第二話 別視点アリア=ローラント
初めての別視点からの話です。
読みにくいかと思いますが、そこらへんはその広いお心でお許しください。
私の名前はアリア=ローラント。
こう見えても、Aランク冒険者をしている身だ。
私は、C級モンスターである、ローウルフというモンスターの討伐依頼を受けこの、名もない森にやってきた。
ローウルフというのは、見た目はただの狼と似ていて、違いといえば体毛が狼よりも少し黒くて、一回りほど大きい凶暴なモンスターの一種だ。
このモンスターは、頭がいいのかいつも集団で行動しており、単体ではDランクくらいの強さなのが、集団で来ると、持ち前の連携で獲物を確実にしとめるという、恐ろしいモンスターなのだ。だが、私にとっては、1匹だろうと10匹だろうとさほど変わらない。
私は、森があまり好きではない。なんかじめじめしていて、肌にまとわりつくような空気が何か苦手なのだ。
さっさと帰ろうと思い、依頼で指定された数をローウルフの集団を見つけてからもの10分後に狩りおえた。
そして、証拠になる牙と、耳、尻尾を剥ぎ取り、街に帰ろうとした。
するといきなり、私は、人の気配を感じた。
「今まで誰もいなかったのだが、誰だ?」
私は、気配を感じたほうに向かって歩き始めた。
予想していたのよりもかなり違うかった。
いきなり気配を感じたものだから、かなり高度な隠密術を持ったやつかと思ったのだが、ただのヒューマン族であった。
しかも、この森の中で紙を見ている。
依頼書か?
だが、ここも低級の森とはいえ、そこそこ強いモンスターもいる。
だから、私でさえ周りには最低限度注意を払っている。
つまり、そんな紙は見ている暇などは、あまりないはずなのだ。
そして、その少年を少し見て更なる驚きを見つけた。
黒髪、黒目だったのだ。
普通、自身が持っている魔力の特性によって髪の色や、眼の色は変化するものなのだ。
基本属性として4つ
火なら赤。もしくはそれに近い色。
水なら青。もしくはそれに近い色。
土なら茶。もしくはそれに近い色。
風なら緑。もしくはそれに近い色。
また、2種類、3種類持つものは、1番得意とされるものが髪の色になり、2種類ならば、眼の色がもう1つの色となる。3種類の場合もほとんど同じなのだが、眼の色が2種類になる。
ちなみに4種類も持っている人は、今まで存在したことがないらしい。
また、色が濃ければ濃いほど、その系統の魔術や魔法が強く、コントロールしやすくなるらしい。
もっと細かく言えば、その4種類のほかにも種類はあるらしいのだが、興味があまりないのでほとんど知らない。
そんな私が4属性のほかに唯一知っているのは、無形等魔法。
私も、よく使うためある程度知っている。まぁ、防御や、強化魔法程度にしか使わんが。
純粋に、魔力だけを使い、火や、水、土、風の性質がついていない魔法のことをさす。
ただの、純粋な魔力だけを使うので、得意不得意関係なく、魔力をある程度持っている人ならば使える魔法である。
この中には、転移魔法や、身体強化魔法、対抗魔法(簡単に言えばバリアや、シールド)等の魔法が入る。
ただ、自身の体の中の、純粋な魔力だけ使うので、コントロールが自身の得意な魔法に比べて、難しいのだ。
さらに、4属性の魔法よりも魔力を多量に使ってしまうため、扱い所が難しいのだ。
そのため、ある魔術師(魔法使い)が、「無形等魔法を、自由に扱えてこそ、本当の魔術師(魔法使い)なのだーー!」と力説していた。
私は、魔法や魔術は、戦闘の補助程度にしか考えていない。
詠唱や、魔力を練り上げている暇があるならば、その間に物理的に攻撃したほうが早いと思うからだ。
宮廷魔法使いのように、その道を極めている人ならば、それこそ、無詠唱なんかで魔法を使えるため、魔法や、魔術を使ったほうが早いだろうが、そうでないなら、剣なんかで攻撃したほうが早いと、私は思っている。
話がそれたな。
まぁ、私が言いたいのは、あの少年の髪の毛の色や、眼の色は見たことがないと。かつ、彼の得意の魔法はなんだか気になるってことだ。
そんなこんな考えていたら、彼もようやく紙を見終えた。
そして、びくびくしながら後ろを向いた。
私も、彼ばかりを見ていたため対応が遅れた。
後ろに、ここの森でも上位に位置する、モンスター。
名を《ベアー》という。
しかも、かなり大きい。
