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転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた  作者: 季未


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15話

ヒーロー・ゴブリンファイターの荒い呼吸が俺の意識に直接響く。目の前には、[N]オークの巨体が動かなくなった姿で横たわっていた。

部下のCゴブリンたちがレベルが上がって少し強気になったのか、恐る恐る死体に近づき棍棒でつついて確認している。


(こんな化け物が普通にうろついている森だなんて……)


俺は戦慄した。

最強だと思っていたゴブリンファイターが一撃でHPを35も削られ腕を麻痺させられた。


(いや……勝てたのも運かもしれない。普通にやられるところだった)


UCランクですらこの様だ。

Cコモンのスライムやコボルトたちが、いかに幸運と弱さゆえの索敵範囲の狭さで生き延びていたかが分かる。


(取り合えず帰還だ! よくやった、ファイター。だが、なんとかオークの死体を持ってきてくれ!)


俺はヒーロー・ゴブリンファイターに最大の賛辞と、新たな命令を送った。


「グルル……」


ファイターは麻痺した左腕を押さえ部下たちに([リーダーシップ]で)命令し、オークの巨体を引きずろうと試みる。

だが、[N]ランクの巨体は、ゴブリン4匹の貧弱な力では地面を数センチ擦るのがやっとだった。


その時、近くの茂みが「ガサガサ!」と大きく揺れた。


「「「ギィ!?」」」


Cゴブリンたちが、ビクッと棍棒を構える。


(次か!?)


ファイターもアイアンソードを片手で構え直す。

茂みから飛び出してきたのは──「ガルル!」と低い唸り声を上げる、[UC]ファングウルフ二匹だった。


(お前たちか!)


どうやら血の匂いを嗅ぎつけて、俺が「狩猟部隊」として放っていた彼らが駆けつけてくれたらしい。


「グルァ!(手伝え!)」


ファイターが([リーダーシップ]で)命令するとウルフたちは素直に従い、オークの死体の腕や足に噛みついた。

ゴブリン4匹 + ウルフ2匹。ようやく[N]オークの巨体はゆっくりと拠点に向かって運搬され始めた。


(……というかファングウルフたちも戦闘に参加させるべきだったな)


俺はウルフの鋭い牙([噛みつき])を見ながら、自分の指揮を反省した。

[UC]ウルフ二匹(Lv.1)が最初からいれば、ファイターもあんな怪我をせずに勝てたかもしれない。




♢   ♢   ♢


[現在の拠点状況]

拠点名: (未設定・円形の塔)

階層: 2階建て

DP: 250(回復中)

訪問者: 1名(少女、2階で待機中)

召喚中: 全38匹

[UC]ヒーロー・ゴブリンファイター x1 (Lv.7、負傷・帰還中)

[C]ゴブリン x3(Lv.5、帰還中)

[UC]ファングウルフ x2(オーク運搬協力中)

他32匹(資源収集・防衛・採掘など稼働中)

その他: [N]オークの死体を運搬中。


♢   ♢   ♢



ヒーロー・ゴブリンファイターが負傷した左腕を押さえながら帰還した。

その後ろから、CゴブリンとUCファングウルフが、[N]オークの山のような死体を引きずり込んできた。


「「「ギィ……」」」

「(カタカタカタ……)」


1階にいた魔物たちが自分たちよりも遥かに格上の存在の死体にビクビクしている。


(帰還したか!)


俺はファイターの視点でも彼らの凱旋を見届けていた。


(さて……このオークの死体はどうなるんだろうか……)


俺はオークの死体を引きずってきたファイターとウルフたちに、1階の隅にある「DP納品石」を指し示した。


(ご苦労。そいつをあの小石に納品してくれ)


「グルル!(やれ!)」


ファイターがウルフたちに顎でしゃくる。 魔物たちが6匹がかりで死体を持ち上げ納品石に押し付けた。

オークの巨体がファングウルフが持ってきたウサギの時のように、光の粒子となって吸い込まれていく。

そして、俺の脳裏に通知が来た!




♢   ♢   ♢


[N]オークの死体を納品しました。

DPを 500 獲得しました!

[原材料:オークの豚肉] を 50 ストックしました!

[原材料:オークの皮] を 10 ストックしました!


♢   ♢   ♢




(おぉ……!素材とDP、どっちも貰えるのか!)


俺は内心でガッツポーズをした。 ウサギの時はDPがしょっぱかったが、[N]ランクのオークはDP換算(500DP)でも、素材(豚肉50人前!)としても超一級品だ!

[N]オーク一体でこれか。 スライムやコボルトのチマチマした稼ぎとは効率が違いすぎる。

これなら、ヒーロー・ゴブリンファイターに部隊を率いさせ、積極的に高ランクの魔物を狩らせるのがDPと食料を同時に稼ぐ最高効率かもしれない。


(しかしファイターの怪我は軽くはないな……)


俺は脳裏の【魔物管理メニュー】や【生成リスト】を確認する。


(DPで回復とか、ポーションの生成とかは……ないか。となると、ファイターはしばらく2階の安全圏で休ませるか)


だが、まずは戦勝祝いだ。手に入れたばかりのオーク肉を使って、魔物たちに食事を振る舞おう。

特に、今回レベルアップもしたCゴブリンたちと運搬を手伝ったファングウルフたちには、たっぷり食わせてやる必要がある。

DPも750まで回復した。


(よし、まずは戦勝祝いだ!)


俺はDP(750)とストックされたばかりの[オークの豚肉]x50を確認した。これだけあれば、全員腹一杯食わせられる!

【生成リスト:基礎食料】から[素材消費]の項目を選択。


([素材消費] 焼き肉(1人前) - 1 DP)

([素材消費] ウサギのシチュー(1人前) - 3 DP)

(……オーク肉だから、[素材消費]オークシチュー - 2 DPだな!)


