16話
あれから数日が過ぎた。 俺の拠点は驚くほど安定したサイクルで稼働していた。
「グルァ!(行くぞ!)」
「「「ギィ!(応!)」」」
「ガルル!(肉だ!)」
朝になるとヒーロー・ゴブリンファイターが部下のCゴブリン3匹と、UCファングウルフ2匹を引き連れて狩りに出撃していく。
リナが出撃前のファイターたちに[治癒能力(低級)]をかけ、彼らのHPを完全に回復させるのが日課になっていた。
(よし、順調だ)
リナの回復サポートのおかげで、ファイターは部隊を引き連れて探索をしつつ拠点の周囲の安全確保を順調にこなしていった。
[N]オークのような強敵とは幸運にもまだ遭遇していないが、森にいた小~中型の魔物……大型の猪や毒キノコの化け物などを次々と狩り、死体を拠点に持ち帰ってきた。
その結果、ファイターたちのレベルは飛躍的に向上した。
ヒーロー・ゴブリンファイターはLv.10に到達。部下のCゴブリンたちもLv.7まであがった。
戦闘に参加させたファングウルフたちもレベルは5を超え、[噛みつき]の威力は目に見えて上がっている。
そして彼らが持ち帰る素材とDPに加え、拠点の周囲が安全になったことで[C]スライム軍団と[UC]コボルト採掘隊の作業効率も劇的に向上した。
(スライムやコボルトたちが頑張ってくれたおかげでDPは5000に増え、素材も増えたぞ……!)
俺は2階のコアから脳裏に浮かぶDPカウンターを見つめていた。
[DP: 5120]
(ついに5000を超えた!そろそろ戦力拡充を目指すべきか……?いや、まずはスライムとコボルトを増やすか)
今の俺の拠点を支えているのは、間違いなくDPだ。
ファイターたちが狩りで稼ぐDPと素材も大きいが、やはり基礎収入であるスライムとコボルトの「数」こそが、この塔の国力そのもの。
(よし、投資だ。DP経済をもっと回すぞ!)
俺は現在のDP(5120)を確認し脳裏のガチャリストを開く。
(まずは[C]スライムの物量だ!)
俺は「[C]一般魔物ガチャ(5DP)」を20回連続で実行した。
(5DP x 20回 = 100DP消費!)
[DP: 5120] → [DP: 5020]
1階の広間に、[C]ガチャの控えめな光が20回連続で明滅する。
ぽよん、ギィ、ぽよん、ぽよん……
結果は[C]スライム15匹、[C]ゴブリン5匹。
(上々だ! これでスライム軍団もゴブリンも増えて更に効率がよくなったぞ!)
だが本命はこっちだ。
俺は残りのDP(5020)を使い、[UC]アンコモンガチャに狙いを定める。
(高額DPを稼ぐ、[UC]コボルト採掘隊を増やす!)
俺は「[UC]下級魔物ガチャ(50DP)」を20回連続で実行した!
(50DP x 20回 = 1000DP消費!)
[DP: 5020] → [DP: 4020]
今度は1階の広間が[UC]ガチャの強い光で、先ほどとは比べ物にならないほど激しく明滅する!
「キャンキャン!」
「キィィィ!」
「(カタカタ!)」
光が収まった時1階は再び魔物で溢れかえっていた。
その内訳は……
[UC]コボルト(採掘・罠設置) …… 8匹
[UC]ジャイアントラット(偵察) …… 4匹
[UC]大ムカデ(戦闘・防衛) …… 3匹
[UC]スケルトン(戦闘・衛兵) …… 2匹
[UC]ジャイアントバット(偵察・飛行) …… 1匹
[UC]スパイダー(戦闘・罠設置) …… 1匹
[UC]ファングウルフ(戦闘・狩猟) …… 1匹
(よし! [UC]コボルト8匹ゲットだ! これで採掘隊は合計16匹! DP効率は倍になる![UC]ラットも4匹増えて偵察隊も強化された。ウルフも1匹増えたし文句なしだ!)
俺が内心で勝利の雄叫びを上げていると、1階は新入りの[UC]どもでカオスになりかけていた。
(……おっと、いかんいかん)
俺は2階で休息中だったヒーロー・ゴブリンファイターに命令する。
(ファイター! 1階が新入りで溢れてる! すぐに降りて、お前の[リーダーシップ]でまとめ上げろ! 役割を再編だ!)