こいつは、ある一定以上まで成長すると、《ビックベアー》に変わり、名前の通り、さらに大ききなり、もっと攻撃的になる。
このベアーは、かなり成長しており、もういつビックベアーになってもおかしくないくらいに大きくなっている。
私は、直感的に危ないと感じ、そして同じように、彼ならもしかしたら・・・と思い、どうしょうかと思っていると、彼がいきなりベアーのほうを向き、いつの間にか手にしていた、おそらく鉄製だろうと思われる剣を構えた。
そして、ベアーに向かって、いきなり飛び掛った。
私は思った。
何なんだ、あの少年は。
いきなり、ベアーに飛び掛ったと思ったら、おそらく強化魔法を自身にかけ、一太刀をベアーに入れたと思ったら、ベアーがいきなり真っ二つになった。
さすがに、私でも鉄製の剣で強化魔法だけでは、あの大きさのベアーは一太刀では切れない。
最低でも、同じことをしようと思ったら、鋼鉄くらいの強度はいると思う。
そんなことを考えているうちに、彼がどこかに行こうとし、そして立ち止まった。
おそらく剥ぎ取りをするのを忘れていたんだと思うのだが、そもそも彼は剥ぎ取りようのナイフを持っているようには見えない。
そして私は、何を思ったのか、彼に近づき、
「私のでよければお貸ししましょうか?」
そして彼は、
「おぉ、センキュー」
といって、私が出していたナイフと握ってベアーから剥ぎ取りし始めた。
ザクザク
グチュ
剥ぎ取りの仕方が、下手だ。
あれだけ強いから、こういったことには慣れているかと思っていたがそうでもないようだ。
そして彼は悪戦苦闘しながらも、何とか剥ぎ取りを終えたようだ。
「貸してくれてありがとな」
「いえいえ。構いませんよ」
ちゃんと礼を述べてから返してきた。
そして彼は、
「あのぉ~あなたは、どちら様ですか?」
と、言ってきた。
こういった言葉遣いに慣れていないのが、バレバレだが、そこれへんは気づいていないフリしておいた。
聞いてきたのだから、返しておくことにした。
「あぁ、すみません申し遅れました。私はアリア、アリア=ローラント、冒険者をやっています」
そう言い私は冒険者の証であるギルドカードを取り出して彼に渡した。
彼は、カードをよく見ている。
本物かどうか見ているのだろうか?
失敬な、これはれっきとした本物のギルドカードだというのに。
そう思っていると、彼はギルドカードを見終わったようで、ギルドカードを返してきた。
「はい、これ。ありがとうございました」
「礼儀が正しいな」
「そちらが、本当のところですか?」
「おっと、しまった。私としたことが、知らない相手の前で元の口調になってしまった」
どうしたのだろうか。
私が、知らない人の前でいつもの口調に戻ってしまうなんて。
「そちらのほうがお似合いですよ。あぁ、すいません。あなたばかり自己紹介していますね。気づかなくて申し訳ない。僕の名前は、くろが・・・いえ、レックスと申します。冒険者になろうかと思っている身です」
最初の部分は少しあれだが、本心からのようなのでまだ許しておく。
名前のところで、少し止まったのが気になるが、偽名であっても私には関係ないのでほうって置く。
ただ、冒険者になろうとしている身というところが、私を少し驚かせた。
「ほぉ、その力量で今から冒険者になろうと思っている身か・・・
B、いやAくらいの冒険者かと思っていたが、見当違いだったようだな」
「ええ、いままでいろいろなところで師匠に鍛えていただいていましたから、冒険者になる機会がなくて。それで、その師匠からようやく合格をいただきましたので、これから街に行こうかと思っていたところであいつに出会ったんで、戦っていたんですよ」
「その師匠とは、誰なんだ?」
「師匠に口外するなといわれていますので、言えません」
「それならば仕方ないな」
はっきり言って、すごく嘘に聞こえるが、私には本当かも分からないので、肯定だけしておく。
「ですが、街の方角が分からないのでお教えいただけませんでしょうか?」
「あぁ、いいぞ。私もこれから街に帰ろうかと思っていたのでな」
地図をなくしたのだろうか、私に道を聞いてきた。
「ありがとうございます」
「別に気にするな」
本当は、いろいろ気になることがあるのだが、それは街で機会があれば聞くとしよう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
誤字や脱字、ご意見、ご感想等もお待ちしております。