12話:拉致
「なぁシロ」
「なんにゃ。」
「なんで俺ら拉致られてんの?」
そう。拉致られているのである。俺とシロは帰宅途中であった。そんで気付いたら…
「おーほっほっほ!おーほっほっほ!」
この高笑いする生徒会長の家にいた。
しかし、シロも同時に拉致するってことはスターストールの関係者ってことは間違いではないだろう。
「僕を拘束してるってことはお前はスターストールの関係者にゃ?スターストール出場者同士のリアル干渉は法律違反なはずにゃ!」
シロが大声で生徒会長に対して言った。
リアル干渉については俺も初めて知ったのだがそれなら話は早い。それを餌に逃げられるはず。
「そんなの知っていますわ!わたくしは取引がしたいんですの。」
生徒会長は当然でしょと言わんばかりの態度でこちらに言ってきた。
しかし、取引とはいったい…
「なぁ生徒会長。」
「わたくのことは舞様とお呼びなさい。」
今の言葉に少し困惑してしまう。シロに至ってはドン引きしている様子だ。
一方の生徒会長は自信満々である。
「流石にそれはねえよ。城ヶ崎ってよぶ。ところで城ヶ崎取引ってなんだよ。」
城ヶ崎は呼び方について特別に許してあげましてよ。と上から目線継続である。イライラを通り越して本当面倒臭くなってきた。
そして、城ヶ崎は取引について真面目な様子でその歩を進め俺の目の前で言った。
「スターストール棄権してくださらないかしら?」
俺とシロは目が点になった。なんのために?ライバルを減らすため?いや、俺なんか弱小ガバメントだ頭数にも入らない。ではなぜ?まさか始まりの星の原石が…
「わたくしは生徒会長として、生徒を危険に合わせたくないんですの。もっともただでとはおっしゃりませんわ。それ相応のお礼は差し上げます。」
なるほど。城ヶ崎は生徒会長として一生徒の俺を心配してくれているのか…なんだろうか…なんか…
「城ヶ崎…ありがとうな。お前いいやつだな。」
それを聞いた城ヶ崎は何故か赤面をして慌てた様子で答えた。
「な、な、なにを仰いますの!わ、わたくしはただ生徒に問題を起こされたくないだけですわ!」
何を慌てているのか。褒め慣れていないのか?まぁいいや。そんなお礼とか言われても俺の意思は変わらない。
「城ヶ崎心配ありがとうな。けれど、俺はスターストールに出るよ。」
城ヶ崎はキョトンとした様子でなぜ?というような感じだ。こいつは生徒会長の名前でも使えば俺が出ないと言うとでも思っていたのであろう。
「な、なぜですの?理由がわかりませんわ!」
理由か…そうだな…
「親父をこの手で殴る。そんでもって、」
ここからは完全にクロの受け売りになっちまったけどな。俺もそう思うから仕方ない。
「俺たちは世界を取る!男に生まれたんだ。ちっとは夢見させろ!」
俺は堂々と言った。クロとの付き合いが長いからか自然と俺にもクロの気持ちが流れていたらしい。
「馬鹿馬鹿しい!そんな事で命をかけるなんて…」
なるほどな。確かにわからねえよな。俺も前ならここで辞める。なんて言ってたんだろうな。
「確かにバカだよな。けどな、俺は理由なんてよりも自分の気持ちがそうしたいっていうからそうするだけだ!親父をぶん殴って、世界を取るんだよ!」
それを隣で聞いていたシロや、目の前で聞いていた城ヶ崎が驚きを隠せてない様子だ。
俺もクロに毒されたってのと、辞めろって言われるとやりたくなっちまうのが男ってもんなのかもな。
「あなたはもっと淡白な方かと思っていましたわ。」
やはりそう思われていたか。まぁ俺自身も俺を淡白な奴って思う。
「わかりましたわ。」
そこで、城ヶ崎が俺の前から立ち歩を進める。
「おぉ!わかってくれたか!」
やっぱり人間話せばわかるものである。
しかし、城ヶ崎は何故かW.O.Fのログイン画面を開いていた。
「そこまで言うのでしたら、わたくしに勝ってくださいな。そしたら、認めましょう。逆に言えばわたくしに勝てないような人がこの戦争を戦えるとも思えませんので。」
なるほどな。口でわからないなら実力ってことか。俺も初の全身リンクになるが女には流石に負けない。
「わかった。でも逆に俺が勝てば認めてもらう。」
その言葉を聞いた城ヶ崎は頷いた。
「ねぇシロさんでしたっけ?これはリアル干渉はしてないW.O.Fでの決着ですから問題ないですわよね?しかも、双方の合意ですし。」
シロも問題ないと頷いた。
「けれどもまだ本線ではにゃいから傘下や解散はできにゃいにゃ。」
俺も城ヶ崎も頷いた。
「では、わたくしは先に行ってますわね。それでは逃げないことを祈ってますわ。」
そう言うと城ヶ崎は全身リンクシステムログイン画面を開きボタンをタッチした。
「リンクルード!」
その掛け声と共に眩い光に包まれて城ヶ崎はその場にばたりと倒れた。
「瞬こうなったら仕方ないにゃ。やるしかにゃい。多分あの女能力をもう使えるはずにゃ。」
確かにあの自信であるのだからそう捉えるのが妥当であろう。
「けれども瞬には始まりの星の原石があるにゃ。この戦いで覚醒してくれることを祈るばかりにゃ。」
俺自身もそう思う。能力ってのがどんなものなのか、どのように影響するのかはまだ見てもいないしわからない。けれど、このままならヤバイというのは直感でわかる。
しかし、もう受けてしまった勝負逃げるわけにもいかない。俺は全身リンクシステムログイン画面を開きボタンをタッチした。
「リンクルード!」
その瞬間、俺とシロは眩い光に包まれた。




