何故か自慢げに頷いている。

どうやら分かっていなかったらしい。


「益州の中でも南方に位置し、もう少しで南蛮と呼ばれる地域になるな。剣丞は美以たちも知っておろう?」

「あ…うん、もちろん」


美以たちのことを思い浮かべる剣丞。

現代でも『色々』とやっていたのを思い返し、彼女らが絡んでいる可能性があるとなるとややこしくなりそうだ、と剣丞は大きく一つ溜息をついた。


「あの、管輅さん」


湖衣がおずおずといった風に管輅に尋ねる。


「なんでしょう」

「今は『いつ』の私の縁なんですか?」

「一二三さまとの待ち合わせの刻かと」

「いけない!急がないと過去を変えられないっ!」

「どういういこと?」

「元の歴史では、ここで数日待って躑躅ヶ﨑館に戻ったら、もぬけの殻だったんです。だから…」

「飛ばせば間に合うかも、ってことか」

「はい!」

「よし、なら急ごう!」


こうして剣丞たちは一路、躑躅ヶ﨑館へと急いだ。






――――――

――――

――




千曲川を挟んで北と南では様相が違っていた。


南側に林立する旗には、孫子の一節が書かれていた。


『疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山』


有名な風林火山の旗だ。

文字の読めない足軽にも意味を教え、そう言う心意気だという方針を旗印にしたのが、武田晴信光璃である。


甲斐が見知らぬ土地に飛ばされてよりしばらく、今度は信濃が後を追ったように現れた。

信濃出現とほぼ同時に、躑躅ヶ﨑館に救援要請が届く。

所属不明の軍勢に攻められている。

末女の薫を後発に残し、動かせる軍勢約一万を率いて川中島へと進軍したのだ。


中央に馬場隊、右翼山県、左翼高坂、その三隊を全て補佐できる中軍に内藤。

本陣に当主を戴く、鶴翼というにはやや物足りないが、万全の布陣を敷いていた。


が……




「なんか、ちょっと不気味なんだぜ…」


自らの陣所で粉雪はぽつりとそう漏らした。

無理もない。

対岸には、地平を埋めんばかりの白白白。

それは遠目には外套のようで、とても戦装束には見えないが、それでも万の人間が同じものを着ているというのは、見るものに恐怖を与える。

粉雪の隊も赤備えと呼ばれ、諸国には恐れられていた。

部隊単位で揃えの色を身につける、というのはあるが、軍単位のそれは、恐らく日本史上初の光景だろう。


「姉上…」


武田本陣には大将の光璃と、副将格の妹・夕霧がいた。

精強無比たる武田軍の本陣詰めの精兵でさえも、その光景を見て士気が落ちている。

夕霧は勿論、光璃もそれは肌で感じていた。

だが、光璃は瞑目して口を噤む。

この危機的状況においては、やるしかないのだ。

と、にわかに兵がざわめく。

白装束の波の中から一人、歩み出てきたのだ。


「あれは…女性ですね」

「大将か?口戦か…それとも一騎打ちか…」


心と春日は、それぞれにそれを確認した。

同じ装束は身に纏っていないが、あの中から出てきたのだから、恐らくは敵だろう。

だが、目的が読み取れない。

武器は手にしているが、その歩みはゆっくりで、まるで物見遊山でもしているかのようだった。

戦場中の耳目を集めたまま、その少女は歩き続け、ついに川のすぐ手前まで来ていた。

そこでピタリと止まると、首だけゆっくりと動かし、武田の布陣を右から左へ一瞥し、やにわに川の中へと駆け出した。


「と、突撃してきたのら!?」


単騎の、しかも徒歩による渡河に驚いたのは兎々だけではない。

将による激励か一騎打ちの名乗りだとばかり思っていた。


油断?


いや、それが戦場の常識だろう。

無謀ともいえる突撃を仕掛けたのは、まだ少女といえる年頃の女性だ。

身に似つかわしくない武具を携えた少女は、驚くべき速度であっという間に渡河してしまった。


「弓兵!準備急げ!!」


中央・馬場隊は春日の号令ひとつで動き出す。

不意を突かれたが、そこは百戦錬磨。

滑らかな動作で弓兵隊は矢を番える。

その後ろで、騎馬隊が騎乗する。

相手が例え一兵といえど、抜く手などない。

少女は徒歩とは思えない速度で、矢の射程に入ってきた。


「ってーー!!」


矢雨が少女を襲う。

盾も鎧も兜もない相手。

この初撃で終わる。


……はずだった。


「なんだとっ!?」


彼女は持っていた大型の槍を身体の前で高速に回し、矢を全て吹き飛ばしながら、速度はそのままに接近してくる。


「騎馬隊、突撃ぃ!!」


ドドドと戦場を揺らし、数百の騎馬が駆ける。

目標は一人の少女……いや、将。

しかし、如何な将といえど、ただの人。

鬼神などではない。

騎馬の突撃を受け、無事で済む訳がない。



ドーーーンッ!!!



巨大な岩同士がぶつかったような音と共に、馬や兵が宙に砕け舞う。


「「「なっ!!?」」」


戦場にいた人間は一人残らず目を疑った。

鬼と戦った歴戦の勇士たちをして、それは驚愕の光景だった。

と、ほぼ一瞬にして血の雨を降らせながら、赫き将が騎馬隊を吶喊する。


「守りを固めろ!!伝令!後方の心に増員を頼んでこいっ!」

「は、はっ!!」


方々に指示を飛ばすと春日は、不死身の馬場美濃は一筋、冷や汗を流した。




…………

……




「ヤバいんだぜ!山県隊!歩兵弓兵はこの場に待機!騎馬隊はアタイについて中央の応援に行くんだぜ!」

「高坂隊、馬場隊の救援に行くのらっ!!」

「分かりました。内藤隊、半数で援軍に向かいます!伝令さんはその旨、本陣の御館様にお伝え下さい」


右翼・左翼・そして中軍が事態に対応するため、激しく動き出した。





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