5話:エントリー会場
スターストールのエントリー会場へ足を運ぶ。エントリー会場は繁華街とは少し外れたところにある。流石にここまで来ると人は少ない。
10分ほどであろうか、エントリー会場へと着く。エントリー会場と言われるような場所なのだからもっと大きな施設を想像していたのだが、案外そんなことはなく普通の平屋の民家のような場所であった。
「なぁ、瞬俺道間違えたかな?」
クロが唐突に聞いてきた。まぁ確かに民家のような場所で受け付けるとも思えない。
「でも、クロ地図通りにきちんときたんだろ?」
W.O.Fの地図は正確無比である。しかも、W.O.F内なら尚更である。バク等が発生したとしても武闘派ガバメントが処理してくれることであろう。
「とりあえず入ってみようぜ。それでわかる。」
クロは了解と応じ、その民家へといく。
民家をノックしてみる。反応がない。
「やっぱり間違えたんかな?不安なってきてんけど。」
流石に俺も不安になってきた。もう一度地図を確認しようとした時、
「あ、空いてる。瞬はいってみよーぜ!」
「ちょっと!お前に勝手に!」
クロが勝手にドアを開けて中へと入って行く。こいつにはマナーとそういうモラルはないのかと思わされる。これがまだエントリー会場かもわからないのに。
しかし、行動しないわけにもいかないので俺もクロの後に続く。
中へ入る人は誰もいないようだ。不気味である。しかし、玄関から入ると市役所のような雰囲気の場所であった。受付のようなところがあり、その前の方に客人をもてなす場所であろうか?机とソファーがあった。逆に言ってしまえばそれしかなく、殺風景であった。
「すみませーん!」
クロが呼び掛ける。反応がないようだ。やはり、場所を間違えたのであろうか?その時である。
「なんにゃ。お前ら?スターストール出場したいんかにゃ?だとしたら、僕はハズレ引いてしまったかもにゃあ…」
何処からともなく声が聞こえてきた。辺りを見回す。誰もいない。誰かが監視をしていて、何処から音声を出しているのであろうか。
「なぁ、瞬。今の声なんや?何処から聞こえとるんや?」
クロも戸惑っているようだ。
「したにゃ!下をみるにゃ!」
下?そう促され下を見る。
いた。何かがいた。何かがというのも何かとしか表現出来ないからだ。ウサギのような折れた長い耳に猫のような顔立ち。全身は白色をしている。
さらに、二足歩行をしている。背丈は俺の膝くらいであろうか。
「えーと、お前は何者だ?」
当然のような質問を投げかける。目の前にウサギの耳を生やした猫が二足歩行で、人語を喋っているのである。聞かずにはいられない。
「良くぞ気いてくれたにゃ!僕は、スターストール補助ペットのシロだにゃ!」
そうシロと名乗る謎の生物は、腰に手を当てて鼻高々と名乗った。
それに、シロとはクロとコンビで白黒コンビである。何とも愉快な…
「スターストール補助ペットってなんや?」
クロが質問を投げかける。俺も気になっていた。補助ペットってなんだ?補助ペットって…
そう質問を投げかけられたシロはこれでもかというくらい目を見開いて、意外そうな顔をしてきた。
「え?補助ペットを知らないのにゃ?お前らスターストールにエントリーしにきたんじゃないのにゃ?」
そう投げかけられる。知らないのか?と、問われても知るわけがない。
俺とクロが戸惑っていると。シロは大きくため息をつき、絶望したような表情を見せた。
「はぁ…やっぱり僕は、ハズレを引いてしまったみたいにゃ…」
シロが絶望したような表情をまた見せる。
それを見ていてイラっとしたのか。クロが食ってかかった。
「なんや!さっきからハズレハズレって!俺らはな世界を取る男やぞ!」
クロが宣言した。
流石にこの啖呵は俺も無いと思い頭を抱える。
「補助ペットも知らないで、なーにが世界にゃ。笑わせるにゃ。」
シロがあざ笑いながいう。
クロが何をーと喧嘩腰になる。これでは拉致が空かないので本題へと移ろうとする。
「すまないシロ。こいつはバカなんだ気にしないでくれ。それよりも補助ペットについて教えてくれないだろうか?」
それを聞いたシロはやれやれと言わんばかりの態度で説明を始める。
クロがバカに反応したがこれに関しては無視をしようと思う。
「仕方ないにゃあ。無知なお前らのためにこのシロが教えてやるにゃ!」
シロは高々といった。この態度のデカさにクロが食ってかかろうとしたがそれを制止して説明を聞く。
