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転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた  作者: 季未


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6話

あれから丸一日が経過した。 俺を中心としたこの奇妙な共同生活は驚くほど順調に回っていた。


「ギィ(メシだ)」

「……いただきます」


ゴブリン (先輩のほう)はすっかり少女に慣れたのか、俺がDPで生成した「ふかしたパン(5DP)」と「水(1DP)」を少女の前に置き、自分たちの分も受け取って扉の前に戻っていく。

少女も最初はゴブリンを怖がっていたが、害意がないことと俺の命令で動いていることを完全に理解したようだ……。


ゴブリン二匹と少女一人。

一日三食として、(5+1)DP x 3人 x 3食 = 54 DP。

結構な出費だ。

だが……今の俺にとって、それはまったく痛くなかった。


何故なら──


(いいぞ、スライムくん! もっとだ! もっと集めてこい!)


俺の視線の先では朝から晩まで……いや、夜通しか。

10匹のスライム軍団が、休むことなく外と拠点を往復し続けていた。


ぷるるん! (扉の外から帰還) ↓ べちゃっ! (俺に資源 (泥とか苔とか光る石とか)を吐き出す) ↓ [DP +15] ↓ ぷるるん! (再び外へ)


このサイクルが10匹体制で延々と繰り返されている。

どうやら彼らには食事も睡眠も必要ないらしい。本能が命じるままに資源を俺の元へ運び続けてくれている。


素晴らしい……!

戦闘にはまるで役に立たないが、こいつらこそが俺の生命線であり拠点のインフラそのものだ!

俺は、あの時10連ガチャでスライム軍団を引き当てた自分を褒め称えた。

……まぁ、排出率が高いから誰がやってもスライム塗れになるかもしれないけど。


そして今……スライムたちの不眠不休の労働と、少女の滞在ボーナスにより俺のDPはとんでもないことになっていた。


[DP: 1250]


(……すげぇ。一日で1000DP以上稼ぎやがった!)


食費の54DPなんて必要経費だと割り切れる。

これだけあれば高嶺の花だった【拠点機能】リストが、一気に現実味を帯びてくる!


よし……リストを確認しよう!



♢   ♢   ♢


(所持DP: 1250)


【生成リスト:拠点機能】


フロア増設ガチャ(低コスト) …… 1000 DP

管理人アバター(粘土) …… 5000 DP



【生成リスト:基礎食料】


水(1DP)、パン(5DP)、スープ(15DP)

温かいシチュー(一皿) …… 30 DP

チーズと干し肉のセット …… 50 DP


【生成リスト:生活雑貨】


ぼろ布(3DP)、薪(5DP)、松明(10DP)、毛布(15DP)

清潔な寝袋(一つ) …… 100 DP

ランタン(燃料入り) …… 120 DP


【生成リスト:召喚ガチャ


一般魔物ガチャ([C]コモン) …… 5 DP

下級魔物ガチャ([UC]アンコモン) …… 50 DP

一般装備ガチャ …… 30 DP


♢   ♢   ♢




(おぉ!? DPが増えたことで、より上位の項目が解放されてる!)


特に「フロア増設ガチャ(1000DP)」。これがついに射程圏内に入った。 このボロい1階だけの生活から、ついに脱却できるかもしれない。

だが「下級魔物ガチャ(50DP)」も気になる。ゴブリンよりマシな戦力が手に入るかもしれない。一般装備ガチャも気になるな……。

いやいや、まずは少女の生活改善か? 「寝袋(100DP)」と「シチュー(30DP)」は魅力的だ。少女の滞在DP増加も馬鹿にならない。


悩んだ挙句……。


(よし、まずは生活環境の改善だ)


俺はスライム軍団が稼いできた莫大なDP(1250)を使い、リストの【生活雑貨】タブを開いた。


(このボロい石の床で寝かせるのは、さすがに気が引ける)


俺は「清潔な寝袋 - 100 DP」を選択し実行した。


DPが1250 →1150


(場所は……少女の近くがいいか)