俺はDPをコスト計算しながら一気に100DP消費した。

[DP: 750] → [DP: 650]


直後、1階の「罠仕掛けの石造広間」の中央に、次々と料理が出現した!ジュージューと音を立てるオーク肉の焼き肉の大皿。湯気を立てる巨大な鍋に入ったオークシチュー。

[C]スライム軍団とアンデットを除く、拠点内の全魔物の前に、それぞれの器が生成される。


「「「ギィィィィ!!?」」」

「キャンキャン!(肉!)」

「ガルルル!(オーク肉!)」


1階は歓喜の叫びで満ち溢れた。

ちょうど外から帰還した[UC]コボルト採掘隊や、[UC]ラット/バット偵察隊も、目の前のご馳走に目を丸くしている。


(よし食え! お前らの働きのおかげだ!)


俺は2階の居住スペースにも特別なオークシチュー(少女用)と、ファイター用の特盛り焼き肉(素材消費DP)を生成した。


「わぁ……! お肉……!」


少女は目を輝かせ、熱々のシチューを食べ始めた。


「グルル……」


ヒーロー・ゴブリンファイターは麻痺した左腕を器用に庇いながら、片手で焼き肉を掴み、黙々と口に運んでいた。


(しかし、ファイターの怪我はどうしたものか)


このままでは、次の戦闘に出せない。

俺は【魔物管理メニュー】を脳裏で必死に探す。


(レベルアップ……進化……解雇……ダメだ、回復コマンドなんてない)


【拠点機能】か?【生成リスト】にポーションとか……ない。その内作れるようになるのかもしれないが、少なくとも今は見当たらない。

俺が焦りながらUIを隅々まで探していると、さっきまで無かった新しいタブが点滅しているのを見つけた。


【訪問者管理】


(訪問者……? ああ、少女のことか!)


俺がそのタブを開くと、そこには一体の魔物でもない一人の人間のステータスが表示されていた。


名前:リナ

種族:人間

状態:良好、コアに絶対的信頼


(リナ……「リナ」っていうのか、あの子。俺、名前も知らなかったぞ)


俺は初めて少女の名前を知った。

そしてそのステータス欄の下に、ロックが解除されたボタンがあった。


【人間限定:能力付与】


治癒能力(低級)を付与する …… 500 DP

(効果:対象者「リナ」が、軽度の傷や疲労を回復させる「ヒール(低級)」の力を使えるようになる)


(これだ……!)


俺は、DP(650)と、このボタン(500DP)を見比べた。


(これは……もしかしたら彼女にヒーラーになって貰えば、負傷しても治せるかもしれない!)


500DPは高い。だが、エースを即座に戦線復帰させられ、今後の負傷にも対応できるヒーラーが手に入るなら……安いか?


(よし、決めた。ファイターが動けないのは致命的だ。500DP、投資する!)


俺はオークシチューを幸せそうに頬張っている少女「リナ」に意識を集中させる。

彼女の脳裏に浮かんだ【訪問者管理】メニューから、「治癒能力(低級)を付与する - 500 DP」のボタンを、強く押した。


DPが 650 から 150 へと一気に減少する。


「……え?」


シチューの器を持ったまま、リナの体が「ビクッ」と小さく痙攣した。

彼女の体が、魔物たちの進化の時とは違う、柔らかく、温かいエメラルドグリーンの光にふわりと包まれる。


「あ……あったかい……?」


リナは自分の手のひらから溢れる光を信じられないという目で見つめている。

光は数秒で彼女の体に吸い込まれ、消えていった。


「……? いまの……なに……?」


リナは何が起きたか分からず、俺と自分の両手を交互に見比べた。

神様が何かしたのは分かるが、何が変わったのかは理解できていない……そんな顔だ。


(よし、付与は完了したみたいだな)


俺は、隣でそんなリナの様子を訝しげに見ていたヒーロー・ゴブリンファイターに命令する。


(ファイター! 腕の怪我、治してもらうぞ。彼女の前に腕を出せ)


「グルル……?」


ファイターは素直に従い、麻痺したままの左腕をリナの前に差し出した。


「ひゃっ!?」


リナはいきなり目の前に差し出された魔物の腕に怯える。


(リナ! 怖がるな! その腕に、さっきのお前みたいに、手をかざせ! 治すイメージだ!)


俺はリナとファイターの両方に強く命令を送る。

リナには俺の命令は聞こえない……だが彼女は本能的に、能力を付与された者だけが分かる感覚で身体を自然に動かし始める。

彼女はシチューの皿をそっと床に置くと、おそるおそるファイターの左腕に自分の小さな両手をかざした。


その瞬間──。

リナの手のひらから、さっき彼女を包んだのと同じ、エメラルドグリーンの光が溢れ出した!


「グルッ!?」


ファイターが驚きの声を上げる。 光がファイターの負傷した左腕を包み込んでいく。


(これが……[治癒能力(低級)]!)


光が収まった時。ファイターは自分の左腕を開いたり、閉じたりしている。


「グル……グルル!(動くぞ!)」


さっきまで麻痺していたはずの腕が、戦闘には支障がないレベルまで動くようになっていた!


(やった! 成功だ!)


「……できた……私にも……神様みたいに……」


リナは自分の手で魔物の怪我を治したことに呆然としながらも、静かな感動に打ち震えているようだった。




♢   ♢   ♢

[現在の拠点状況]

拠点名: (未設定・円形の塔)

階層: 2階建て

DP: 150


訪問者: 1名(リナ、[治癒能力(低級)]を習得)

召喚中: 全38匹(ファイターの怪我が回復)

その他: [オークの豚肉][オークの皮] ストックあり。

♢   ♢   ♢


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