プロローグ2
意識が戻ってきた。
少し頭痛がするが、すこしなので放って置こう。
そういや、このセリフ言ってねぇ
「知らない天井だ…」
確か、自分は《マジックワールド》をしていて…
いつも通り、メールボックスを見て。
!!
そうだ、そこにいかにも怪しい「転生の書」があって、それを開いたらなんかいきなり目の前が真っ白になって…
痛った
頭痛がひどくなってきた。
少し眠いし寝るかぁ~。
再び、意識が戻ってきた。
よし、頭の痛みはないな。
ここで1度、彼は体を起こして体に異常がないか確かめから周りを見た。
いや、見てしまった。
そこに広がるのは、一面の真っ白な世界。
たぶん部屋だろう思われる場所には、何ひとつとして物はなく、ただただ真っ白な部屋が広がっていた。
部屋だと思ったのは、天井(らしき)ものがあったためだが、この部屋は真っ白で、先がないんじゃないのか、って思うくらい広いため、確信が持てない。
住民がいてくれればいいのだが…
っていうか、この感じはテンプレ的な展開なのか?
これが本当ならば、次にはロリ系のドジッ子な神様が出てくるはず。
はっ!!
しまった、周りのゲームヲタクらに染められてしまっているなぁ。
いかんいかん。
ここは冷静に、冷静に。
「あっ!!やっと起きたの?」
むむ!!
前方より、神様らしき人影、いやここでは神影というべきか。読み方は分からんが。かみかげとでも言っておけばいいか。
だがそこらへんどうでもいい
なんせ
神様キタァァァァァァァァァァァァァァーーーーーー!!!!
から。
むぅ~
だが残念。
この感じ、ロリじゃないな~。遠くからでもある程度の身長があることが分かる。実に残念だ。
「幼くなくて悪かったわね」
と、言いながら予想神様走ってこちらへ登場。
ふふふ、だが、ここでこければ、ドジッ子仮確定なのだぁぁ!!
「あっ!!」
「きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー」
「ふぅ、危なくこけるところだったわ」
ガーーーーーーーーーーーーーーーン
「ん?どうしたの?」
「ロリでもなく、ドジでもない…どーいう事だよーーー」
「えぇーーーー!!なんで泣くのぉーーーー?」
あぁ、意識が遠のいていく…
てか、まず現実じゃないんだ。
それくらいわかれよなぁ俺。
これで、次起きたら俺はマジックワールドをしてるんだ。
てか、どんだけ性能アップしてんだ?
夢のなかの夢って。
はっ!!
もしかして、これが噂の、デスゲームってやつかぁ!?
運がねぇなぁ~
そこまで考えて、意識が完全にブラックアウトした。
「えぇーー、大丈夫なのこれ?」
そんな、残念な神様(自分命名)の声が聞こえたような、聞こえなかったような。
またまた意識が浮上してきた。
まだ少し眠たいが問題ない範囲だろうと思い、そのまま体を起こす。
「あ!!起きた~?」
目の前には、つい最近見たような面影が。
さ、もう一回寝るかぁ~。
「ちょ、寝るなーーーーーーー!!」
耳に響く。
「ご、ごめん」
まぁ、分かればよろしい。
「なんで上から目線なのよ」
そこらへんは気にスンナってことで。
「はぁ、まあいいわ」
神様が、こめかみを抑えながらため息をついた。
何かあったのだろうか?
「あんたのせいよ」
なにかしたのだろうか。
謝らなければいけないのだろうか。
まぁ、どうでもいいっか。
「いや、そこは謝れよ」
サーセンでしたー。
「謝る気あんのか?
はぁー、もういいわよ。さっさと用事済ませたいし」
あは、あははは?
神様怖いですよーー。
って、用事ですか?
何があるのだろうか?
「あんたのことよ。
自分なんでここにいるのかわかんないでしょ?」
確かに。
「それを、今から説明するから」
了解です。
てか、今気づいたが、なんで声に出していないのに、会話が続いているのだろうか?
不思議でならない。
「私が、あんたの考えていることが分かるからよ」
Why?
「私が神様だからよ」
本当に神様だった!
だが、こんな神様で世界がまわせるのだろうか?