隅で体育座りをしていた少女のすぐそば、俺の影になる一番安全そうな場所にふかふかの寝袋がふわりと出現した。


「……!?」


少女は突然現れた寝袋に肩を震わせたが、すぐにそれが俺の仕業だと気づいたようだ。


「わぁ……」


おそるおそる手を伸ばし、柔らかい感触を確かめ嬉しそうに顔をほころばせた。


(よしよし、喜んでくれたか)


ゴブリンたちは……窮屈で嫌がるかもしれないし寝袋は要らんだろう。

でも、そのうちにちゃんとした環境で寝泊まりはさせてあげたいな。


俺は次に【基礎食料】タブを開く。


(いつもパン(5DP)だけじゃ飽きるよな。それに、ゴブリンたちも頑張ってくれてる)


俺は新しくアンロックされた「温かいシチュー(一皿) - 30 DP」を3つ。

少女の分とゴブリン二匹の分だ。合計 90 DP 。DPが 1150 から 1060 に減る。


ぽん、ぽん、ぽん、と。 部屋の中に、湯気の立つシチューの皿が3つ出現した。

パンとは比べ物にならない、肉と野菜のいい匂いが部屋に充満する。


「シチュー……?」


少女は目を輝かせ、ゴブリン二匹も「ギィ!?」と興奮したように鼻をひくひくさせている。


(スライムたちは……飯は食わないみたいだ)


俺はゴブリンたちに意識で「お前たちの分だ、食え」と伝える。

ゴブリンたちは慌ててそれぞれの皿を受け取ると扉の前に戻り、ふーふーと息を吹きかけるのももどかしく熱いシチューにかぶりついた。

「ギギィ!(うまい!)」とでも言いたげだ。


少女も寝袋に座りながらシチューを一口一口大事そうに味わっている。


「おいしい……あったかい……」


パンと水だけの生活から一転、温かい食事と寝床。

彼女の顔から、ここに来た時の不安や恐怖の色は、ほとんど消えていた。


(うん。食べ物は精神を安定させる。間違いない)


ゴブリンたちも、ただの召喚魔物から仲間……というかこの奇妙な共同生活の一員としての意識が芽生えてきたかもしれない。


(さて)


少女とゴブリンの生活の質……QOLを改善しても、俺のDPはまだ潤沢に残っている。


(よし、シチューで腹も膨れた。だけどこの部屋はまだ暗すぎる)


ゴブリンたちと俺は暗闇でも平気だが、少女にはやはり文明的な生活を送らせてあげたい。

それには明かりが必要だ。


俺はDP(1060)を確認し【生活雑貨】リストから「松明(一本) - 10 DP」を選択。 どうせなら、と4本分(合計 40 DP)を生成した。

DPが 1060 から 1020 に減る。


(設置場所は……壁だ)


俺が念じると部屋の壁に都合よく備え付けられていたかのように、ホルダーと火のついた松明が生成された。

パチパチ……と火が爆ぜる音。さっきまでの薄暗い石の部屋が一気にオレンジ色の暖かい光で満たされる。

壁のヒビや、床の埃までくっきりと見えるようになった。


「わ……!」

「ギィ!?」


少女もゴブリンたちも、突然明るくなった部屋に驚いて目をしばたたかせている。

だが暗闇の恐怖から解放された安心感は大きいようだ。少女の表情がシチューの時とはまた別に、パッと明るくなったのが分かった。


(よしよし。これで夜も安心だ。次は……防衛力とあいつらの装備だな)


俺はDP(1020)を使い、今度は【召喚ガチャ】タブを開く。

「一般魔物ガチャ」じゃない、別のやつだ。




♢   ♢   ♢


【生成リスト:召喚ガチャ


一般魔物ガチャ([C]コモン) …… 5 DP

下級魔物ガチャ([UC]アンコモン) …… 50 DP

コモン装備ガチャ(一つ) …… 30 DP


♢   ♢   ♢




(これだ。30DP。少女とゴブリン二匹、ちょうど3人分。3回引いてみよう)


俺は「コモン装備ガチャ」を3回実行した。 (合計 90 DP)

DPが 1020 から 930 に減る。


ガチャのエフェクトは魔物召喚よりも控えめだ。

俺の目の前の床にぽん、ぽん、ぽんと3つのアイテムが連続で出現した。


「小さなナイフ(鞘付き)」 …… 護身用にはなりそうな、最低限の刃物。

「革の小盾バックラー」 …… 腕に固定するタイプの、丸くて小さな盾。

「布の服(子供用)」 …… 少女が着ている麻袋よりは、ずっとマシなワンピース。


(お、なかなかいい引きじゃないか?)


