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転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた  作者: 季未


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18話

[N]ランクに進化したばかりのダイアウルフが、あそこまで切羽詰まった声を上げる相手。

厄介な敵と遭遇した可能性が高い。


「キィ!(先行します!)」


部隊の[UC]ゴブリン・スカウトが高い敏捷の脚力で木々の間を縫うように先行し、進路を確保する。

両脇を固めるのは、同じく[UC]ゴブリン・ファイターに進化した二匹の部下だ。


(頼む、無事でいてくれ! お前たちはこの拠点の貴重な食料源でエース部隊なんだぞ!)


やがて怒声と戦いの音が風に乗って聞こえてきた。


(人間か!?声が聞こえる……!)


脳裏をよぎるのはリナを追ってきたあの奴隷隷商人どもの姿。

ヒーロー・ゴブリンファイターが最後の茂みを突き破り、開けた場所へと躍り出た。 俺の視界に飛び込んできた光景に俺は息を呑んだ。


「グオォォォッ!!」

「ギャン!」


そこには、傷を負ったウルフ部隊がいた。

ウルフたちを囲んでいたのは──人間だった。


(複数……! 5人いるぞ!)


だが奴隷商人たちとは明らかに格が違う。

先頭で[N]ダイアウルフの牙と爪を大盾で受け止めている重装鎧の戦士。 その両脇から軽装鎧の剣士二人が素早い動きでダイアウルフの体勢を崩そうとしている。

後方からは弓兵がシャドウウルフを狙い撃ちにしている。 そしてもう一人、ローブをまとった魔術師らしき人物が何か長い詠唱を始めている。


「ゴブリン……!? しかもファイターか……!」

「まずい、狼の群れだけじゃないよ!!」


後方の弓兵が即座にこちらに気づき叫んだ。

魔術師が詠唱を中断し慌てて杖をこちらに向ける。重戦士が忌々しげに叫んだ。


「狼どもを仕留めろ! 体勢を立て直すぞ!」


その瞬間、俺の意識に魔物のステータスを確認する時と同じウィンドウが強制的に展開された!


(これは……人間のステータスか!?)




♢   ♢   ♢


名前:ガレイド

種族:人間(重戦士)


Lv:17 HP: 60/60 | MP: 10

STR (筋力): 15

VIT (体力): 18

AGI (敏捷): 5

INT (知力): 6


特技

[シールドバッシュ (Lv.2)]

[ヘイトクライ (Lv.1)]


♢   ♢   ♢


名前:アレン

種族:人間(剣士)

Lv:14 HP: 40/40 | MP: 5

STR (筋力): 14

VIT (体力): 12

AGI (敏捷): 13

INT (知力): 8


特技

[ソードスラッシュ (Lv.2)]

[連携 (Lv.1)]


♢   ♢   ♢


名前:キリ

種族:人間(剣士)

Lv:15 HP: 35/35 | MP: 5

STR (筋力): 10

VIT (体力): 10

AGI (敏捷): 16

INT (知力): 7


特技

[デュアルエッジ (Lv.1)]

[連携 (Lv.1)]


♢   ♢   ♢


名前:サラ

種族:人間(弓兵)

Lv:12 HP: 30/30 | MP: 10

STR (筋力): 8

VIT (体力): 9

AGI (敏捷): 15

INT (知力): 12


特技

[狙撃 (Lv.2)]

[鷹の目 (Lv.1)]


♢ ♢ ♢


名前:ロロ

種族:人間(魔術師)

Lv:14 HP: 25/25 | MP: 50/50

STR (筋力): 4

VIT (体力): 6

AGI (敏捷): 7

INT (知力): 18


特技

[ファイアボール (Lv.1)]

[詠唱 (Lv.2)]


♢   ♢   ♢




(……思ったより、強くない!)


俺は瞬時に俺の最強戦力、ヒーロー・ゴブリンファイターのステータスと比較する。

人間たちのステータスは最高でも20に届かない。 [N]ダイアウルフと比べても重戦士以外は個々では完全に下だ。


(だが厄介なのは[連携]と[特技]だ)


重戦士のタフネスと剣士二人の[連携]。そして後衛の魔術師と弓兵。

個々の力は弱くとも5人がパーティとして機能している。 ウルフ部隊が苦戦したのも[連携]のせいだ。


(……魔術師のINT 18とMP 50が一番厄介だ。奴の詠唱が完成する前に、後衛を潰す!)