「そこらへんは、大丈夫よ。あんたが生きてる間よりもずっと長いことこの仕事やってるから」
なるほど。
この神様は、実はすんげーおばさんだっだぁぁぁ!?
左方向から、神速の速さでパンチが飛んできた。
ごろごろと、床の上を転がる。
「だーれーがおばさんですって?」
すごくお美しい、美の女神も服を脱ぎながら逃げ去っていくほどの笑みを浮かべながら、こちらに寄ってくる。
ただ、目がまったく笑ってない。
めっちゃ怖い。怖いですよーー だれか、だれかたすけてぇ~~
「で、誰がおばさんなのかしら?教えてくれませんか?」
ポキポキと、手を鳴らしながら、太陽のようなまぶしいくらいの笑みを浮かべながらこちらへよってくる。
やべえ、腰抜けた。動けねぇ。
汗が、滝のように流れていく。もう、比喩じゃなく、ナイアガラの滝顔負けの量だ。
「はぁ、もういいわよ。殺る気が失せたわ」
ふぅー、助かった。九死に一生を得たよ。
服の袖で、額に浮かんだ大量の汗を(すべて冷や汗)ぬぐいながら、ほっと一息つく。
「だいぶ話がそれたわね」
ほとんどはいってませんけどね。
「ポキポキ」
はい、すいませんでした。
「んじゃ、本題に入っていくわよ」
りょーかいです。
「まず、なんであんたがここにいるのかからはいるわよ」
気になってたところです。ハイ。
「何でここにいるのかというと、たぶんあんたのところに転生の書みたいな感じのものが送られてなかった?」
ありましたよ~
そして開きました。
「それが原因よ」
はは~なるほどなるほど。
「あんたが、疑いもせずにそれを開いたから、あんたはここにいる」
疑わなくてさーせんでした。
異世界転生は、男のロマンなんだから仕方ないじゃん。
「開き直ってるけど、放っておいてっと。
あれは、いわゆる権利書みたいなものよ」
異世界に逝ける?
間違えた
異世界にいける?
「そんなものね」
な~る
なんで、権利が与えられるのですか?
「《マジックワールド》って、あきれるほどスキルとか、魔法ってあるでしょ?」
うん、確かに山ほどあったな。てか、山では表現しきれないほどの量だよ。
スキルを、すべて取得するのは苦労したわ。
「そこよ、そこ」
ん?どこだ?
「すべて取得のところ」
あぁ、そこか。
「あんなにたくさんのスキルとか、魔法とか取得するには、かなりの暇人じゃないと無理でしょ?」
俺を、暇人だといいたいのか。
「そういうわけじゃないけど、かなりの時間が要るってことを言いたいのよ」
なるほど。
「んで、神様会議でそんな時間があるなら、現実逃避してるんじゃないかって答えが出たのよ」
急展開だな。俺は、現実逃避なんてしてないぞぉぉ!!
「分かってるわよ。。そんな人ばかりじゃないってことは分かってるんだけど、そんなに一々調べれないから(主にめんどくさいから)一応選ぶ権利を与えてるのよ」
何を選ぶ権利?
「ざっくり言うと、異世界に行くか、もう一度現実世界に戻すか、そのまま死ぬかね」
質問だが、異世界に行くのと、そのまま死ぬのはなんとなく分かるが、現実世界にもどすときはどうするのだ?
「さっきから質問ばっかだけどね。まぁ、いいけど。
簡単に言うと、ここでの記憶を消して、ここに来る前までに戻すのが一般的ね。前例はないけど」
なんで記憶を消すのですか?
「その口調やめなさい。なんか気持ちわry)
おほん、少し考えたらわかるのだけど、ここに来る人間が増えるからよ。仕事が増えてたまったもんじゃないわ。1人でもこんなに大変なのに、2人3人と来たら、あぁ、考えただけでも震えるわ」
なるほど、めんどくさいだけね。
「こんな質問ばかりするけど、どこに行くのか決まってるの?だいたい分かるけど」
「あぁ、もちろん異世界さ!!」
「で、どんな世界に行くの?
やっぱりマジックワールドかしら?」
「んーーーーー」
悩む、やっぱりマジックワールドかなぁ?
