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恋姫OROCHI(仮)  作者: DTK
104/107

陸章・弐ノ伍 ~暴風~

どうも、DTKです。

お目に留めて頂き、またご愛読頂き、ありがとうございますm(_ _)m

恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、104本目です。


桐琴と戦う雪蓮。

それに対する手立てとは?




――――――

――――

――




「「「………………」」」


雛の述懐に詩乃・ひよ・ころの息を飲む音が聞こえる。


「その、桐琴って人は?」


多分、戦国時代の人なんだろう。

俺たちも事情を知らないと始まらないので、聞きにくい空気だけどあえて尋ねる。

口を開いたのは詩乃だった。


「……桐琴殿は森一家の前棟梁。小夜叉さんの母君です」

「小夜叉のお母さん……なるほど、その人が何故か敵として現れたことに、みんな驚いてるわけか」


それならこの反応も納得が行く。


「前と言うことは、家督が譲られたと言うことか?」

「「「………………」」」


冥琳の質問に、またしても重い空気が流れる。

その中で一人、詩乃がゆっくりと首を横に振った。


「桐琴殿は……お亡くなりになられました」

「………………え?」

「桐琴さまは…朝倉攻めの折、窮地に陥った私たちを逃がすために、鬼の大群相手に一人残り…………それで…」


ころの説明にひよも大きく頷く。

ひよの目には涙が溜まっているようだ。


「人違い、ということはないんですか?」


人和が聞く。


「私も…それに壬月さまも確認しました。間違いなく、桐琴さまでした」


雛がそう応えた。


「それで、長政さんとお市さんは?」

「桐琴さまと雪蓮さんを挟んで反対側に…でも二人の戦いが激しすぎて近寄れないんだ」

「なるほど…」


雪蓮と互角って時点で、桐琴って人がとんでもない使い手ってことが分かる。

その二人がガチの死合いを行っているなら……局所的な台風みたいなものだろう。

突っ切るのはほぼ不可能だ。


「このままじっとしてる場合じゃない。とにかく現場に行ってみよう!」

「うむ、私も北郷の意見に賛成だ。詩乃らは大丈夫か?」

「…はい。もちろん、行けます……行きましょう」

「よし。じゃあ、小波は雪蓮たちの近くを通らないように大回りをして長政さんたちと合流。こちらの事情を伝えて、そのままそちらに留まってくれ。連絡役を頼む」

「承知しました」

「後のものはこのまま前進だ!行くぞ、みんな!」

「「「応っ!!!」」」






――――――

――――

――




眞琴と市は目の前の光景を信じられずに眺めていた。

先の朝倉攻めで亡くなったはずの桐琴が突如目の前に現れ、こちらの進路を塞いできた。

問答もどこか噛み合わない。

積極的にこちらには攻めかかって来ず、一歩でも坂本へ近づこうものなら烈火の如く攻め立ててくる。


「どうしよう……まこっちゃん」

「どうするって言っても……」


いつまでもここに留まるわけにも行かない。

小谷には、帰りを待つ麦穂がいるのだ。

坂本がこの様子では援軍は望めないが、とは言えこのまま戻るわけにもいかない。

退っ引きならない状況がしばし続いた。

が、その状況は突如としてその均衡は破られた。


「はっ!!」


いきなり桐琴の後方、坂本から出てきた女性が桐琴に斬りかかったのだ。

遠めにも速く、そして重そうな斬撃の応酬。

暴風のような死合が、目の前で繰り広げられていた。


「ど、どうすれば……」


味方であるはずの桐琴が敵として立ちはだかり、彼女と謎の人物が斬り結んでいる。

どちらを支援すべきなのか。

そもそも自分たちは何をすべきなのか。

完全に見失っていた。


「策殿ーーー!!」

「ん?」


桐琴と戦っている、さらにその後ろからまた一人別の人物が現れた。

やはり見たことのない女性だった。

敵なのか味方なのか、はたまたどちらでもないのか。


「ま、まこっちゃん!あれっ!!」


思考回路が封鎖寸前の眞琴の耳に、市の声が飛び込んでくる。

市の指差す先に目を向けた。

先ほどの女性の、さらにそのまた後ろに二つの人影がある。


「あれは…まさか…」


そしてそれは眞琴の、もちろん市にも見覚えのある人物だった。


「壬月さん!!雛!!」






――――――

――――

