27話
([N]ランクの戦力は充実してきた。だが……)
俺は現在の拠点の構造に一抹の不安を覚えていた。
(入口……1階が[C]コボルトのねぐら じゃな……)
あのフロアは[UC]コボルトたちが隠れたり罠を仕掛けたりするにはいいが、狭く入り組んでいる。
[N]ミノタウロスや[N]オーク、[N]ゴーレムといった大型戦力が侵入者と大立ち回りを演じるには不向きだ。
(せっかく[N]ランクの魔物が沢山いるのに、もっと戦いやすいフロアを1階にしてそこで全力で迎撃したい! [C]コボルトのねぐらじゃ[N]ミノタウロスが[グレートハンマー]を振るうことすらできないぞ)
俺は決断した。
(DPは3150ある。[フロア増設ガチャ]を引く!)
俺は脳裏の【拠点機能】リストから、[フロア増設ガチャ(低コスト) - 1000 DP] を選択した。
(1000 DP消費!)
DP残高 3150 → 2150!
実行した瞬間、塔全体が再び地響きを立てて激しく揺れた。
ゴゴゴゴゴゴ……!
俺たちが今いる5階までの全てのフロアがゆっくりと持ち上げられていく。
揺れが収まった時、俺の脳裏にシステムメッセージが流れ込んだ。
♢ ♢ ♢
フロア増設を実行。
新たに1つのフロアが生成されました。
既存フロアは「2階」~「6階」へ移動しました。
拠点は合計6階建てになりました。
玄関(入口)および「DP納品石」は、常に最下層(1階)に再設置されます。
♢ ♢ ♢
(よし! 6階建てだ! 新しい1階は……どうだ!?)
俺は、ガチャで生成された新しい最下層フロアの情報を即座に確認した。
♢ ♢ ♢
フロア名:[N] 闘技場への回廊
レアリティ:[N] ノーマル
階層:1階(新・玄関)
機能
[玄関扉]: [頑丈なオーク材の扉] が再設置された。
[DP納品石]: 納品石が再設置された。
[大広間]: [C]コボルトのねぐらとは比較にならない、天井が高く広々とした石造りの空間。[N]ミノタウロスや[N]ゴーレムといった大型魔物の戦闘に最適。
[観客席]: 広間の壁際に、崩れた観客席のような段差が設置されている。[N]ハーピーや[UC]スパイダー、[UC]コボルト(罠設置)が潜むのに適している。
♢ ♢ ♢
([N]ノーマルランク!?このガチャでNが出ることがあるのか!これは……当たりだ!)
俺は内心でガッツポーズをした。
(これぞ俺が求めていた迎撃フロアだ! [N]ミノタウロスも[N]ゴーレムも、これなら全力で戦える!)
俺は6階のコアから[N]ヒーロー・ゴブリン・コマンダーに即座に命令を下した。
(コマンダー! 全軍、フロアを再配置する! [N]スケルトン・ガーディアン率いる「防衛部隊」全軍を、新1階フロアへ移動させろ!)
「グルァ!(防衛部隊、新フロアへ移動! 迎撃態勢を構築せよ!)」
コマンダーの[大指揮]が飛ぶ。
2階(旧コボルトのねぐら)や3階(旧湿った洞窟)で待機していた防衛部隊の魔物たちが、ぞろぞろと1階へと降りていく。
「ブモォォ!」
「(ゴゴゴゴ……!)」
新1階に降り立った[N]ミノタウロスと[N]ゴーレムがその空間の広さに気づき歓喜とも興奮ともつかない雄叫びを上げた。
以前の[C]コボルトのねぐら では巨体を持て余し窮屈そうにしていた彼らだった。 だが、この[N] 闘技場への回廊は天井が非常に高く、広々としている 。
[N]ミノタウロスは、[グレートハンマー]を思い切り振り回し、風切り音を立てて満足げに鼻を鳴らしている。
[N]ゴーレムも、岩石の拳を打ち鳴らし、巨体を揺らしている。
皆、嬉しくて興奮しているみたいだ!