いや、あれは展開が分かりすぎて面白くない。でも、この人生の中で(短いけど)一番はまったゲームなんだよなぁ~。
「基本が、マジックワールドってところある?」
「えぇ、あるわよ」
「んじゃそこで」
「決定早いわね。私は、関係ないからどうでもいいけど」
「無責任なやつめ」
「決定したのはあなたよ。
私は、仲介的な役割だけ。本当はこんなにゆっくり話なんかしないわよ」
確かに。納得できるかも。他の人の時のことなんか知らんけど。
「んじゃ、そこの説明をするわね」
「おう!」
「そこは、基本はゲームのマジックワールド。だけど、ゲームには出てこなかった人物もたっくさん出てくるからね。主にプレイヤー。そっちでは、ゲームの中と認識されているのではなくて、1つの世界として認知されているから。」
「そこらへんはわかってますよ」
「だいたい、あなたがゲームをしていた頃より500年くらいあとの世界につくことになるわ」
結構進んでんなぁ
「俺が覚えたスキルとかって、使えるのか?」
「使えるわよ。だけど、あなたが使えるのは、古代魔法みたいなのに分類されるから、目立ちたくないなら、ここで変更することが出来るわよ」
「便利だなぁ、ここ」
「普通はしないけどね。あぁ、分かってるみたいだけど、異世界に行くときの見た目は、マジックワールドのときのと一緒だからね」
「おう、わかってらー」
「あ!そうだ、言い忘れてたわ」
「チートか!?」
「いいえ、まったく違うわ」
ガク
テンションダウンや。
「あんたは、元からチートみたいじゃない。そんなのに力与えても、全然意味ないじゃん」
「なるほど~。あんたも考えてたんだな」
「イラってくるけど許してあげるわ。さっさと終わらせたいし」
「そんで、言い忘れてたのはなんだ?」
「あぁ、忘れてたわ。えっとね、あんたの力を抑えさせてもらうわ」
なんだって?
ただでさえ、チートをもらえなかったのに、さらに奪うだと?
「能力値はそのままにしておいてあげるから。抑えるって言っても、スキルを1部使えなくさせてもらいだけだから」
なんだ、それだけか。
「そうねぇ。魔術と、魔法を使えなくするってことで。でも、強化魔法は使わしてあげるから。これでガマンしなさい。あぁ、それと向こうで新しく覚えた魔法とか魔術は使えるから安心しなさい」
「それなら、まだいいか」
「素直でよろしい。あぁ、あんたのキャラクターって、ヒューマン族の、黒髪の黒眼で、身長145cmで、名前はレックスのやつでいいわよね?」
「あぁ、それでいよ」
「ゲームの中でさえ小さいなんて、笑えるわ」
「しゃーねえだろ。あまりにも体格を変えすぎると、重心が狂っちまうって聞いたから、俺も仕方なく小さいまま使ってんだよ。てか、身長のこと馬鹿にしてると、俺怒るぞ」
「ごめんごめん、面白すぎて、ついつい笑ってちゃって。テヘ☆」
「もういいよ」
「んじゃ、準備はいい?」
「おk」
「それじゃ、そこにあるドアをくぐって、行ってきなさい」
「おう!!」
俺は、元気よく扉を開いた。
すると、目の前が真っ白になって…
◆◇◆
「行っちゃったね、絵美」
「何言ってんのよ、アキ。ここに来た人が、ここから出て行かなかったことなんてないでしょ」
後ろからかけられた声に、少し驚きながら返した。
「あの子、小さくてかわいかったね」
「あれが?
アキ、あんたどんな趣味してんの?」
「あら、絵美だっていつもなら、素っ気無く送っているくせに、何言ってんのよ~。あんなに律儀に質問に答えてる絵美なんて始めて見たわよ」
「そ、そうかしら」
「慌てちゃって、かわいいやつめ♪」
「あ、アキーーーーーー!!」
「あら、怖い怖い」
もう、まったく怖くないだろうに。
まぁ、頑張ってきなさい。
ここにはもういない、小さな男の子に向けてそっと、ひそかに思う。
読んでいただきありがとう御座います。