天才テロリストに勝つ方法
男は大統領の警護役の一人に任命された。
それはあるテロリストたちからの犯行声明があったからである。
「それじゃあ大統領がパーティに行く時の警護についての作戦を立てるとしよう」
警護役のリーダーが机の上に地図を広げた。男や他の警護役たちが地図に目をやる。
「大統領はおよそ十分間車に乗り移動する。テロリストの犯行声明にはこの間に大統領を暗殺すると書いてあった。奴らは今までも予告通りに目標を殺してきてる。絶対に阻止するぞ!」
「了解!」
犯行声明を送りつけてきたテロリストたちはある日突然現れた。
必ず殺す相手自身に声明を送りつけ確実に殺す。それが彼らの手法であった。
殺されるのは決まって政治に関係するものである。そのためおのずと男たちボディーガードの出番となったのだ。
「よし。今回は囮の車を使う作戦で行こう。先に数台、リムジンを行かせてから大統領には一般の車両に乗ってもらい、目的地に向かってもらう」
「しかし、その作戦で大丈夫でしょうか?前回も作戦が読まれてましたし……」
男はリーダーの作戦に不安を口にした。
テロリストたちはいつもボディーガードたちの作戦を読んでいた。リーダーが裏切り者の可能性も疑ったが見つからず作戦が読まれているのだということになったのだ。
「だったらお前にいい作戦があるのか?」
「……一つだけ、作戦があります」
家の前に着き男は車のドアを開けた。
作戦は成功だった。大統領が家からパーティ会場に向かい帰ってくるまでに襲撃は一度としてなかった。
車から大統領が降りた。
「本当にありがとう。まさか助かるとは思ってなかったよ」
大統領はリーダーに握手を求める。リーダーはそれに応じた。
「いえいえ、全てはコイツのおかげですよ。コイツが今回の作戦を立てました」
リーダーは男の肩を叩いた。
「そうなのか?いや、本当にありがとう。ところで、その作戦とはどういったものなんだ?」
「簡単な作戦ですよ。テロリストたちはいつも僕たちの作戦を読んでいました。だったらその逆を突けばいいんです」
「逆?」
「そうです。だから僕たちは特に何もしませんでした。そうしたら勝手にテロリストたちが裏を読んで自滅しただけですよ」
「それだけなのか?それじゃあもし、攻撃にあってたら……」
「まあ、その時は死んでましたね」
笑いながら男は答えた。大統領は苦笑するしかなかった。
お読みいただきありがとうございました。
結局テロリストは捕まらずじまいなままになってしまいましたが一回犯行をミスってしまいそれを引きずって捕まってしまったということで…
大統領と書いていたのは「テロリストとか物騒な組織が日本にあるのか?」と思ったからです。
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