第97話ハイキング17
「どちらにせよ、歩きにくそーだけど、沈むよりはましかー
下りだったらスキーとかスノボーで良かったんだけどねー」」
2人で簡易的な靴を生み出し、履いて沈まないことを確認する。
「準備はよろしいですか?
進みますよ」
「いくぞー」
「おー」
ということで3人は雪山を進み始めた。
シールドで風を防いで体温をキープできているのはいいのだが、
「前が凄い見づらい・・・」
そう、シールドが風と共に飛んでくる雪も防いでくれるのだが、風と異なり、雪はシールドに付着したまま残ってしまうので、前がとても見づらい。
見づらいということは前方の確認が疎かになってしまうので、転びやすく、なかなかに進みにくい。
「うーん、凄いめんどくさいー」
フェアもウィリィン同様苦戦している。
ちなみにラドはというと、雪との接触面をシールドで広げて、沈む事を防いでおり、吹雪に関してもシールドに熱を持たせることで付着したそばから溶かしている。
「少しずつ慣れていきましょう。
魔力の採算が合う色々な方法を試してみても良いですよ」
二人は魔法で上手く上へと迎えないか試したが、自身の身体を移動させるのに魔法だけで行うには魔力を消費し過ぎ、足場を生み出し続けるのも同様であるということで、靴に改造を施し、スパイクをつけたり、大きさを調整したりと雪山を登りながら試行錯誤を繰り返した。
ただ、その過程で転んだり、色々な所に雪が入り込んだりと、徐々に二人の体温は奪われていった。
そんな感じで登っていると
ドゴーン
と大きな音ともに足元が大きく揺れる。
「!?おとととと!?」
「おー、揺れるー」
「ナダレゾウがこちらを見つけて攻撃してきましたね。
では、頑張って生き残ってくださいね」
と言うとラドは上空へと退避していく。
「え?どういう!?」
ウィリィンが未だに揺れ続ける地面に翻弄されながらも聞き返そうとすると
ゴゴゴゴゴ
という音ともに雪崩がこちらに向かって迫ってきていた。
「あちゃー、これ飲み込まれ、」
フェアの言葉が言い終わらない内に足元の雪も雪崩の一部となって崩壊し、二人は雪に流されていくのであった。
そして、雪崩が収まると、ウィリィンは身動きが一切取れないレベルで周りを凝縮され、ほぼ氷と化している雪に押しつぶされていた。
(うぐぐぐ、お、重い...
口にまで雪詰まってるし、隙間無さすぎるし、周りの雪が冷た過ぎる...)
このままでは凍え死ぬと思ったウィリィンは炎を身に纏い、周りの雪を溶かそうとしたが、咄嗟のことで出力を間違えて、
「あ、足元の雪が溶け、あぁぁぁぁぁー!?」
周りの雪を掴もうにもその雪も溶かしてしまい、辺りの雪を全て溶かしながら、ウィリィンは落下していった。
ある程度落下した後、落下方向に向かってシールドを設置することで、これ以上の落下を防ぐことができた。
「ハアハア、焦った...」
そして光を灯して自身が空けた縦穴を照らしながら、
「これ、上まで登らないといけないのか...」
とげんなりするのであった。
登りたくないと思っていても仕方がないため、石で氷に突き刺す用のピックを作成し、氷の壁を登り始める。
「!?うわほあ!?」
問題があるとすればかなり凝縮され、氷寄りになっているとはいえ、雪であるということと、ウィリィンが溶かした周りであるためとても崩れやすく、刺したピックが抜けて落ちそうになるのを何度も繰り返しながら登っていき、自身が埋まっていた位置まで復帰を果たした。
「ここからは上部を溶かしながら登らないといけないのか...」
上部を溶かしながら少しずつ登っていくのだが、これが思っている数倍効率が悪い。
まず、体制が不安定なので、しっかりとピックを突き刺した状態を維持しなければならないのだが、上からは溶かした水やら崩れてきた雪が降ってきて身体にかかる。
「寒っ」
頭や首筋にヒットするのでシールドで塞ぎながらやる。
そして、ある程度登った所で気づいた。
「これ、真っ直ぐ上に登る必要無いじゃん...」
ウィリィンは自身の真横に穴を開け、そこに足をつける。
そう、斜め上方向に登っていけば雪の壁にしがみついて作業する必要はなく、溶かした物体は自身にはかからない。
「というか、溶かす必要も...あるか」
流石にかなり雪は圧縮されているので削るよりは溶かしつつ、壊した方が速い。
やり方が確立されれば、後は容易く、大きく螺旋状に掘り進め、地上へと脱出に成功した。
地上に出ると風で体温を奪われるためシールドの展開と、身体の水気を取り、二人を探す。
すると、ラドのだと思われる魔法が空中にあり、それに向かってアピールする。
するとしばらくして2人が歩いてやってきた。
「ウィリィンも無事脱出できたようですね」
「へっくしょい。ウィリィン寒くないー?」
「水気はちゃんと払ったから大丈夫だとへっくしょん思うよ」
どうしても氷や溶けた水に触れる機会が何度かあったためか少々身体の芯が冷えてしまっている。
「あら、お二人ともくしゃみが出てますよ。
一旦暖まってから出発しましょう」