「グルァ!」
ファイターはアイアンソードを肩に担ぐと、2階から1階へ向かい、新入りどもの前に仁王立ちした。
[UC]ヒーロー(Lv.10)の威圧感に、さっきまで騒いでいた魔物が文字通り静まり返った。
(よし……! 1階はファイターが新入りどもをまとめ上げてるな)
俺は1階でヒーロー・ゴブリンファイターが新入り[UC]魔物たちを[リーダーシップ]スキルで整列させているのを眺めていた。
[C]スライム(合計33匹)と[UC]コボルト(合計16匹)の主力DP部隊はファイターの指示で早速、資源集めに外に出ていった。
(あまり増やしすぎても周囲の資源がすぐに枯渇するだろう。DP集め部隊はこれくらいでいいか)
ファイターたちが切り開いた安全圏のお陰でまだ密集するようなことにはなっていない。
だが、彼らが安全に行動できる範囲はもっと広げる必要がある。
(そのためには、戦闘部隊の強化……特に古株たちの進化だ。ファイターの部下ゴブリン3匹組は確定として……後はファングウルフを二匹進化させとくか)
あのCゴブリン3匹は、オーク戦をビビりながらも生き延び、Lv.7まで上がった古株だ。
ファングウルフたちもLv.5に到達し、狩猟部隊のエースとして活躍してくれている。
(よし、やろう。DPはまだ4020もある)
俺は脳裏の【魔物管理メニュー】を開き、まずファイターの部下である[C]ゴブリン(Lv.7)のステータスを選択した。
【進化条件:[C]ゴブリン (Lv.7)】 (条件:Lv. 5 以上 → クリア!)
1. [UC]ゴブリン・ファイター DP消費:150 DP (戦闘特化。武器の扱いがうまくなる)
2. [UC]ゴブリン・スカウト DP消費:120 DP (偵察・隠密特化。[罠発見]などを習得)
([UC]ランクへの進化コストは安いな。これなら3匹とも余裕だ)
俺は次に狩猟部隊のエースである[UC]ファングウルフ(Lv.5)のステータスを開く。
(確か今回召喚したのが1匹と、オーク戦の後に合流したのが2匹……部隊は合計3匹か。だけどlv5は古株の2匹。よし、古株の2匹を進化させよう)
【進化条件:[UC]ファングウルフ (Lv.5)】 (条件:Lv. 5 以上 → クリア!)
1. [N]ダイアウルフ DP消費:800 DP ([N]ランクへの正統進化。全ての能力が大幅に向上し、群れのリーダーとなる)
2. [N]シャドウウルフ DP消費:600 DP (敏捷性が向上し、[隠密]能力を獲得、奇襲に特化する)
([N]ダイアウルフ! 800DPか! さすがに[UC]から[N]への進化はコストが跳ね上がるな……だが、DPは4020ある。十分足りる。どう進化させるかだな……)
(……よし、まずはヒーロー・ゴブリンファイターの直属部隊を強化する!)
俺は脳裏の【魔物管理メニュー】を開き、DP(4020)を確認する。
(ファイターの部下(Cゴブリン)は3匹。戦闘特化のファイターを2匹、偵察特化のスカウトを1匹作る!)
俺はDPを消費し、進化を実行した。
[C]ゴブリン (Lv.7) → [UC]ゴブリン・ファイター (Lv.7) (150 DP消費)
[C]ゴブリン (Lv.7) → [UC]ゴブリン・ファイター (Lv.7) (150 DP消費)
[C]ゴブリン (Lv.7) → [UC]ゴブリン・スカウト (Lv.7) (120 DP消費)
(合計 420 DP消費! DP残高 3600)
1階で新入り[UC]魔物たちを整列させていたヒーロー・ゴブリンファイター(Lv.10)。
そのすぐ後ろで控えていた部下の[C]ゴブリン3匹が、立て続けに進化の光に包まれた!