――




「ぬぅ…どうすれば良いのじゃ…」


祭は歯噛みをしながら雪蓮と桐琴の戦いを見ていた。


「のぅ、壬月よ。本当に策殿が戦っておるのは、お主らの味方なのか?」

「はい…それは、恐らく間違いありません」


そうなのだ。

姿形、そして何よりその武力を見れば一目瞭然、森家前棟梁・森桐琴可成その人なのだ。

しかし、彼女は既に亡くなっていること、そしてこちらの呼びかけに一切の反応も示さない。

これが不可解だった。


「お主らには申し訳が立たんし…策殿には手討ちにされるかも知れんが、いよいよとなったら……覚悟はしておいてくれ」

「………………」


祭の言葉に、壬月は沈黙しか返さなかった。

雪蓮と桐琴の闘いは文字通りの一進一退。ほぼ五分。

しかし、雪蓮が討たれそうになった時には横槍を入れる。

場合によってはお前の仲間を討つ。

祭はそう言っているのだ。

それに壬月は何も答えられなかった。


「壬月さまー!」


そんな折、ちょうど雛が戻ってきた。


「本陣はなんと!?」

「今こちらに向かってますー!あちらの眞琴さまの方には小波ちゃんが向かってくれました」

「分かった」


早く来てくれ。

そう願わずにはいられない壬月だった。






――――――

――――

――




「眞琴さま、お市さま」


小波が二人の前に舞い降りたのは、反対側の雛とほぼ同時だった。


「「小波っ!?」」


突然のことに二人とも驚く。


「お二人とも、ご無事で何よりです」

「な……どど、どうして小波がここに!?確か、兄上と一緒に駿河で…」

「詳しいお話は後ほど。ただ、ご主人様はご健在。現在、ご主人様を中心に皆様方の救出を行っているところです」

「そ、そうなんだ……よかった~…」


腰が抜けたようにへたり込む眞琴。

向こうから張りっぱなしの緊張の糸が切れたのだろう。


「ねぇ!お姉ちゃんは?お姉ちゃんも無事なの!?」

「そうだ。公方さまとかも…」

「…公方さまはご無事ですが、久遠さまの行方は、未だ……」

「そう、なんだ…」


市の沈んだ様子に眞琴まで暗くなる。

小波もこの事実を告げるのは心苦しかったが、自分まで沈んではならぬと活を入れる。


「申し訳ございません。今度はそちらの状況を伺ってもよろしいでしょうか?」

「ん…あぁ、そうだね。ボクが話すよ」


市の表情を窺って眞琴が立ち上がった。






――――――

――――

――




俺たちは僅かな兵を引き連れ、言われた地点、坂本の北側へ急いだ。

駆けながら冥琳と詩乃、そして招きに応じてどこからともなく現れた管輅との間で策が練られた。

その大筋は『撤退』だった。


「場合はどうあれ、退くしかあるまい」

「そうですね。東には鬼の大軍。坂本・比叡が落ちた今、この地に留まるのは危険です」


状況が悪い上に、雪蓮と互角で戦国の味方である人が敵として現れている今、それが最良の選択だった。


「管輅よ、時を渡る際にお主の任意の存在を連れ帰る、という事は可能か?」

「いえ、縁となる人物が一人以上、その他は私を中心に同心円状の範囲がその範囲です」

「ならば雪蓮を連れ帰るには、桐琴とやらと引き離さなくてはならないな…」


冥琳は時間跳躍による強制撤退を考えていたようだが、それは不可能らしい。

理由はどうあれ、こちらを攻撃している人間を本拠地に連れ帰るわけにはいかない。

まして雪蓮と互角という事は、春蘭級の武力の持ち主ということ。

無力化するには、こちらも相手もただでは済まないだろう。


「どうするか…生憎と個の武力に秀でる者はいないからな…」


三国組の武将は雪蓮以外、全員弓使いだった。


「壬月さんってかなり強いんじゃないの?」


柴田勝家であるなら相当な武の持ち主のはずだ。


「壬月さまはもちろんの強いんですけど…」

「得物的に無傷で止める事は難しいかと…」

「また初めての雪蓮さまと同時に戦うとなると息が合わず、逆に危険と判断します」


ひよ、ころ、詩乃の言うことは尤もだった。

一騎打ち中の雪蓮と息を合わせて戦うとなると、梨晏でも難しいかもしれない。

その時ふと、ある考えが頭を過ぎった。


「詩乃。小波と雛は忍者…草なんだよね?」

「はい。雛さんは厳密に言うと違いますが…それが何か?」

「いや。だったら、アレを持ってるかもしれないな」




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