第二十話 闘技大会に登録
俺は、あの馬鹿でかい城での会見とは名ばかりの、拷問を受けた後出てきたわけだが…
ブルッ
クリスと、出会ってから何故か異様に体が震える。
何故だ?風でも引いたか?だけど俺の勘が本能で違うと訴えかけてくる。
という訳で、さっさと城から出て、闘技大会に出場すべく、会場にに来ているわけだが……
「長い!!」
そう、その受付の前には長蛇の列が出来上がっていたのだ。人人人人人人人人人……周りは人だけ。恐らく上空から見ても、地面の色は見えないと思う。
しかもみんながみんなガチムチのおっさんばかり。余計に狭く感じる。稀に、稀に女性の方もいらっしゃるけど、隣にいるクリスのような、スマートな方はいらっしゃらない。全員がムキムキばかりだ。
一目見ただけで、それなりの冒険者だと分かるから、うかつに手を出せない。……いや、出さないけどね。
ついでに言えば、俺のような身長の人はいない。俺のような防具の人もいない。まぁ、ローブ系の防具は、魔法使い向けだけどね。
「なぁ、この列いつになったら最前列へいけると思う?」
「そうだな。前にいる人を、全てなぎ倒せばすぐに一番前へいけるんじゃないか?」
「そうか~。確かにすぐに前にいけるけど、それは大変だね~」
クリスの意見をやんわりと断る。というか、全員となぎ倒すって無理じゃね?ほら、みんな身長高いしさ。みんな高ランクの人ばかりだしさ。
「まぁ、待つしかないかな」
「だが、暇だぞ?」
「しゃーない。我慢するしかない」
しょーも無いことを話し合って、かれこれ5時間。やっと、受付まであと4人。
俺は思った。これだけの人数がいるのに、受付が1つしかないのがいけないんだ。
考えているうちに、2人受付が終わって、残り2人。
でも、受付をしえいる人は、なかなか1人1人を捌くのが早い。なんせこう思っている間に、俺の順番が回ってきたからだ。こんな人を、10人も配置すれば、効率がもっと上がるのに…
「次のグループの方、早く来てください」
「すいません。すぐ行きます」
呼ばれたので、小走りで受付へ行く。
「それでは、団体戦の登録をしますので、こちらに貴方の所属するチームの名前をお書きのうえ、その下に所属している人の名前をお書きください」
「へ?団体戦?」
「えぇ。もしかして、個人戦の登録をしに来られましたか?」
「はい、その通りなんですが……。もしかして違います?」
「ここは、団体戦の登録受付ですので、個人戦の受付はしておりませんね」
「まじかーー。クリス、もう一回並びに行く?」
「私は、どちらでもいいぞ。だが、一度レックスと団体戦をしてみたいと思うぞ」
これって、言外に登録をしろってことだよなぁ~。わーったよ。
「はぁーー。そうか。それじゃあ、団体のほうも登録します」
「かしこまりました。それでは、こちらにチームの名前と、試合に出場なされる人の名前をお書きください」
俺は、字がかけないのでクリスにお任せする。
サラサラサラ
あっという間に書き終えたようだが、一番上のところ、受付の方の話によると、チーム名のところの欄だけ白紙のようだ。
「レックス。チーム名どうする?」
「時間が無いから、あれでいいだろ?“ああああ”で」
「いや、それはだめだろ。すいません少し待ってください」
「えぇ、かまいませんが、できるだけ早めにして置いてくださいね。。後ろが滞ってきているので」
後ろを見てみると、いらいらしてるごついおっさん達のチームが。ちょっと眼光が怖いです。ハイ
でも、こんなことで怖がっていると悟られたくないので、いつもどうりになることを心がける。
「わかってますよ。今丁度いい名前を思いついたんだ。クリス、ちょい耳かして」
「ん?なんだ?」
クリスの耳が近づいたところで、小さい声で話す。
「うむ、それはいいな。それにしよう!」
「それでは、こちらにお書きください」
サラサラサラ
「それでは、こちらで登録しておきますね」
「「はい、よろしくお願いします」」
こうして、チーム『黒騎士と姫剣士』ができた。
チームの名前が決まったことで、嬉々としていた俺に、言葉が降りかかる。
「それでは、個人戦の受付は、あちらになりますのでお早めに行かれた方がよろしいですよ?」
「は、はいありがとうございます」
クソッ。また、あの列にならばいかないのか。気が遠くなる……
◇
結果から行くと、個人のほうは、団体の方より人数が少なかった。これは、団体のほうは、出場する全員が受付に行かなきゃ行けないけど、個人戦なら1人で十分だからだ。
