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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
105/107

陸章・弐ノ陸 ~撤退~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、105本目です。


撤退を決めた一刀たち。

その方法とは?

雪蓮と桐琴の一騎打ちの決着は?




『小波っ!』

「一刀さま」


眞琴らと戦況を見守っていた小波の脳裏に、一刀の声が飛び込んできた。


『そっちの様子はどう?浅井さんたちは無事?』

「はっ。眞琴さま、お市さま、お二方ともご無事です」

『他に誰かいる?お付きの兵とか』

「十数名ほど居りますが…」

『分かった。今から撤退の策を説明する』






――――――

――――

――




鬼の掃討を終えた後続が合流してもまだ、雪蓮と桐琴の闘いはまだ続いていた。

お互い身体中に細かい切り傷を刻んでいる。

皮一枚の勝負は、とっくに五十合を超えていた。


「お待たせ!」


そこへ一刀ら本陣が到着した。


「遅いぞ馬鹿者!」

「お叱りは後ほど。状況は?」


怒る祭さんを押し退け、冥琳がずいと進み出る。


「見ての通りだ」


秋蘭は俺たちに二人が見えやすいように身体を傾ける。

その先には雪蓮と、恐らく桐琴という人が闘っていた。


「もう五十合はゆうに超えておる」


桔梗は難しい顔をしてそう言った。

見れば雪蓮の赤い服は、無数の傷でさらに紅く染まっている。


「壬月さま。桐琴さまは…」


そんな壬月さんにひよが詰め寄る。

しかし壬月さんは頭を振る。


「…駄目だ。私の声にも反応はない。まるで私の存在など知覚しておらんようだ」

「そう、ですか…」


肩を落とすひよ。


「それでご主人様、どうするおつもりですか?」


紫苑は努めて冷静にしているようだ。


「そうだ雛。一つ聞きたいことがあるんだけど…」


俺はなるべく呑気な声で、暗い空気に抗った。


「ん…?なんですかー?」

「あのさ。煙玉、って持ってる?」

「?持ってますけど?」


スッと、どこから取り出したのか、左右の手には数々の煙玉が、玉ではなく筒状のものもあったが、が握られていた。


「上等!」


俺はグッと立てた親指を雛に突き出す。


「それでは、一刀さまの策通りでよろしいですね」

「あぁ……そうだな…」


雪蓮の惨状を見てか、冥琳より詩乃の方が、今が落ち着いているように見えた。


「それじゃ、策を説明するよ」






――――――

――――

――




雪蓮は意識をなくしていた。


気を失っているわけではない。

集中が極限に達し、意識より『先に』身体が動いているのだ。

また無数の傷による出血で、全身の感覚が麻痺しているので、雪蓮は自分の身体が自分のものではないような…という考えさえ、脳裏に過ぎる暇なく、再び目の前の敵に向かって剣を振るっていた。

ボッという風切り音をさせ、敵は雪蓮を蜂の巣にせんとばかりに槍を繰り出してくる。

槍の間合いに近付くには、それをすんでで避わしながら接近するしかない。

また二つ三つと生傷を増やしながら敵の懐に入る。


「はああぁぁっ!!」


相手の左腕を斬り落とさんと下から斬り上げた剣は、器用に回された槍の柄で止められると、そのまま石突が雪蓮の鳩尾を襲った。


「ちぃっ!」


それを刃の背で受けるが、またしても反動を受け止めきれず、吹き飛ばされ二度三度と地面で身体が跳ねる。

剣を地面に突き刺し強引に勢いを止めたが、敵に背を向ける形にで止まってしまった。

振り返りざまに敵へ向かおうとする雪蓮。




「今だっ!!」


雪蓮と桐琴さんの間合いが大きく開いた瞬間に合図を出す。


「はぁっ!」「えーいっ!」


向こうとこちら、二方向から二人の戦場目掛けて球や筒状のものが大量に放り込まれる。

そしてそれらはもうもうと白い煙を上げ、二人の視界を完全に塞いだ。

もちろん、こちらからも見えなくなるが、発煙とほぼ同時に


「ってーー!!」


祭さん、桔梗、秋蘭による雪蓮への一斉射撃が為された。

鏃が外された矢は、雪蓮の身体に計算され尽くされて当たり、上半身が起きる。


「「「はっ!!!」」」


間髪入れずに三人から、強く引き絞られた一矢がそれぞれ放たれる。

その三本は的確に、雪蓮の腹部・鳩尾・額を射抜いた。


「カ……はっ…」


痛みを感じなくなっていた雪蓮だったが、急所を射抜かれ肺から空気が漏れる。

意識がぐるりと回り、蘇った感覚に思わず膝を落とす。

そこへ、


「失礼しま~す」


雛が現れ、雪蓮を担ぎ上げる。


「ア……あなた…」

「一刀さまと冥琳さまの命で撤退になりましたのでー」


一刀と冥琳の名を聞いたからか、元々抵抗する力など残っていなかったのか。

雪蓮は雛のされるがままにされ、その肩で意識を落とした。



…………

……



「雪蓮っ!!」


雛が雪蓮を連れて戻ってきた。

煙玉投入から30秒と経っていない。

鮮やかな作戦成功だ。

雛がゆっくりと地面に雪蓮を寝かせる。


「雪蓮!大丈夫か!?雪蓮!!!」


ぐったりとしている雪蓮に駆け寄るのは冥琳だ。

傷だらけの雪蓮に、普段は冷静な冥琳も取り乱している。


「大丈夫…とは言い難いですが、現在は気を失っているだけのようです」

「命に別状はないかと」


ひよところが雪蓮の容態を確認する。


「よし、なら早く離脱しよう!管輅!」

「はい」


俺の背後に音もなく現れる管輅。

相変わらず心臓に悪い登場だ。


「他のみんなは?」

「はい。本陣の部隊、並びに浅井さま方の部隊、無事洛陽に送り届けました」




この策の要は管輅だった。

俺たち本陣と浅井さんたちが合流できないのなら、時間と場所に囚われない管輅に動いてもらってピックアップしてもらえばいい。

誰か洛陽から来てる人がいなきゃいけないけど、幸い向こうには小波がいた。

本陣の部隊は紫苑を縁にして、そして浅井さんの部隊も小波を縁に無事撤退完了したようだった。


「では、参ります」


この場に居た全ての人間を光が包む。

ちらりと、まだ煙が立ち上る方を見やる。

謎の敵。

いったいあれは何だったのだろう?

そんな思案を掻き消すように、光が強くなっていった。





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