俺は即座にヒーロー・ゴブリンファイターを通じて部隊に命令を叩き込んだ。


(スカウト! お前は[隠密] で魔術師を攻撃しろ! 弓兵に気をつけろ!)

(ヒーロー、ファイター二匹は全速で突撃! [N]ダイアウルフと合流し、前衛の重戦士と剣士を叩け!)

(だが無理はするな! 目的はウルフ部隊の救出だ! お前たちの命を最優先にしろ!)


「グルァァァッ!!」

「キィッ!」


俺の命令を受けヒーロー・ゴブリンファイターが[鼓舞]のスキルを込めて咆哮する。

部下の[UC]ファイター二匹が即座に両翼に展開し、3匹のゴブリンが人間の前衛めがけて突撃した。 それと同時に、[UC]ゴブリン・スカウトは森の影に溶け込むように姿を消した。


「散開したぞ! サラ、ゴブリンスカウトを見失うな!」


重戦士が叫ぶ。


「む、無理よ! 速すぎる! 」


その間にもヒーロー・ゴブリンファイターは凄まじい勢いで人間たちに突撃していく──!

彼の突進は人間の剣士のそれとは比較にならない。アレンが[ソードスラッシュ]を繰り出すが、ヒーローはそれをアイアンソードで弾き飛ばし、カウンター気味に剣の柄でアレンの胴を殴りつけた。


「ぐっ!?」


アレンが息を詰まらせて後退する。


「グオォォ!(助かったか!)」


ヒーローの合流により、[N]ダイアウルフが重戦士の圧迫から解放され、即座に[UC]ファイターと連携してガレイドの盾を横から攻撃する。


「キリ! アレン! 崩されるな!」


ガレイドが[ヘイトクライ]で魔物たちの注意を引こうとするが、[リーダーシップ]スキル下のゴブリン部隊には効果が薄い。


戦場が前衛の激突で混乱する中、後方では二つの影が対峙していた。


「……!」


魔術師は突撃してきたゴブリン部隊から距離を取ろうと後ずさる。

弓兵は、[鷹の目]スキルでヒーロー・ゴブリンファイターの隙を狙っていた。


その弓兵サラの背後、影の中から[UC]ゴブリン・スカウトが音もなく姿を現した。


(違う、お前の狙いは弓兵じゃない! 魔術師だ!)


「キィ!」


スカウトは俺の意図を正確に読み、弓兵を無視して魔術師へと一直線に駆けた。


「!?ロロ、後ろ!」


サラが叫ぶが、遅かった。


「え……?あっ……かっ!?」


魔術師が振り返った時には、[UC]スカウトのダガーが既に彼の喉を深く突き裂いていた。

[UC]スカウトの敏捷と[隠密]からの奇襲は、魔術師の貧弱なステータスでは防ぎようがなかった。


「ぁ……」


魔術師は詠唱を終えることなく、血の泡を吹きながらその場に崩れ落ちた。


( 魔術師を撃破した……!)


「ロロォォォッ!!」


弓兵が絶叫しスカウトに向かって矢を放つが、スカウトは即座にその場を離脱し再び森の影に消える。


「……ロロがやられた!?」


前衛で戦っていた剣士が動揺する。 その隙をヒーロー・ゴブリンファイターは見逃さなかった。


「グルァ!」


アイアンソードがアレンの肩を浅く切り裂く。


「くそっ……!!撤退! 撤退だ! サラ、煙玉を使え!」


重戦士が、[N]ダイアウルフの牙を大盾で受け止めながら叫んだ。

魔術師を失い、この数を相手取るのは不可能と判断したようだ。


「うっ……うぅぅ!!」


弓兵が震えながら懐から何かを地面に叩きつけると、ボンッ!という音と共に視界を遮る濃い煙が辺り一帯に広がった。


「ゲホッ……! グルル……」


(まずい、煙幕か!)


ヒーロー・ゴブリンファイターの視界が白に染まる。


(深追いするな! 全員ウルフを連れて煙幕から離脱しろ! 帰還する!)


