表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/19

2話:母の強さ

勇気を振り絞り母さんに話し掛けた。自然と拳に力が入る。その手には、自分でも分かるくらいに汗をかいていた。この汗はきっと夏の暑さのせいではないだろうと思う。


「どうしたの瞬?そんなに怖い顔して?」

母さんが笑いながら答えてくれた。この人は、いつもそうだ。何かあるとすぐに気付き、笑いながら話してくれる。母親は偉大だと思わせられる。

そして、やはり俺の顔は笑顔のつもりだったのだが強張っていたようだ。


そして、再度勇気を振り絞り本題へと入る。


「母さん…俺…スターストールに出ようと思う。クロに誘われたんだ。ガバメント設立の金もクロが用意してくれた。だから、後は武闘派ガバメントの設立手続きをしてスターストールに出る申請をするだけなんだ。」


俺は、緊張で半分頭が真っ白なまま、母さんに告げた。

俺は、きちんとスラスラと言葉を言えただろうか?なんて言ったかさえの記憶も曖昧だ。日本語がきっとおかしな事になっているだろう。

きっと、反対される。その上で言った。もし、反対されたらやめようとも思う。母さんを心配させたくない。


母さんは、俺にこう告げられ表情を一瞬強張らせた。当然だろう。一人息子が戦争に行きたいと言っているようなものだから。


そして、母さんはこちらを向いた。その、動きがすごくスローモーションに見えた。母さんは口を開きこういった。


「ん?別にいいんじゃない?ほら!カレー冷めるよ。早く食べよう。」


(ん?えーと…ん?)


俺の思考がその言葉を理解するのに何故か時間を要した。

そして、点と点が繋がり線になりそれを理解した。それを脳が理解した途端考えるよりも先に俺の口が勝手に動いていた。


「え、え?えぇぇぇぇ!?そ、そんな二つ返事でオッケー出すの?息子が戦争に行きたがってるんだよ?そこは、なんで?とか聞くもんなんじゃ…」


大声で叫んでしまった…だって、こうもっと

なんで?とか反対よ。とかあるんじゃ…まさかの二つ返事でオッケーとは…流石の俺も混乱を隠せずにいた。


「なんでったって…あんた本気なんでしょ?」

母さんが笑顔を崩さずにいった。

「私はね、思うんだ。自分の子供が、瞬が、本気でやりたいと思ったことを応援してやるのが親なんだって。今の今まで夢なんて語ってくれなかった子が真剣にやりたい。そう言ってくれた。それだけでね、それ以上に無い理由だと母さんは思うな。」

母さんはやはりいつもの温かい笑顔でそう言ってくれた。


俺の頬に一滴の滴が流れた。それは、汗なんかではなく涙だと理解した。緊張と混乱とでわけがわからなくなり言葉を発しようとしても、上手く出てこない。しかし、この状況に対して何とか言葉を発した。


「母さん。本当ありがとう。」


俺はこの一言しか言えなかった。


「はい!んじゃこの話は終わり!早く食べましょう。」

母さんは、笑顔で言った。


その言葉を受け、台所のカレーを二皿運び、頂きますを言い母さんと食べた。今日のカレーは俺の好きな辛口であった。


食事を終え、シャワーを浴び、自室に戻り寝る準備をする。今日は。色々な事がありすぎた。

(明日学校へ行ったらクロに言おう…)

そう思い寝ようとした。しかし、喉が渇いてきた。

水を飲もうと布団を出て台所へと向かう。


リビングの電気が付いていた。母さんがまだ起きているのであろう。時刻はすでに11時を回っている。こんな時間に起きているなんて珍しい。台所とリビングは繋がっている。寝る前にまた挨拶をしようと思い。ドアノブに手をかけた。

すると、小声であるが母さんの声が聞こえた。


「ねぇ、あなた。瞬たらスターストールに出るんですって。本当、あなたに似たのねあの子。」

リビングには父さんの写真がある。それに、話しかけているのであろうか。俺は、いけないと思いつつドアノブに手を掛けたまま耳を済ませる。


「私ね正直出ては欲しくないの。当然でしょ?大事な大事な息子だもの」


胸がズキリと痛む。やはり母さんは、出て欲しくないようだ。今になって、自分の言ったことに対する罪悪感が芽生える。


「でもね、それ以上に嬉しかったの。だってそうでしょ?毎日遠くを見るような目をしていたあの子が、しっかりと前を見据えて夢を語ってくれたんだもの。本当嬉しかった。W.O.Fで瞬に会ったら守ってあげて下さいね。」

そう言った母さんの声は震えていた。きっと泣いているのであろう。


俺は、ドアノブから手を離し、来た道を戻り自室へと戻った。喉の渇きは感じていたが、それ以上に涙が止まらなかった。


(ありがとう…母さん…本当にありがとう…)


俺は、溢れる涙を止め電気を消し、ベッドへ入った。


しばらく目を瞑っているとウトウトしてきて、深い眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