「「「ギィィィ!?」」」
光が収まった時、そこに立っていたのは[C]コモンの貧弱なゴブリンではなかった。
ヒーロー・ゴブリンファイターほどではないが、明確に[UC]アンコモンとしての体格と装備を手に入れた、3匹の精鋭ゴブリンたちだった。
(よし!これで直属の部下が強力になったぞ!)
俺は早速彼らのステータスを脳裏に表示させた。
♢ ♢ ♢
名前: ゴブリン・ファイター
レアリティ: [UC] アンコモン (進化種)
種別: 戦闘用魔物
Lv: 7 HP: 85/85 | MP: 0
STR (筋力): 16
VIT (体力): 13
AGI (敏捷): 9
INT (知力): 5
特技
[ショートソード (Lv.1)]: 剣の基本的な扱いを習得した。
[戦闘本能 (Lv.1)]: 攻撃がわずかに強化される。
進化先
[N] ホブゴブリン・ファイター
進化タイプ: 戦闘特化
概要: [UC]ファイターの上位種。体格が向上し、より高度な戦闘技術([ソードマスタリー]など)の素養を得る。
[N] ゴブリン・バーサーカー
進化タイプ: 火力特化
概要: 防御を捨て、攻撃力と速度に特化した狂戦士。HPはさほど伸びないが、[STR]と[AGI]が爆発的に上昇し、[バーサーク](防御↓攻撃↑)スキルを習得する。
♢ ♢ ♢
名前: ゴブリン・スカウト
レアリティ: [UC] アンコモン (進化種)
種別: 偵察・奇襲用魔物
Lv: 7 HP: 75/75 | MP: 10
STR (筋力): 11
VIT (体力): 10
AGI (敏捷): 16
INT (知力): 7
特技
[ダガー (Lv.1)]: 短剣の基本的な扱いを習得した。
[隠密 (Lv.1)]: 敵に発見されにくくなる。
[罠発見 (Lv.1)]: MPを消費し、簡易な罠を見破る。
進化先
[N] ゴブリン・アサシン
進化タイプ: 暗殺特化
概要: [隠密]と[ダガー]の技術を極め、[サイレントキル]や[ポイズンダガー](短剣への毒付与)などを習得する暗殺者。
[N] ゴブリン・レンジャー
進化タイプ: 偵察・罠特化
概要: [簡易トラップ](コボルトとは別系統)や[弓]の扱いを習得する。遠距離からの支援や妨害を得意とする斥候。
♢ ♢ ♢
(おお、強い! ヒーロー(Lv.5時点)には及ばないが、Lv.7なだけあって、ガチャ産のLv.1[UC]魔物たちとは比べ物にならない!特にスカウトのAGI 16は、偵察要員として優秀すぎる!)
だが……なんか以前と進化先の表示の仕方が違うな?もしかして何かが影響してより詳細な情報が得られるようになったのか……?
それに進化先も新しいのが出来ている。個体ごとに進化出来るのが違うのだろうか。
まぁいい、今は考えてもしょうがない。
1階ではヒーロー・ゴブリンファイターが、進化した部下たちを連れて新入り魔物たちの前に立ちはだかっていた。
([UC]ヒーロー x1、[UC]ファイター x2、[UC]スカウト x1) この4匹のゴブリンが、俺の拠点の戦闘部隊の主力だ……)
(次は狩猟部隊……ウルフ……だ)
俺はDP(3600)を確認し、1階で待機させていた[UC]ファングウルフ(Lv.5)の古株二匹に狙いを定めた。
(一匹は[N]ダイアウルフ、もう一匹は[N]シャドウウルフに。コストは合計1400DP。いける!)
俺は【魔物管理メニュー】から二匹の進化を同時に実行した。
DPが 3600 から 2200 に減少する。
「ガルル……?」
1階の広間で待機していたウルフ二匹が、ゴブリンたちの進化とは比べ物にならない強烈な光に包まれた!