ちなみにだが、受付を済ませると、個人なら赤、団体なら青のエンブレムがもらえる。この闘技大会の期間中に、このエンブレムをつけて露店なりに行けば、商品を1割安くしてもらえるのだ。これは、この大会をはじめて開催した、初代の国王が定めたことなんだそうだ。簡単に言えば、『頑張ってくれ』みたいな感じなんだろうと思っている。
理由は何であれ、安くなるならそのうちに必要なもの買うことに俺達の間では異論は無い。なんだって、安いんだもの。
そんなこんなで、登録の終わった俺達は、市場に来ていた。
そこで、ある武器屋の露店に入っていた。
「こんなんはどうだ?」
手に持っている、短剣を差し出す。
「いや、レックスが使うものだから、そんな煌びやかなものじゃなくて、こんな感じの黒で統一したほうがいいと思うのだが」
クリスが差し出すのは、柄から、刀身まで真っ黒のナイフだった。
「12本セットで、銀貨10枚のところを、あんた達は大会に出るみたいだから、9枚でどうだい?しかも、そのナイフは、復帰地点がかかっているから、投げても元のホルスターに帰ってくる、取りに行かなくてもいいナイフなんだよ」
この露店の店主のおばちゃんは、このナイフをアピールしてくる。
確かに、取りに行かなくていいのはすごいいいことだが、今はナイフを必要としていないのだが…やめろクリス、そんなきらきらした目で見るんじゃない。わかった、分かったから買えばいいんだろ?
「おばちゃん、そのナイフ買うよ」
「ありがとね。それじゃあ、ホルスターは腕につけるタイプと、腰に巻くタイプと脚につけるタイプがあるけど、どれがいいかね?」
んー結構種類があるんだな。まだ、使ったことが無いから、慣れたら何所につけてもよさそうだけど、ナイフを使うなら、暗器として使ったほうがいいから、隠せるタイプで且つ投げやすいところがいいな。この防具は、地面のギリギリまでの丈があるから、どこでもいいか。
「それじゃあ、両足につけるタイプでお願いします」
俺がそういうと、「まかせな!」といって、すばやく俺の脚の太さを調べ始めた。その結果、ちょうどいい感じでナイフが装備できた。
「ありがとうございます。あと、あの短剣をもらえませんか?」
おれが指差したのは、商品が置いてあるシートの端っこにおいてあった短剣だ。選んだ理由は、真っ黒でなんかカッコよかったから。
「この短剣かい?」
おばちゃんの目には、あまりオススメじゃないよ。と訴えかけてくるようだ。
確かに、最初持った短剣のように、見た目から『よく切れますよ!!』っていう感じじゃなかったけど、光を反射させないように刀身は黒く塗られ、触ってみるとザラザラしている。敵を切りつけたときに、より深手を与えるように作ってある短剣だ。この手のものには、毒なりを塗って使うのが普通だ。しかも、このナイフは片側にいくつかの切り込みが入っており、この切り込みにうまいこと敵の振りかざしてきた剣をはめれば折ることもできる。
「まぁ、買ってくれるなら、何も言わないけどさ。これは、銀貨1枚だよ」
「安ッ!?なんで?」
「だれも、高いお金を出して、切れ味の悪い短剣なんて買おうとしないからだよ。売れなかったものが売れたんだ。しかも、他のものまで買ってくれている人だからね、感謝を込めてこの値段だよ」
この短剣は、魔法で強化までしてあるのに、何で誰も買わないんだろ?まぁ、いいか。
「ええっと、合計で銀貨10枚っと。…ハイ」
「まいど、確かに10枚だね。ありがとよ」
こんな感じで、ここでの買い物は終わった。
あとは、これから必要になりそうな消耗品の買いだめと行きますか。
本日購入したもの
ナイフ 12本
両足に6本づつつけている。復帰点がかかっているため、取りに行かなくてもいい、便利なナイフ。
複合毒のソードブレイカー
全体を黒で統一され、光を反射させない。表面はザラザラしており、敵により深手を与える短剣。ちなみに、麻痺と毒が塗りこまれている。片側は、凸凹しており、敵の武器を折るのに適している。硬化魔法と状態異常強化の魔法がかけられている。本来は暗殺用の武器。誰にも本来の価値を見出してもらえず、ずっと残り続けていた品物。実はめっちゃ掘り出し物だった。
その他もろもろの消耗品
最後までお読みいただきありがとうございます。
感想等お待ちしております。
あと、明日の午前0時に暴走して書いてしまった、小説を投稿するつもりです。お暇があれば読んでみてください。