[C]コモンガチャとはいえ、今の俺たちには十分すぎる装備だ。

少女もゴブリンたちも、突然現れた3つのアイテムと俺を交互に見ている。


「これも神様が……?」


少女がゴクリと喉を鳴らすのが分かった。


(よし、分配だ)


俺はまず、床に置かれた「布の服」を光で少女の方へそっと示す。


「わたしに……?」


少女は驚いた顔をしたが、俺が神様っぽくゆっくり点滅すると麻袋を脱ぎ捨て、新しい服に着替えるために部屋の隅へと移動した。


(うん、石でよかった。下手にアバターとか持ってたら目のやり場に困るところだ)


次に俺はゴブリン二匹に念を送る。


(先輩ゴブリン! お前は「ナイフ」を持て!後輩ゴブリン! お前は「盾」だ!)


「ギィ!」

「ギ?」


二匹は命令されるがまま、ナイフと小盾を拾い上げる。 先輩ゴブリンはナイフを握りしめ、シャッシャッと空を切って満足そうだ。戦闘用([C])の本能が刺激されたらしい。

後輩ゴブリンは盾の腕への付け方が分からないのか、頭に乗せたり背負おうとしたりしている。……最終的に先輩ゴブリンに殴られて、なんとか腕に装着できたようだ。


やがて少女が部屋の隅から出てきた。 ボロボロの麻袋ではなく、簡素だが清潔なワンピース姿だ。

泥を落とせば、かなり整った顔立ちをしているのが分かる。 少女は恥ずかしそうに服の裾をつまみ、俺に向かってぺこりとお辞儀をした。


(よし……!)


ナイフと盾で武装したゴブリン二匹。 清潔な服を着た少女。壁で燃える松明。 床に置かれた寝袋。


(いくらか……文明的な集団になったぞ!)


俺は満残りのDP(930)と、脳裏のリストに意識を戻した。

スライム軍団は今も休まず外でDPを稼いできてくれているが、次にやるべきことは何か。

俺の視線はある項目に釘付けになっていた。




♢   ♢   ♢


【生成リスト:召喚ガチャ


一般魔物ガチャ([C]コモン) …… 5 DP

下級魔物ガチャ([UC]アンコモン) …… 50 DP

コモン装備ガチャ …… 30 DP


♢   ♢   ♢




(下級魔物ガチャ……[UC]アンコモン……50DP……!)


ゴブリンやスライムの10倍のコストだ。 アンコモンというのがどれほどの戦力かはわからない。

俺の感覚では一般の次が下級というのが少し違和感を感じるな……。まぁいい、何かルールがあるんだろう。ポイントから考えて防衛力は格段に上がるはずだ。

しかし……。


([C]ゴブリン(知力3)ですら最初は命令が通じるか不安だったんだ。それより知性が高い[UC]ランクの魔物が、素直に俺の命令を聞いてくれる保証はどこにもない)


(少女が怯えるような、凶暴なヤツが出たらどうする?50DPあれば、[C]ガチャが10回引ける。ゴブリン1匹、スライム9匹の実績を考えると戦力増強よりDP稼ぎのスライムを増やしたほうが堅実か……?)


俺は粗末な扉を見る。


(でも防衛力は必要だ)


──さて、どうする。




♢   ♢   ♢

[現在の拠点状況]

拠点名: (未設定)

階層: 1階のみ(明るくなった)

DP: 930

訪問者: 1名(少女、装備変更)

召喚中: スライム x10(資源採集中)、ゴブリン x2(ナイフと盾を装備)

その他: 寝袋x1、松明x4

♢   ♢   ♢

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