「まず、僕たちはスターストールに参加するガバメント1つにつき1匹専属で付くことになるにゃ。僕たちはその戦いぶりを上に報告したり、異能の力の源、星の原石をかくガバメントのリーダーに配ったり逆に倒した相手の星の原石をこちら側に取り込む役目があるにゃ。」
なるほどな。各ガバメントに配給される秘書ってところか。
しかし、気になる点が一つあった。
「星の原石と異能ってなんだ?」
シロがまたやれやれと言わんばかりの態度で説明を始める。
「まず、お前らこのスターストールについて理解してにゃいにゃ。この戦い。どうしたら勝ちか理解してるかにゃ?」
どうしてったって…
「戦って敵を殲滅とか屈服させたらじゃないのか?」
クロが答える。
実際俺もそう思っていたのでクロに同調する。
「やっぱりお前らバカにゃ…この戦いは異能の源となる星の原石の奪い合いにゃ。星の原石は各ガバメントのリーダーに何らかの形、剣だとか槍だとかで配られるにゃ。それを奪い合い奪った方が勝者となるにゃ。」
なるほど、ある程度は理解してきた。陣取りとかそういうのではなくただの強奪戦か。
「ただ、注意して欲しいのがその原石を奪われたガバメントは奪ったガバメントの傘下に入るもしくは、解散を命じられるにゃ。傘下に入ればそのまま傘下としてスターストールに参加出来るが、解散させられたらその時点で敗退にゃ。」
なるほどな。生かすも殺すも勝ったガバメント次第ってことが。
しかし、肝心の異能について説明がない。基本的なルールは理解したのだが…
「異能の源とか、異能ってなんだ?」
それについてシロが即答する
「読んで字の如くにゃ。異能にゃ。各ガバメントリーダーはそれぞれの星の原石に見合った異能を使えるにゃ。例えば火を吹くだとかそういうの想像してもらえればいいにゃ。まぁ、原石を持っていても素質がなければ異能が発動することはにゃいがにゃ。」
なるほどな…その異能を駆使して戦うと。
もう一つ気になることがあった。
「奪った星の原石はどうなるんだ?持ち主を離れた異能だろ?」
「それについては、奪ったリーダーが仲間にその原石を預けてその異能を使わせる。自分が持ち、もう一つの異能を使えるようになる。敵に持たせたまま傘下に入れて、そいつに使わせる。廃棄してその異能を無かったことにする。それぞれ自由にゃ。ま、リーダー次第って事だにゃ。でも、さっきも言った通り素質がなければ異能が発動することはにゃい。それも考慮した上で決断するべきだけどにゃ。」
なるほどな。この戦いについて理解することが出来た。まず、星を奪い合う。その上で奪った星を駆使する、仲間に預ける、傘下にしたリーダーに使わせる。それぞれ自由みたいだな。
一方のクロはわけがわからないようだ。頭のうえにハテナが浮かんで見えた。後で帰って説明してやろう…
「そこのイケメンは理解したみたいにゃ。でも、そっちのクロとかいうバカは理解してにゃいみたいにゃ。」
これには流石にクロも怒ったのであろう食ってかかった。
「なんやと?このクソ猫!」
「なんにゃ?やるにゃ?」
このままだと殴り合いが始まりそうなので間に入り仲裁をする。
「あ、1つ言い忘れていたにゃ。」
シロが思い出したように言う。
「異能の能力は、フェーズ1〜3まであるにゃ。その上に裏フェーズってのもあるが、この裏については知らなくてもいいにゃ。例えばフェーズ1が火出すならフェーズ2が火を飛ばせるようになるみたいな、異能のパワーを測る物差しみたいに考えてもらえればいいにゃ。まぁ、これも素質次第にゃ。」
なるほどな。それぞれの異能ごとにパワーアップなんぞがあるのか。
「ありがとうシロ。だいたい理解した。」
シロにお礼を言う。
「それじゃあお前ら出場するってことでいいにゃ?」
シロが俺たちに投げかける。
俺とクロは覚悟を決めたかのように頷く。
「それじゃあ参加資格となる星の原石を生み出す儀式を始めるにゃ。もう、やるってなったら仕方がにゃいにゃ。僕の出世とか、このW.O.Fに関わることにゃ。精一杯頑張ってくれにゃ。後は自分に異能を扱える素質があることを祈るだけにゃ。それじゃあ儀式を始めるにゃ。リーダー僕の手を握るにゃ。」
そう促されて、俺はシロの手を握る。猫の手なのかもふもふしていて、肉球が気持ちいい。
「じゃあ、いくにゃ!」
そういうと、俺とシロの周りがまばゆい光に包まれた。眩しい何も見えない。
その、光に包まれ目を開けられるようになった時。俺は知らない大地に立っていた。辺りは真っ白。上を見ても下を見ても真っ白なわけのわからない空間にいた。遠くを見ても途方もない先がわからないようなとこであった。
(なんだここは?)
俺はわけがわからなくなった。