(やはり、大型戦力には広い空間が必要だ)
俺は防衛部隊が1階の大広間に布陣していく様子を眺めながら、ある違和感に気づいた。
(しかし……天井も広いし広さも明らかに外見上の塔より広いな……)
俺はコマンダーの[視点共有]で森から見た「円形の塔」 の外観を思い出していた。
(この塔の直径と1階フロアの広さはどう計算しても合わない……)
(もしかしたら、この塔は魔法的な何かで内部の空間が伸びているのかな?)
そして俺は新1階フロア[N] 闘技場への回廊に配置された「防衛部隊」の構成メンバーを脳裏で整理する。
(今の防衛部隊は……)
♢ ♢ ♢
現在の防衛部隊 構成メンバー
【部隊長】
[N] スケルトン・ガーディアン: (Lv.10)
鉄壁の[シールドガード]を持つ、防衛部隊の要でありリーダー。
【[N]ランク魔物】
[N] ミノタウロス (2体): (Lv.1)
[STR 25]と[グレートハンマー]を持つ、大広間での戦闘に最適な重アタッカー。
[N] ゴーレム: (Lv.1)
[HP 200]、[VIT 30]を誇る岩石の壁。[自己修復]能力も持つ。
[N] アシッド・センチピード: (Lv.10)
侵入者との戦闘を生き延びた古株。強力な[強酸液]で敵の装備を溶かす。
[N] デュラハン (2体): (Lv.1)
[AGI 18]と[デスサイズ]を持つ、アンデッドの高速アタッカー。
[N] スケルトン・ソルジャー (2体): (Lv.1)
[N]ガーディアンとは違い、攻撃に特化した骸骨兵士。
[N] リザードマン: (Lv.1)
槍と盾を扱う、バランスの取れた人型戦力。
【[UC]ランク魔物】(俺がちょくちょく引いてたガチャでいつの間にか増えた魔物たちだ……)
[UC] コボルト部隊 (多数):
1階の[観客席]や床下に潜み、[簡易トラップ]の設置と起動を担当する。
[UC] スパイダー部隊 (多数):
天井や[観客席]に潜み、[スティッキーネット]で侵入者の足を止める奇襲要員。
[UC] 大ムカデ部隊 (多数):
[N]センチピードと共に壁や天井に配置され、[強酸液]による奇襲を担当する。
[UC] スケルトン部隊 (多数):
[N]ガーディアンや[N]ソルジャーの補助として、侵入者の足止めを担う。
♢ ♢ ♢
(多数の[N]ランク、それを支援する[UC]ランクの罠・奇襲部隊が多数。……よし、これなら大抵の敵は1階で返り討ちにできる!……と願いたい)
俺は階下に展開した鉄壁の布陣に満足する。
(ゆくゆくは全フロアに満遍なく魔物を配置したいが……まずはこの1階で確実に侵入者を迎撃することを考えよう)
(その内、余裕が出来たら、低層階はリナ以外の……人間が滞在できるスペースにしてもいいかもしれないな)
俺はリナの忠誠ボーナスがDP自動増加を引き上げた一件を思い出していた。
(もし大勢の人間がこの塔の中に住んでくれるだけで……いや、住まなくても滞在してくれるだけで自動DP増加がとんでもないことになるかもしれない)
あえて人間にとって居心地のいい場所にすることで自動DP増加が美味しいことになるだろう。冒険者たちのロビー的な感じにすればかなり儲かるな……。
まぁ、でもそれは未来の話だ。
俺は思考を引き締める。
(まずは、この塔に誰が来ても……確実に撃退できる実力を付けてからだ)
♢ ♢ ♢
[現在の拠点状況]
拠点名: (未設定・円形の塔)
階層: 6階建て
DP: 2150
訪問者: 1名
召喚中:
探索部隊長: [N]ヒーロー・ゴブリン・コマンダー (Lv.15)
防衛部隊長: [N]スケルトン・ガーディアン (Lv.10)
狩猟部隊長: [N]ダイアウルフ (Lv.10)
偵察部隊長: [N]ヴァンパイアバット (Lv.5)
(他、[N][UC][C]ランク多数)
侵入者: なし
その他: 新1階フロア[N] 闘技場への回廊に防衛部隊の配置完了。
♢ ♢ ♢