一匹は[N]ランクにふさわしい猛々しいオーラを放ち、もう一匹は影が揺らめくような不気味な光を放つ。
「「グォォォォォォッ!!」」
進化の咆哮が塔の1階全体に響き渡った!魔物たちが凄まじい力の奔流に怯え、後ずさる。
光が収まった時、そこにいたのは体格が一回りも二回りも大きくなり銀色の毛並みと鋭い牙を持つ[N]ランクの風格漂う「ダイアウルフ」。
もう一匹は体格はさほど変わらないが、毛並みが影のように黒く存在感が希薄な「シャドウウルフ」。
♢ ♢ ♢
名前: ダイアウルフ
レアリティ: [N] ノーマルレア (進化種)
種別: 戦闘・狩猟用魔物
Lv: 5 HP: 150/150 | MP: 10
STR (筋力): 22
VIT (体力): 18
AGI (敏捷): 14
INT (知力): 7
特技
[ハウリング (Lv.1)]: 咆哮し、敵を[恐怖](低確率)状態にし、味方(狼系)の士気を上げる。
[連携 (Lv.2)]: 味方との連携精度が向上した。
[強襲 (Lv.1)]: [噛みつき]の威力が大幅に上昇する初撃を放つ。
進化先
[R] エンシェント・ダイアウルフ
進化タイプ: 群狼の王
概要: [N]ダイアウルフがさらに長寿・大型化した上位種。[ハウリング]が[統率の咆哮]に進化し、周囲の狼系・犬系の魔物を強制的に従わせ、強化する。
[R] フレイム・ウルフ or フロスト・ウルフ
進化タイプ: 属性獲得
概要: 魔力の影響で属性を宿したダイアウルフ。[強襲]や[噛みつき]に属性の追加ダメージが付与され、[属性ブレス](弱)を習得する。
♢ ♢ ♢
名前: シャドウウルフ
レアリティ: [N] アンコモン (進化種)
種別: 奇襲・偵察用魔物
Lv: 5 HP: 100/100 | MP: 20
STR (筋力): 13
VIT (体力): 10
AGI (敏捷): 20
INT (知力): 8
特技
[隠密 (Lv.2)]: 影に潜み、敵に発見されにくくなる。
[サイレントキル (Lv.1)]: [隠密]状態からの初撃の威力が上昇する。
[嗅覚索敵 (Lv.1)]: (ファングウルフから継承)
進化先
[R] ナイト・ウルフ
進化タイプ: 隠密強化
概要: [隠密]と[サイレントキル]の能力が純粋に向上し、影から影へ無音で移動できるようになる。単体での暗殺・奇襲能力が向上する。
[R] ミスト・ウルフ
進化タイプ: 妨害・隠密
概要: [隠密]能力が派生し、MPを消費して[濃霧]を発生させるスキルを習得する。霧に紛れて自身や仲間の姿を隠し、敵を混乱させる戦術を得意とする。
♢ ♢ ♢
(AGI 20のシャドウウルフ! STR 22のダイアウルフ! 強いぞ!)
[N]ダイアウルフのステータスは、[UC]ヒーロー・ゴブリンファイター(Lv.10)に匹敵、あるいは凌駕している部分すらある。
だが、その時だった。
「グルルルル……」
進化したばかりの[N]ダイアウルフが、1階の魔物たちの頂点に立つはずの[UC]ヒーロー・ゴブリンファイターを睨みつけ低い唸り声を上げた。
俺の方が格上だ、とでも言いたげだ。
「グルァァァッ!」
ヒーロー・ゴブリンファイターも[N]ランクの威圧に一歩も引かず、アイアンソードに手をかけ[威嚇 Lv.3]で応戦する。
(まずい! ヒーローゴブリンと唸り合いを始めてしまった!一触即発だ……!)
俺は瞬時に理解した。 [N]ダイアウルフは[UC]ヒーローの指揮下に入るのを本能的に拒否している。
[リーダーシップ]スキルも、同格以上の相手には効かないのだろう。
(こいつらはゴブリン部隊とは別に行動させることにしよう……)
俺は二大エースが内輪揉めを起こす前に、組織を分割することを決断した。
♢ ♢ ♢
[現在の拠点状況]
拠点名: (未設定・円形の塔)
階層: 2階建て
DP: 2200
訪問者: 1名
召喚中
[UC]ヒーロー・ゴブリンファイター(ゴブリン部隊リーダー)
[N]ダイアウルフ(ウルフ部隊リーダー)
(1階で両者が一触即発の状態)
その他: [C]ゴブリン3匹、[UC]ウルフ2匹の進化完了。
♢ ♢ ♢