俺はヒーロー・ゴブリンファイターに撤退を厳命した。

魔術師を殺し、敵の戦力を確認できた。これ以上の戦闘は俺の部隊にとってもリスクが高すぎる。

煙幕が晴れた時、そこには人間の死体が一つと大量の血痕だけが残されていた。 人間たちは負傷した仲間を引きずりながら逃げていったようだった。


「グ……ゥ……」


[N]シャドウウルフと[UC]ファングウルフが、痛みに呻いている。

[N]ダイアウルフも、重戦士の盾で殴られたのか、前足を庇っていた。


(こっちも被害はゼロじゃない。だが、よくやった)




♢   ♢   ♢


[現在の拠点状況]

拠点名: (未設定・円形の塔)

階層: 2階建て

DP: 2200

訪問者: 1リナ

召喚中: 全78匹

[UC]ヒーロー・ゴブリンファイター(ゴブリン部隊リーダー)

[N]ダイアウルフ(ウルフ部隊リーダー)

その他: 1階防衛フロアに冒険者2名が侵入中。主力部隊は拠点外で偵察任務中。


♢   ♢   ♢




ヒーロー・ゴブリンファイターの視界が負傷した仲間たちを連れて拠点へ急ぐ光景を映している。

部隊の最後尾では、[UC]ファイター二匹が魔術師の死体を引きずっていた。


(……人間を、殺してしまった)


俺の意識は石でありながら重い罪悪感に沈んでいた。

過労死した元日本人としての倫理観が、この行為を「悪」だと叫んでいる。 だが、殺さなければ[N]ダイアウルフも[N]シャドウウルフも殺されていた。

俺の仲間たちが、リナを守るための貴重な戦力が……あの人間たちの討伐対象として狩られていた。


(そうだ。俺は仲間とリナを守るためなら……)


俺が石としての覚悟を固め直した、その時だった。


「か、かみさま!」


2階のコアの部屋にいる俺の意識にリナの切羽詰まった甲高い悲鳴が直接響いた!

リナが俺の前に飛び出すように駆け寄ってくる。


(リナ!? どうした!)


直後、1階の防衛フロアから[UC]スケルトンが管理していたはずの扉が何かに蹴破られる轟音が響き渡った!


(侵入者!?)


俺の意識が2階から1階の防衛フロアの様子を認識する。

そこにはいるはずのない人間が二人立っていた。


(冒険者……!さっきの奴らとは別の……!?)


一人はさっきの重戦士に似た大柄な男。

もう一人は、両手に短剣を持った素早そうな男だ。 二人とも、おびただしい量の返り血を浴びている。


(偵察部隊はなにを……!いや、返り血がついてる! 倒されたのか!)


1階に配置していた[C]ゴブリンと[UC]スケルトンたちが突如の侵入者に驚きながらも、慌てて武器を構えて壁を作ろうとしている。


(まずい!主力のゴブリン部隊とウルフ部隊は森から帰還しようとしているところだ! 間に合わない!)


天井や壁に張り付いていた[UC]大ムカデや[UC]スパイダーたちが侵入者を警戒して蠢いている。

[UC]コボルトたちが罠の設置作業を中断し、混乱している気配が伝わってくる。


俺の意識に、新たな侵入者二人のステータスが強制的に表示された!




♢   ♢   ♢


名前:ダイン

種族:人間(狂戦士)

Lv:19 HP: 70/70 | MP: 0

STR (筋力): 19

VIT (体力): 16

AGI (敏捷): 12

INT (知力): 4


特技

[バーサーク (Lv.1)]

[大斧 (Lv.2)]


♢   ♢   ♢


名前:ジン

種族:人間(盗賊)

Lv:15 HP: 40/40 | MP: 10

STR (筋力): 11

VIT (体力): 10

AGI (敏捷): 19

INT (知力): 11


特技

[隠密 (Lv.2)]

[デュアルダガー (Lv.2)]

[罠解除 (Lv.1)]


♢   ♢   ♢




(STR 19の狂戦士とAGI 19の盗賊!? さっきの奴らとは……別のパーティか!?)


狂戦士ダインが返り血のついた大斧を構えた。


「なんだぁ……?ここは。 スケルトンまでいやがる! 面倒くせえ、全部まとめてぶっ潰すぞ!」


盗賊ジンが天井のムカデやスパイダーを冷静に見つめながら短剣を逆手に構える。


「待てダイン。様子がおかしい。こいつら統率が取れてやがる。……それに天井に何かいるぞ」


ジンが[罠解除]のスキル持ちなのが厄介すぎる。

コボルトの[簡易トラップ]は簡単に見破られるかもしれない。


「大ムカデにスパイダー……コボルトまでいる。こりゃゴブリンの巣じゃない……これは……ダンジョンの……」

「めんどくせぇのは後だ!俺の大斧の錆にしてやる!」


(まずい! こいつら、魔物を掃討して奥に進む気だ!)


1階の防衛戦力([C]ゴブリン8、[UC]スケルトン4、[UC]コボルト8、[UC]スパイダー2、[UC]ムカデ8)で、この二人を止めないと──!


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