プロローグ2
お久しぶりです…。
すみません、タイトル変更しました。書いていたら赤から青に…
あれ?みたいな…
さて、今回は若き王様目線です。
グランディ皇国〜シャイン目線
「ジェラード!ジェラードは何処だ!」
どかどかと足を鳴らして乱暴に歩く深い深い青色をもつ青年。
濃紺の髪に鮮やかなコバルトブルーの瞳。
『青の皇王』と呼ばれるグランディ皇国の新王である、シャイン・ブルーノーツィ・グランディ。
短い期間で、跡継ぎ問題による内戦を治め、立て直した豪傑。
その容姿は深い海のような紺をまとった美しい青年だ。
一見軟弱そうに見えるが、纏っている覇気はさすがというべきか。
敵対する者達を黙らせ、従わせる力を持った竜のような青年である。周りを魅了してやまない青の新王は、怒りをあらわにして側近中の側近であるジェラードを呼びつけていた。
すれ違う官吏たちがびくびくと脅える中、飄々と顔をだしたのは、新王の懐刀であるジェラード・マイルスウォル。
知らないものが見ればジェラードを王だと勘違いしそうなほど、がっちりとした体格と燃えるような赤い髪の持ち主で『赤の宰相』と呼ばれている。
怒らせてはいけない人物として有名である。
「なんですか。騒々しい。王、あなた人より声が通るんですから叫ばなくとも聞こえます。ほら、見てください。貴方の声でガラスが揺れているではないですか。
そのうち割れてしまいますよ。」
「ガラスなんぞどうでもいい。それよりジェラードどういうことだ!」
「どうでもいいとはなんですか。どうでもいいとは。ガラスだってタダではないのですよ?いくら隣国との戦いに勝ってある程度疲弊した国のお金も戻ったとはいえ、まだまだうちには余裕はないのです。ガラス一枚だって無駄にはできません!」
「わかってるわ!大体俺の声だけで割れるわけないだろう。大体…」
「割れます。確実に割れます。貴方ね。自分のことまだわかってないのですか。
声はデカイは態度はデカイは、ひょろっこい見た目を裏切ったその馬鹿力に剣の才能。さらには覇気だけで人をひれ伏せる力。貴方が戦場に出た瞬間を私はきっと一生忘れません。貴方がその溢れんばかりの覇気を纏って戦場に出た瞬間、敵はばったばったと倒れ…」
「ジェラード!」
「はい?」
「…お前は…。俺を馬鹿にしているのか、誉めているのか、貶しているのか…」
「おや、解りませんか。ば…」
「おい。」
「はいはい。戯れはここまでにしておきますよ。それで?なんですか?」
「なんですかではない!これはどういうことだ!」
そう言って、机に広げられたくちゃくちゃの紙にはこう書かれていた。
{精霊の姫と称されるエイリスの妹姫ティアナティーノ殿を妃に迎えたいと思う。グランディ皇国 新王 シャイン・ブルーノツィ・グランディ}
「おお。貴方が、求婚したエイリスの妹姫への手紙ですな。なぜここに?」
「おお。じゃねぇよ。俺は出しだ覚えはない!こんなものを正式に俺に内緒に出せるとしたら宰相であるお前しかいないんだよ。」
「おや。ばれましたか。さすが殿下」
「エイリスから、返事はすぐにはできかねる。新王の即位式に皇太子と共に妹姫を向かわせる。よく話し合ってくれ。と正式な書簡ではなく裏から返事が来た。
そのうち正式な書簡も届くだろうがな。で、どういうことだ。俺はエイリスの妹姫なんてしらねぇぞ」
「王。さきほどから言葉使いが…」
「うるせぇ。お前と俺しかいないんだ。少し崩れるくらいいいだろ。」
「そうは…」
「ジェラード。」
「…わかりました。今だけですよ。で、貴方、前に言っていたでしょう。『精霊に逢った』と。しかもそれからパタリと女遊びもやめて。」
「なん…なんで知ってる!」
「そりゃ解りますよ。もう長い付き合いですからね。で。精霊とやらに一目ぼれした主の為に探したんですよ。・・・まあ、ヒントは沢山ありましたからね。貴方が精霊に出逢ったのはエイリスの隣国でありわが国の隣国でもあるツェルプラン国の避暑地。貴方がそこに身を隠した時にエイリスの王族たちもそこにいたんですよ。で、精霊と言われているのはタダ一人。妹姫のティアナティーノ姫のみ。」
「…違うかもしれないだろ…」
「ほぼ、確実ですよ。それはそれは美しい姫との事ですからね。ウチの主が惚れる位の美しさといったら彼女しか考えられません。」
「…もしかしたら姉かもしれないだろ。」
「ふむ。姉姫も妖精とは言われていますね。確かに。しかし、月のごとく鋭利で凛々しく冷たい感じの美女だそうですよ。しかも中身は暴れん坊だとか。貴方の好みとは違うでしょう。確かふわふわした女の子を好まれ…」
「ジェラード!」
「はいはい。とにかく、即位式にいらっしゃるのでしょう?そこで確認すればいいじゃないですか。大体『結婚を申し入れる』とは書いていません。あくまでも『妃に迎えたいと思う』と書いただけです。違っていれば、まぁ、『想像と違ったので、撤回したいと思う』とでも言っておけばいいんじゃないですか?」
「・・・お前な・・・そんな酷いことを俺にさせる気か」
「どうせ、どうにかするんでしょ。貴方は。」
「向こうがその気になったらどうするんだ!」
「まあ、ありえますな。そのときも…どうにかするんでしょう?貴方が。」
「・・・お前・・・本気で殺したくなってきた。」
「どうぞ?私の首でよければ、いつだって差し上げますよ。」
「・・・っち。お前、いっつもそう言って俺を使うよな。」
「できる主で、私は幸せです。」
「俺は不幸だけどな。」
「ふふ。」
「ふふ、じゃねえ。ったく。とりあえず、もう向こうはこっちに向かってるだろう。っち。面倒くせえ。」
そう言いながら、今でも夢に出てくる精霊の乙女が本当にエイリスの姫だとしたら・・・
と考えるシャインであった。
もしかしたら・・・もう一度、会えるかもしれない。
そうして、運命の日が近づいていくのだった。
次回はアティ目線です。
たぶん。
じ、次回こそ早めに更新したいと思ってますm(__)m